七人の愚か者 ー最難関のダンジョンで出会った小学生と暴走族が脱出するために最強を目指す!ー

ほむらさん

文字の大きさ
135 / 183
アリア編

135 鍛冶屋の助手

しおりを挟む
キンッ!キンッ!キンッ!キンッ!

他人が鍛冶してるの初めて見るけどすげー迫力だな。
熱気はムンムンだしなんか息が詰まりそうだ。


「ギルドの依頼で来たですぞ!」

聞こえるようにデカい声で話し掛ける。

「あ!?」

ヒゲのおっちゃんがやっとオレに気付いた。

「おーギルドからか!鍛冶の経験はあるのか?」
「鍛冶屋で働いたことは無いけど、我流でならやってたぞ」
「フム。まあ弟子になれという話しでも無いから大丈夫か」

弟子入りかー。それもアリっちゃアリだが1日働いてみて決めよう。

「体は細いが筋肉はあるな。よし、早速手伝ってもらうぞ」
「あいあいさー!」


・・・・・


最初は鉄の塊を運びまくった。そして次はヒゲのおっちゃんが炉で熱した鉄をハンマーで叩く係だ。同じ場所に振り下ろしてればいいらしい。剣の根元を持っているおっちゃんが勝手に調節してくれるので、ちゃんと引き伸ばされて行く。

それにしても本物の鍛冶屋はやっぱすげえ。その仕事っぷりを見ていると、前にテレビで刀鍛冶の職人特集やってたの思い出した。
刀の形になるまで鉄を叩いて伸ばした後、たしか鉄に泥を塗ってまた焼き入れをするんだよ。んですぐ水に入れてジュワーっと冷ます。その後機械で磨くんだけど、泥の塗り方によって刃文はもんが付くんだっけか。
オレも今度は刀でも作ってみっかな?

慣れた頃、ふいごをやらせてもらった。
炉に空気をシュコシュコ送って温度を上げるのだ。火を見てても今何度なのかはさっぱりわからんけど、おっちゃんには大体わかるそうだ。職人すげえな。

「上手くなったな。弟子にしてもいいくらいだぞ」
「弟子かー!すげー面白そうだけどアニキと相談しなきゃ決めれんなあ」
「アニキ?兄ちゃんがいるのか」
「いや、アニキって呼んでるけど兄ちゃんでは無いぞ」
「ほう。まあ弟子になるには覚悟が必要だ。一人前になるまで何年もかかるからな」
「何年もか~、んじゃ無理だな。もっと世界を見て回りたいし」
「世界をか。ドワーフの国へ行けば凄まじい鍛冶職人がわんさかいるぞ。一度行ってみるといい」
「ドワーフ!なんか聞いたことあるぞ」
「陽気なヤツらよ。ほぼ全員が酒好きだから酒を持って行くと喜ばれるぞ」
「酒かー。なるほど」


・・・・・


いい時間になったので助手の仕事は終了した。

「一つ質問があるのだけど」
「ん、何だ?」
「武器を鑑定すると、斬撃強化とか衝撃耐性とか色々付いてるのがあるんだけど、こういうのってどうやって付けるのん?」
「それは付与魔法だな。ウチみたいな貧乏鍛冶屋では雇えないが、有名な鍛冶屋は付与魔法の使い手と契約して武器を作るんだ。付与魔法ってのは完成品に魔法を一つずつかけて行くのだが、強力な効果を付与するには当然付与師の実力が重要となる」
「付与魔法かー!それってどうやったら使えるんだ?」
「そりゃもちろん神殿で加護をもらう必要があるな」
「加護って神殿でもらえるのか!」
「そうなんだが、残念ながらこの街にはセラフィーナ様の神殿が無いので無理だ」
「セラフィーナ?どこに行けばその神殿があるん?」
「はて・・・、そこまではワシにもわからん。ただ、付与師はドワーフの国に何人もいるハズだ。優れた鍛冶屋ってのは大半がドワーフだからな」
「なるほど、ドワーフを探す必要アリか」

オレのミスリルソードに付与魔法かけたいんだよなー!

アイテムボックスから黒槍を取り出し、おっちゃんに見せる。

「これがオレの武器だ」
「ぬ!?今どこから出したんだ?」

あ、やべっ。
さり気なくマジックバッグを取り出す。

「マジックバッグだぞ」

「マ、マジックバッグ持ちだと!?驚いたな」
「それよりも黒槍を鑑定してみて」
「ああ、わかった」

鍛冶屋のおっちゃんが目をカッと見開いた。

「な、なんだこの凄まじい槍は・・・、素早さアップに自動修復だと!?」
「やっぱスゲーのか?それ」
「凄いも何も、こんな強力な付与魔法かけられる奴が存在するのか・・・?斬撃強化(中)とかなら上位の魔剣に付いてたりするらしいが、自動修復なんてのは初めて見たぞ」
「へーー。ガチャで当たり引けば、自動修復付いてるの結構あるぞ」
「ガチャか!最近流行ってるようだが、そんなに凄い物が出るとは」
「でもこの黒槍はガチャじゃないぞ。スゲー強いボス倒して手に入れたのだ」

「バフォメットって書いてるがコレのことか?」
「うむ。ダンジョンのボスだ。黒山羊のモンスターだぞ!」
「ダンジョンか。相当高難度の所じゃ無いとここまでの武器は手に入るまい。アンタ強かったんだな」
「アニキと二人でなら大抵の事はなんとかなる!」
「いつかそのアニキってのにも会ってみたいものだ」
「今度暇な時にでもアニキに言ってみるよ」
「んじゃ今日は助かったよ。またよろしくな!」


最後は長話しをしてしまったが、鍛冶屋での仕事は達成となった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...