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16 男爵の正体
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「さきほどの、怪盗ルナの捜査のことなのですが…」
テラスで飲み物を飲みながら、アルセーヌ様がまた話し始めたその時、私は匂いに気がついた。社交界デビューの緊張のせいで今まで気づかなかったけど、アルセーヌ様からは、リンゴの匂いがする。
「この匂い…怪とっ…」
思わず呟いてしまい、口元を抑えながらアルセーヌ様を見ると、アルセーヌ様はニヤリと笑って「匂いがどうかしましたか?」と聞く。アルセーヌ様が怪盗ルナ…!?怪盗ルナが隣にいると思うと心拍数が上がって息苦しい。でも、変な顔をして気づかれてはいけない。「いいえ、何でもありませんわ」と誤魔化せたかと思ったけど…
「何を知ってる?」
今までの優しい声色とは違う、ドスの効いた低い声。これは、完全に私が彼の正体を知っているとバレている。怪盗ルナは私を睨みつけながら、じりじりと顔を近づけてくる。怖い。身を翻して逃げようとしたら、手首を掴まれ、引き寄せられ、喉元を押されつけられた。美しいネックレスがギリギリと喉に食い込む。
「ホークボロー副隊長は、俺がルナだと知ってるのか?」
「ゴホッ…い…いえっ…」
「そうか。じゃあお前ひとりに消えてもらえば、俺は逃げおおせるわけだな?」
私はどこかに拉致されて監禁されるか、もっと悪ければもしかしたら…!!すごく怖い。死にたくない。誰か…お兄様…助けて…!
「デイジー!」
「アレン…お兄様…!」
来てくれた…嬉しくてほっとして涙が出そうになる。お兄様は会場からテラスに出て、こちらに駆け寄る…
「待て!それ以上近寄るとこの小娘の首を折る!」
「やめろ、もう調べはついている。さきほど部下がお前の屋敷と隠れ家で盗品を確認したと報告しにきたんだ。この会場も部下たちが囲んでいる。逃げられないぞ」
冷徹なお兄様の言葉の圧にルナが怯み、私から手を離して逃げる。と、私はテラスの床に崩れ落ち、咳き込んだ。「デイジー、大丈夫か!?」とアレンお兄様が私に駆け寄って、体を抱えて顔を覗き込むけど…今はそれより!
「アレン…お兄様…ゴハッ…ルナに…逃げられます!私はいいから…ゴホッ…早くっ」
アレンお兄様と私がルナを目で追うと、逃げた先に…
「カラバス!」
「カラバスお兄様!?」
見たことのない怒りの形相をしたカラバスお兄様が、ルナに鮮やかな蹴りを入れた。まともに食らって一瞬で足元に這いつくばったルナを、まだ睨みつけている。
「俺のデイジーを傷付けやがって…他に誰もいなかったら殺してたぞ。これくらいで済んで良かったと思え」
テラスで飲み物を飲みながら、アルセーヌ様がまた話し始めたその時、私は匂いに気がついた。社交界デビューの緊張のせいで今まで気づかなかったけど、アルセーヌ様からは、リンゴの匂いがする。
「この匂い…怪とっ…」
思わず呟いてしまい、口元を抑えながらアルセーヌ様を見ると、アルセーヌ様はニヤリと笑って「匂いがどうかしましたか?」と聞く。アルセーヌ様が怪盗ルナ…!?怪盗ルナが隣にいると思うと心拍数が上がって息苦しい。でも、変な顔をして気づかれてはいけない。「いいえ、何でもありませんわ」と誤魔化せたかと思ったけど…
「何を知ってる?」
今までの優しい声色とは違う、ドスの効いた低い声。これは、完全に私が彼の正体を知っているとバレている。怪盗ルナは私を睨みつけながら、じりじりと顔を近づけてくる。怖い。身を翻して逃げようとしたら、手首を掴まれ、引き寄せられ、喉元を押されつけられた。美しいネックレスがギリギリと喉に食い込む。
「ホークボロー副隊長は、俺がルナだと知ってるのか?」
「ゴホッ…い…いえっ…」
「そうか。じゃあお前ひとりに消えてもらえば、俺は逃げおおせるわけだな?」
私はどこかに拉致されて監禁されるか、もっと悪ければもしかしたら…!!すごく怖い。死にたくない。誰か…お兄様…助けて…!
「デイジー!」
「アレン…お兄様…!」
来てくれた…嬉しくてほっとして涙が出そうになる。お兄様は会場からテラスに出て、こちらに駆け寄る…
「待て!それ以上近寄るとこの小娘の首を折る!」
「やめろ、もう調べはついている。さきほど部下がお前の屋敷と隠れ家で盗品を確認したと報告しにきたんだ。この会場も部下たちが囲んでいる。逃げられないぞ」
冷徹なお兄様の言葉の圧にルナが怯み、私から手を離して逃げる。と、私はテラスの床に崩れ落ち、咳き込んだ。「デイジー、大丈夫か!?」とアレンお兄様が私に駆け寄って、体を抱えて顔を覗き込むけど…今はそれより!
「アレン…お兄様…ゴハッ…ルナに…逃げられます!私はいいから…ゴホッ…早くっ」
アレンお兄様と私がルナを目で追うと、逃げた先に…
「カラバス!」
「カラバスお兄様!?」
見たことのない怒りの形相をしたカラバスお兄様が、ルナに鮮やかな蹴りを入れた。まともに食らって一瞬で足元に這いつくばったルナを、まだ睨みつけている。
「俺のデイジーを傷付けやがって…他に誰もいなかったら殺してたぞ。これくらいで済んで良かったと思え」
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