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917 俺の手土産はこんなもんじゃないぞ
「うわ~~~~~!メチャメチャ体調が良くなった!」
「嘘だろ・・・?肩までしか上がらなかった右腕が真上まで上がるぞ!」
「俺の左足もだ!まさか水一杯でまともに歩けるようになるとは・・・」
「聖水な!!」
「腰の痛みが消えたぞ!」
「視力が良くなるって本当だったのか!さっきまで視界がぼやけてたのに」
「虫歯の痛みが消えた!」
「すごいすごい!私もバッチリ見えるようになった!」
「呼吸が楽になって、嬉しくて涙が出てきた・・・」
聖水を飲んだことで兵士達の身体が完全復活したわけだが、外傷だけじゃなく内臓疾患や視力の低下など身体の悪いところを全部癒してくれるので、聖水を飲んだ全員が大喜びしている。
ゼネトス統治下で元々酷い暮らしをしていた人ばかりだから、古傷持ちだったり病気を患ったりしているのが普通だったりするんだよね。
ミスフィート軍の皆にしても、今は健康そうに見えるけど、ナルティア軍の兵士達と同じく聖水によって復活しただけなのだ。
兵士達の喜ぶ顔を見て、ナルティア達もすごく嬉しそうだ。
諦めていた健康を取り戻すなんて、奇跡としか言い様がないもんな。
俺からしたらもう恒例の行事となってきているが、だからこそ、どれほど嬉しいかよく分かっている。
土産話を始めたかったけど、全員が落ち着くまで待った。
「さて、落ち着いたし陸奥を出てからの話をするか」
「そうそう!無事帰ることが出来たってのは聞いていたが、旅の話は是非聞きたいと思っていたのだ!」
「楽しみ!」
「じゃあメメとの出会いから話そうか。あれは大型バスで越後に向かっていた時のことだ」
こうして、仲間を増やしながら京の都まで向かう赤い流星一行の笑いあり涙ありの冒険譚を面白おかしく話した。
◇
「・・・というわけで、今は京の都にある流星城で暮らしているのだ」
「素晴らしい名前の城じゃないか!」
「まあ悪くないネーミングだとは思うが、自分の二つ名から名付けられたってのはむず痒いぞ!」
「やっぱりこの城も『小烏丸城』にすればよかった!」
「だからそんなのは却下だ!つーかもう、ルクセリア城で馴染んでるだろうに」
「まあね~!」
マジで最初、『小烏丸城』って名付けようとしてたんだよこいつら!
当然却下したけどな。
「そういや、ルクセリアの街の方はどうなってるんだ?」
「ここから遠すぎるから残念ながら街自体は手付かずだな。でも部下を数名送り込んで統治させているから平和だぞ!」
「向こうには船もあるから、食料も大丈夫なハズだしね!」
「そうか。平和ならそれでいいさ。ところで線路はどこまで作った?」
「越後まで到達したぞ!逆方面もルクセリアの街まで伸ばしている所だが、到達したら連絡しようと思っていた。おそらく近日中に終わるんじゃないかな?」
「素晴らしい仕事っぷりじゃないか!あとは越後の線路が完成すれば、交易が可能になるな。お土産の第二弾は線路を使う乗り物だ!」
「「おおおおおおおおおおおおおおお!!」」
「実際に乗ってもらおうと思ってるんだが、遊び始めたら止まらなくなるだろうから、先にお土産第三弾を渡そう」
「ちょっと待って!お土産は嬉しいが、それって第何弾まであるのだ!?」
「第七弾くらい?」
「「ぶはッ!!」」
あ~、調味料は一纏めにしてもいいかな?
「まあとにかく第三弾だ。ちょっとその辺空けてくれ」
スペースを空けてもらい、窓ガラスを山積みにした。
「これって・・・」
「バスって乗り物に付いてた見えない壁じゃない!?」
「わああああああああ!」
あれ?ナルティア達に見せたことあったっけ?帰る時にバスに乗って颯爽と走り去った記憶があるから、その時に見せたんだっけか・・・。
「知っていたのなら話が早い。これはガラスというんだが、窓として使うために作ったヤツだから窓ガラスという」
実はルクセリア城を建築した時から窓ガラスを設置することを想定していたので、枠付きの窓ガラスを持ってきたのだ。これで簡単に取り付け出来るハズ。
「この城の窓って少し変わった形をしてるだろう?実は最初からコイツを取り付けようと思ってたんで、すぐ外せるようになってるんだ」
「え?そうだったの!?」
「付け替えしてみせるから、ついて来てくれ」
窓ガラスを一枚持って窓の方に歩いていった。
そしてボタン一つで簡単に取り外して、窓ガラスにチェンジした。
「「わああああああああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~!」」
「な?簡単だろ?ちなみにこのガラスは鉄の剣で殴られた程度じゃ割れないから、城の窓を全部交換しても防御力が落ちないと思っていい。鍵も付いてるしな」
「すごいじゃないか!早速全部交換していいか?」
「おう!みんなで協力して設置するといい」
「聞いたな?城の窓を全てこの窓ガラスに交換するから、皆手伝ってくれ!」
「「ハッ!」」
こうしてルクセリア城の窓が全て窓ガラスになり、すごく快適な城になった。
「なんて素晴らしい窓なんだ!流石は小烏丸だ!」
「ハハッ、良かったな!カジノの窓も全部交換するつもりなんで、ギャンブラー達は楽しみにしとくといい」
「「うおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!」」
とりあえずこれで二つか。なんかお土産を渡すだけでやたらと時間が掛かるな。
「じゃあ次だ!えーと、まずはアレを渡しておくか・・・。悪いが次のお土産は大名だけの特別な物なんで、そこは了承してくれ」
「あたしだけの特別な物!?」
ナルティアの目がキラキラ輝いた。
「これはゼネトスを撃破し陸奥の国を平和に導いた陸奥の新大名へ、ミスフィート軍軍師からの贈り物だ。友好の証と思って受け取ってくれ」
ヴィジュアル系のパンクな服を着ているナルティアに似合うリュックといったらこれだろうと、赤と黒のお洒落なリュックを手渡した。
「・・・鞄?あっ!小烏丸が背負ってるヤツに似ている!」
「あ~、訳あって今は背負ってないんだけど一緒のヤツだな。ちなみにそいつの正式名称はマジックバッグという」
「マジックバッグ・・・」
鑑定したのだろう。ナルティアの目が大きく開いた。
「何でも入るだと!?ん?登録者というのは?」
「ああ、指先をチョンと切ってマジックバッグに触れることで登録者がナルティアになり、自分だけの物になるんだ。他の人は使うことが出来ない」
血が付いてしまうと彼女が心配していたが、大丈夫だと説明し、無事マジックバッグはナルティアの物になった。
その辺の物を収納させたりしたから、もうバッチリだろう。
「小烏丸が色んな物を出したり消したりしているのには気付いてたけど、これは本当に便利だな!ありがとう!一生大切にする!」
皆の方を振り返った。
「悪いな。こればかりは皆にホイホイ渡せるような代物じゃないんだ。何か運んでほしい物とかあったらナルティアにお願いするといい」
「わかってるって!」
「こんな貴重な物、気安くちょうだいなんて言えないよ!」
フレイアとスカーレットにはあげても良かったんだが、いずれはって感じかな。
「さて、準備も出来たし、そろそろ第二弾のお披露目といこうか!線路まで行かなきゃなんで一旦外に出よう」
「線路を使う乗り物だな!よーし、外に出るぞ!」
「「オーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
というわけで、次は機関車風トロッコのお披露目だ!
なんか思ったよりも時間が掛かって、今日中にお土産を全部渡せるか不安だな。
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