クーヤちゃん ~Legend of Shota~ このかわいい召喚士は、地球からアイテムを召喚してしまったみたいです

ほむらさん

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第461話 筋肉神ハイパーライガー出陣

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 オルガライドの南西にある岩場、そこが一番近いカロリーゼロの生息地だ。

 ボクが街の守護神を集めた時は、メルドアの森を抜けて岩場まで通ってたんだけど、そこに用事がある冒険者達は基本的に西門を抜けて南下する。

 問題はカロリーゼロ以外の魔物が邪魔だってことなのですが、今回はルーン武器を持った最強戦士達が何人もいるので、むしろ過剰戦力ですね。

 おそらくこの中の一人を護衛につけるだけでどんな魔物でも撃破すると思いますが、ぶっちゃけ暇人揃いなので、今日は古代人二人を除いて全員参加です。

 そのつもりだったから昨日魔法屋さんに朝食まで置いてきたのですよ。

 やはりルーン武器の強さをよく知っている人達だから、ライガーさんの勝利を疑ってませんし、カロリーゼロを使いこなしてるクーヤちゃんを間近で見ていたから、召喚士の常識がひっくり返る瞬間を見たくてこうして集まったのだ。

 ちなみに召喚士の常識というのは、学生時代からただひたすら筋肉を鍛え上げ、自分一人の力だけで馬を撃破して馬車屋さんになる、ほぼ一本道のルートです。

 『自分一人の力だけで魔物を倒さなければ召喚獣にすることが出来ない』という激辛ルールがあるため、生身で倒せるギリギリに位置する魔物である『馬』を倒し、馬車屋になって安定した収入を得るのが、召喚士の目標みたいになっているのだ。

 ボクも最初は『他の魔物じゃダメなの?』って思ったけど、生身で倒せる魔物がどれほど役に立つのかって話で、言われてみるとたしかに、戦闘でそれほど活躍が期待できるわけでもない召喚獣がいてもなあ・・・って感じなんですよね。

 すなわち、『乗り物にしよう』ってのが最適解だったのです。
 不遇職なりに安定して稼げる道に進むのは、全然間違ってないと思います。

 ただ、あまりにも夢が無さすぎる!

 召喚士になってしまったらもう最上が馬車屋で、あとは召喚士という職業を無視した道に進むしかないなんて悲しすぎますよ。


 ―――――しかしカロリーゼロが手に入れば、そんな常識など軽く吹き飛ぶ。


 ボクがやったようにカロリーゼロを戦わせてもいいし、力仕事をさせてもいいし、乗り物として使ってもいい。『カロリーゼロ持ちの召喚士』ってだけでメチャメチャ役に立つから、尊敬され、頼られる存在になるのだ!

 もう誰も不遇職だなんて言わなくなるでしょうね。

 ライガーさんが熱くなってるのも無理はない。
 これは、すべての召喚士に夢と希望を与える、人生の大一番なのだから。


「いた!カロリーゼロ」


 タマねえは視力お化けなので、まだボクには見えません。
 他の人達も見えないようで、キョロキョロ周囲を見渡している。


「見えん。方角は?」
「向こう。近くに他の魔物はいないっぽい」

 タマねえが右前方を指差す。

「じゃあその方角に向かって真っ直ぐ進むぞ!」
「緊張してきた・・・」
「大丈夫。勝てます!自信を持って下さい」
「もし劣勢になっても手出し無用だからな?」
「ライガーさんが逃げ出したら攻撃していいんでしょ?」
「そうなったらもうアタシらで倒すしかない。手負いのカロリーゼロを魔物や他の冒険者が半端に攻撃しちまうと、次回再戦して倒したとしても、一人で撃破したことにならない可能性があるからな」
「えーと、例えばカロリーゼロが冒険者との戦闘で右腕を失っていた場合、戦闘から1年とか経っていたとしても、召喚獣にできないかもだよね~?」
「さっぱり分からん。しかしおそらく戦闘開始時に魔物の体調が万全でなければダメだろうな。でなければ仲間に手負いにしてもらう作戦が使えることになる。だが手負いの魔物を召喚獣サモンビーストにできた話など聞いたこともない」

 でしょうね。そんなズルを神様が許してくれるとは思えません。


「見えた!カロリーゼロが1体、他に魔物の姿は無し。チャンスだ!」


 いいなあ。
 ボクがやった時なんか周囲も魔物だらけで、ほとんど毎回地獄絵図でしたぞ!

 たぶんメルドアの森方面から攻めたのが失敗だったんだな。
 南下ルートの方が全然穏やかじゃんね~。


「ふーーー、覚悟を決めるか!」

 ライガーさんがすべての装備品に魔力を流し、ルーン文字を光らせた。
 すなわち秘められた力を解放し、『筋肉神ハイパーライガー』に進化したのだ!

「やってこい!」
「頑張って下さい。必ず倒せます」
「ここで勝利を見届けてやる!」

「「がんばれーーーーーーーーーー!」」

 ブオンッ

「よし!」

 メイスを一振りしたライガーさんが、カロリーゼロに向かって歩いていく。

 ドシン

 筋肉神ハイパーライガーの接近に気付いたカロリーゼロが向きを変え、自分のテリトリーに侵入した不審者を叩き潰すためにゆっくりと歩き始めた。

 ガシン ガシン ガシン ガシン


「いざ勝負!!」


 タタタッ ドゴッッ!

 ライガーさんの先制攻撃だ!

 ルーンメイスによる渾身の一撃が、カロリーゼロの左足に炸裂した。
 やはり効いているようで、攻撃を受けた箇所の小さな破片が舞うのが見えた。

 カロリーゼロって身長が4メートルくらいあるから、いきなり頭を狙うとか不可能なんだよね。どこを攻撃するのかと思ったけど、足を砕いて地面に転がす作戦のようです。股間狙いだったらライガーさんを見損なうとこでした。

 ブン ドガン!

「ぐおおおおーーーーー!」

 カロリーゼロの打ち下ろしパンチをライガーさんが盾で防ぐ。

 ガギッ!

 そして再びルーンメイスで左足を攻撃。

 ズガン!

 カロリーゼロは『そんなの効かん!』とばかりに左フックを放ち、ライガーさんが盾で防ぐも堪え切れず、左側にぶっ飛ばされた。

 ズザザザーーー

「かはッ!」

 筋肉神が地面に転がったのでボク達も焦ったけど、すぐに立ち上がり、カロリーゼロの右ストレートを盾で防いだ。


「破片が飛び散ってるから効いてるとは思うんだが、流石に硬えな」
「でも盾の指導をした甲斐がありました!しっかりパンチを防いでいますし、転がされてからの立ち直りも早い!」
「このまま粘ってれば勝てる!あとは根性を見せるだけだ!」
「しかし野生のカロリーゼロって、こう間近で見ると怖いな・・・」
「冒険者でも避けて通る魔物だからな」
「クソ不味いですしね。装備の修理代を考えるとまったく割に合いません」
「魔石を掘り出すのも面倒だぞ!」
「大きな魔石だから、魔法屋に高く売れるよ」
「でもやっぱ割に合わないよ。魔法が効かないから物理攻撃頼みだしさ~」
「倒せても鋼鉄のメイスが曲がるわよ。私は遠慮するわ」


 なるほど・・・。
 誰も倒さないからカロリーゼロって岩場にいっぱいいるのか。

 叩けばメイスがひん曲がるし、攻撃を受けたら防具が壊れるし、ボディーも岩みたいなもんだから誰も欲しがらないし、そもそもデカくて重いから運びたくない。

 うん、どう考えてもクソ不味い。戦うだけバカみたいですね。

 ・・・そんなことを考えている時だった。


 ゴシャッッ!

 筋肉神ハイパーライガーに何度も殴られ続けたカロリーゼロの左足が、とうとうへし折れた。

 ズズーーーン

「「おおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!」」

「よし、いけーーーーーーーーーー!」
「頭だ!!」
「でも手負いの魔物は危険ですので気を付けて下さい!」

 こっちの声が聞こえているのかわかんないけど、ライガーさんも足を破壊した後は頭を狙うと決めていたみたいで、頭部にメイスを叩きつけた。

 ゴギン!
 ドガッ!

「ごはッッ!」

 プリンお姉ちゃんの言った通り、手負いの魔物は危険だったようで、カウンターの左ストレートを胸部にくらってライガーさんが吹き飛ばされた。

 しかしここまで来て筋肉神が怯むわけがなく、すぐ立ち上がり、カロリーゼロの頭部に何度も攻撃し続ける。


 ドゴッ!

 ガギン!

 ゴギッ!

 ズガン!



 ―――――そしてとうとうカロリーゼロが力尽き、地面に横たわった。



「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


「「っしゃああああああああああああああああああああああ!!」」


 ライガーさんの勝利だ!!

 彼は最後まで警戒を怠らず、慎重にカロリーゼロに近付き、一言呟いた。
 力尽き倒れているカロリーゼロの身体が消える。


「やった!ストック成功なのです!」

 ボクの声を聞き、ライガーさんがこっちを振り返った。

「カロリーゼロを手に入れたぞ!!」

「「おめでとーーーーーーーーーーーーーーー!!」」


 絶対勝つと信じてたけど、自分が召喚獣をゲットした時より嬉しいかも。
 本当に良かったね!ライガーさん!



 ◇◇◇



 お姉ちゃん達の鮮やかな戦闘も格好良いのですが、武骨に殴り合う魂のぶつかり合いの方が熱くて心が震えますよね(´・ω・`)

 激熱戦闘部門で、『クーヤちゃんvsドラゴン』の次くらいにランクインしたんじゃないかと思ってます。
 
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