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24 紫とグレーの理由
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「経路の閉じ方もわからずにあれだけの力を放出するなんて愚の骨頂だ」
「申し訳ありません…」
「確認せずにやらせた俺も俺だが…」
ファリカステ様の一件から1週間経ち、ジヴァに手伝ってもらって着替えたり、自室内でなら立ったり座ったりできるようになった私は、早速イーライお兄様から説教を受けている。魔力を放出する経路を自力で閉じられなかった私は、お兄様や魔術課の皆さんの魔法で出口をふさいでもらい、何とか一命をとりとめた。
「完全に回復したら、魔術学校の聴講生として、経路のコントロールだけは身につけてこい」
「はい」
お兄様にあの事件の一部始終を聞くと、そもそもの発端は、ファリカステ様がそうとは知らず購入したアンティークのネックレスに、恋に敗れた魔女が施した古くて強い呪いがかかっていたことだった。それが、カラバスお兄様に密かな恋心を抱いていたファリカステ様の心を蝕んでしまったのだ。
ファリカステ様の様子がおかしいこと、原因が呪いであろうことは魔術課が嗅ぎつけていて、内々に調査していたそうだ。そのため、ファリカステ様の覚えがめでたいカラバスお兄様には、防御魔法を施していたらしい。
パーティーの席でファリカステ様が私を離れに誘い、不安を感じたアレンお兄様とカラバスお兄様がイーライお兄様に連絡。念のため館の外で三人で見張っていたところ、中で悪意ある魔法を使っていることがわかって突入したのだった。
聞くと、ファリカステ様もすでに回復し、元の淑やかな公爵夫人に戻られたらしい。「ネックレスをつけ始めてからのことは霧がかかったようにぼんやりとしか覚えていないが、許されないことをしてしまい大変申し訳ない」という自筆の手紙が私宛にも届いた。一応裁判があるが、不可抗力で有罪にはならないというのが大方の見方だそうだ。
「ところでイーライお兄様、髪が金髪だし、目もエメラルドグリーンですね」
「お前の経路を閉じるために魔力を使いすぎて、今は色を変えるための魔力すらないんだよ」
「それは…本当にご迷惑をおかけいたしました」
「全くだ。あの場にいたメンバーのほとんどが、魔力不足でまだ休んでるんだぞ。力が溜まってくるまでまだしばらくかかる」
「お詫びのしようもございません…」
全員に菓子折りをもって謝罪に行きたいくらいだ。
謝りながらも、私にはどうしても気になることがあった。
「そもそも何故、お兄様は髪と目の色を変えていたんですか?」
「…いから」
聞こえない。
「え?なんですか?」
「…魔法使いっぽいから」
それを聞いて私はしばらく絶句し…それからこみ上げてくる笑いをおさえることができなかった。珍しくこの時間に起きていた師匠と弟子も、バレないように体を震わせている。
「最初はお兄様のことを無口で怖いと思ってましたけど、本当は優しくて可愛い方ですね。ふふふ」
「…」
「私は、今の色も爽やかで好きです。ふはは」
三人に笑われて耳を赤くしたイーライお兄様がそそくさと立ち上がって部屋を出ていこうとするので、呼び止めた。ずっと言いたいことがあったのだ。
「なんだ」
「お兄様は、魔法使いは孤独だとおっしゃいましたけど、今はもう私が仲間です。私の存在で、お兄様の孤独が、少しでも和らぐといいのですが」
するとお兄様は私の手をとって「そうだな、ありがとう」と言ってから、しばらく考えを巡らせて…それから、エメラルドグリーンの目で私をまっすぐ見つめた。
「お前は俺にとって大切な存在だよ。魔法使いでも、そうじゃなくても。妹でも、そうじゃなくても」
イーライお兄様は私の手の甲に優しくキスをして、呆然とする私と師匠と弟子を置いて、そのまま出て行った。
「申し訳ありません…」
「確認せずにやらせた俺も俺だが…」
ファリカステ様の一件から1週間経ち、ジヴァに手伝ってもらって着替えたり、自室内でなら立ったり座ったりできるようになった私は、早速イーライお兄様から説教を受けている。魔力を放出する経路を自力で閉じられなかった私は、お兄様や魔術課の皆さんの魔法で出口をふさいでもらい、何とか一命をとりとめた。
「完全に回復したら、魔術学校の聴講生として、経路のコントロールだけは身につけてこい」
「はい」
お兄様にあの事件の一部始終を聞くと、そもそもの発端は、ファリカステ様がそうとは知らず購入したアンティークのネックレスに、恋に敗れた魔女が施した古くて強い呪いがかかっていたことだった。それが、カラバスお兄様に密かな恋心を抱いていたファリカステ様の心を蝕んでしまったのだ。
ファリカステ様の様子がおかしいこと、原因が呪いであろうことは魔術課が嗅ぎつけていて、内々に調査していたそうだ。そのため、ファリカステ様の覚えがめでたいカラバスお兄様には、防御魔法を施していたらしい。
パーティーの席でファリカステ様が私を離れに誘い、不安を感じたアレンお兄様とカラバスお兄様がイーライお兄様に連絡。念のため館の外で三人で見張っていたところ、中で悪意ある魔法を使っていることがわかって突入したのだった。
聞くと、ファリカステ様もすでに回復し、元の淑やかな公爵夫人に戻られたらしい。「ネックレスをつけ始めてからのことは霧がかかったようにぼんやりとしか覚えていないが、許されないことをしてしまい大変申し訳ない」という自筆の手紙が私宛にも届いた。一応裁判があるが、不可抗力で有罪にはならないというのが大方の見方だそうだ。
「ところでイーライお兄様、髪が金髪だし、目もエメラルドグリーンですね」
「お前の経路を閉じるために魔力を使いすぎて、今は色を変えるための魔力すらないんだよ」
「それは…本当にご迷惑をおかけいたしました」
「全くだ。あの場にいたメンバーのほとんどが、魔力不足でまだ休んでるんだぞ。力が溜まってくるまでまだしばらくかかる」
「お詫びのしようもございません…」
全員に菓子折りをもって謝罪に行きたいくらいだ。
謝りながらも、私にはどうしても気になることがあった。
「そもそも何故、お兄様は髪と目の色を変えていたんですか?」
「…いから」
聞こえない。
「え?なんですか?」
「…魔法使いっぽいから」
それを聞いて私はしばらく絶句し…それからこみ上げてくる笑いをおさえることができなかった。珍しくこの時間に起きていた師匠と弟子も、バレないように体を震わせている。
「最初はお兄様のことを無口で怖いと思ってましたけど、本当は優しくて可愛い方ですね。ふふふ」
「…」
「私は、今の色も爽やかで好きです。ふはは」
三人に笑われて耳を赤くしたイーライお兄様がそそくさと立ち上がって部屋を出ていこうとするので、呼び止めた。ずっと言いたいことがあったのだ。
「なんだ」
「お兄様は、魔法使いは孤独だとおっしゃいましたけど、今はもう私が仲間です。私の存在で、お兄様の孤独が、少しでも和らぐといいのですが」
するとお兄様は私の手をとって「そうだな、ありがとう」と言ってから、しばらく考えを巡らせて…それから、エメラルドグリーンの目で私をまっすぐ見つめた。
「お前は俺にとって大切な存在だよ。魔法使いでも、そうじゃなくても。妹でも、そうじゃなくても」
イーライお兄様は私の手の甲に優しくキスをして、呆然とする私と師匠と弟子を置いて、そのまま出て行った。
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