黒狼陛下は人質皇子に抱かれたい

こじまき

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8 調子に乗るな【マクシス目線】

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毎晩自分の隣で自らを慰めているガイセル国王陛下を見ては下腹部を熱くしながら、ようやくヴァルグランドに到着した。

目を開いて気づいていることを明かし、彼の欲望を受け止めてあげたい気もしたが、勇気がなくてできなかった。だって、きっと彼は、僕に釣り合うような人ではないから。

僕が彼を組み敷いて彼を喘がせる?

そんなことはきっとできない。セックスの気持ちよさなど知らない僕には。僕はいつもルキウスに組み敷かれて、喘ぐ演技をしていただけなのだから。

「部屋に案内する。ついてこい」
「国王陛下自ら、案内してくださるのですか?」
「もちろんだ」

色とりどりの布と獣骨で飾られた廊下の端、草花模様を彫り込んだ大きな扉が開く。

「気に入ってもらえるといいのだが」

大きな窓があり日当たりの良い、広々とした部屋。大きな窓からつながるテラスには、ティーテーブル。シンプルだけど質が良く、使いやすい大きな本棚と机。カーペットやカーテンは落ち着いた黄色で、水色の刺繍糸で繊細な模様が描かれている。

「どうだろう?問題なく過ごせそうか?」
「ええ、素晴らしいお部屋で感謝いたします」

旧宗主国からの人質に、こんないい部屋を与えてくれるなんて。彼がことのあとに呟いた「愛している」という言葉が本当なのかもしれないと思ってしまう。

「好みがわからなかったから、家具や飾りは最低限にしてある。近々商人に来てもらうから、欲しいものや必要なものがあれば、予算から買うといい。予算が足りなければ言ってくれ」
「これで十分すぎるほどですが、予算…とは…?」
「予算は予算だ。カエルンブリアではもらっていなかったのか?」
「はい」

だから必要なものがあるときは、ルキウスを満足させて頼むしかなかった。ルキウスが応じてくれないときは、彼の侍従にまで身体を売った。金や食べ物を得るために身体を使う、立派な男娼だ。

「第一皇子でありながら予算すらつけてもらっていなかったとは」
「…お恥ずかしいことに」
「皇子が恥ずかしがることはない。恥ずべきなのはカエルンブリアの皇族連中だろ」

陛下がそう言うなら、本当にそうだという気がして、心が軽くなる。少し頬が熱くなっているのを感じながら「王城内を案内する」というガイセル王について行こうとすると、リュート将軍と目が合った。

耳元で「調子に乗るなよ。ただカエルンブリアと今戦争になったら困るから、いい待遇をしているだけだからな」と囁かれて、僕はコクリと頷いた。
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