5 / 49
陰キャ侯爵令嬢の奮闘編
5 驚きの成果
私はといえば、アドバイスの効果にすっかり興奮してしまった。アイリシア様はあんなに楽しそうに話し続けた。私はほぼ聞いていただけだが、あんなに長く人と話したのは初めてだ。これは、せめてあともうひとり、誰かに試してみたい…!
授業はそっちのけで、ターゲットを誰にしようか考えながら、教室内を眺め回す。一番後ろの席は便利だ。私でも話しかけやすい人、話しかけるきっかけがある人…
ふと、艶のある栗色の巻毛が美しいサフィア伯爵令嬢ビオネッタ様に目がとまった。古代語の授業中なのに、机の上で植物図鑑を開いている。私も植物は嫌いではない。屋敷の庭に自分の花壇を持って、花を育てているほどだ。よし。
授業が終わるとビオネッタ様の机に近づく。彼女はまだ図鑑を眺めている。笑顔笑顔笑顔。
「ビ…ビオネッタ様」
話しかけられたビオネッタ様が顔を上げ、声をかけたのが私だと知って驚いた顔をする。きっと、私の声も初めて聞くのだろう。
「イベリス様、なんでございましょう」
「あの…植物がお好きなの?その…授業の間もずっと図鑑を見ていらしたでしょう」
「見られてたのか」とばつの悪そうな顔をしたビオネッタ様に、慌てて「私も自分で育てるほど植物が好きなのです」と手をバタバタさせながらしどろもどろに説明する。何とか落ち着いて「何のページを見ていらしたの?」と聞くと、睡蓮だと教えてくれる。この国ではあまり見かけない、珍しい花だ。
「水の上に咲く花ですって?」
「ええ、珍しいでしょう。絵ではよくわかりませんが、ピンクの花びらが光に透けて神々しくさえ見えます」
「それじゃビオネッタ様は実際に睡蓮をご覧になったことがおありなのね?」
「ええ。王都だと、王立植物園で見られますよ。株数は多くありませんが…今ちょうど花の時期ですわ」
「まあ、そうですか。じゃあ今週末のお休みに、見に行ってみようかしら」
「それでしたら、ぜひご一緒いたしませんこと?私はほぼ毎週植物園に通っておりますの。お望みでしたら、他の植物についてもご説明いたしましょう」
思わぬ展開に目が点になる。クラスメイトと二人で出かけるなんて初めてだ。
「私と…?わわ、私は大変ありがたいのですけど、ビ…ビオネッタ様は私などと出かけられても退屈では?」
「いいえ、イベリス様とお話するのはとても楽しいですわ。よろしければぜひ」
理由もなしに断ることもできず、週末に王立植物園で待ち合わせをして、二人で散策することになった。
授業はそっちのけで、ターゲットを誰にしようか考えながら、教室内を眺め回す。一番後ろの席は便利だ。私でも話しかけやすい人、話しかけるきっかけがある人…
ふと、艶のある栗色の巻毛が美しいサフィア伯爵令嬢ビオネッタ様に目がとまった。古代語の授業中なのに、机の上で植物図鑑を開いている。私も植物は嫌いではない。屋敷の庭に自分の花壇を持って、花を育てているほどだ。よし。
授業が終わるとビオネッタ様の机に近づく。彼女はまだ図鑑を眺めている。笑顔笑顔笑顔。
「ビ…ビオネッタ様」
話しかけられたビオネッタ様が顔を上げ、声をかけたのが私だと知って驚いた顔をする。きっと、私の声も初めて聞くのだろう。
「イベリス様、なんでございましょう」
「あの…植物がお好きなの?その…授業の間もずっと図鑑を見ていらしたでしょう」
「見られてたのか」とばつの悪そうな顔をしたビオネッタ様に、慌てて「私も自分で育てるほど植物が好きなのです」と手をバタバタさせながらしどろもどろに説明する。何とか落ち着いて「何のページを見ていらしたの?」と聞くと、睡蓮だと教えてくれる。この国ではあまり見かけない、珍しい花だ。
「水の上に咲く花ですって?」
「ええ、珍しいでしょう。絵ではよくわかりませんが、ピンクの花びらが光に透けて神々しくさえ見えます」
「それじゃビオネッタ様は実際に睡蓮をご覧になったことがおありなのね?」
「ええ。王都だと、王立植物園で見られますよ。株数は多くありませんが…今ちょうど花の時期ですわ」
「まあ、そうですか。じゃあ今週末のお休みに、見に行ってみようかしら」
「それでしたら、ぜひご一緒いたしませんこと?私はほぼ毎週植物園に通っておりますの。お望みでしたら、他の植物についてもご説明いたしましょう」
思わぬ展開に目が点になる。クラスメイトと二人で出かけるなんて初めてだ。
「私と…?わわ、私は大変ありがたいのですけど、ビ…ビオネッタ様は私などと出かけられても退屈では?」
「いいえ、イベリス様とお話するのはとても楽しいですわ。よろしければぜひ」
理由もなしに断ることもできず、週末に王立植物園で待ち合わせをして、二人で散策することになった。
あなたにおすすめの小説
地味令嬢の私が婚約破棄された結果、なぜか最強王子に溺愛されてます
白米
恋愛
侯爵家の三女・ミレイアは、控えめで目立たない“地味令嬢”。
特に取り柄もなく、華やかな社交界ではいつも壁の花。だが幼いころに交わされた約束で、彼女は王弟・レオンハルト殿下との婚約者となっていた。
だがある日、突然の婚約破棄通告――。
「やはり君とは釣り合わない」
そう言い放ったのは、表向きには完璧な王弟殿下。そしてその横には、社交界の華と呼ばれる公爵令嬢の姿が。
悲しみも怒りも感じる間もなく、あっさりと手放されたミレイア。
しかしその瞬間を見ていたのが、王家随一の武闘派にして“最強”と噂される第一王子・ユリウスだった。
「……くだらん。お前を手放すなんて、あいつは見る目がないな」
「よければ、俺が貰ってやろうか?」
冗談かと思いきや、なぜか本気のご様子!?
次の日には「俺の婚約者として紹介する」と言われ、さらには
「笑った顔が見たい」「他の男の前で泣くな」
――溺愛モードが止まらない!
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
秘密を隠した護衛騎士は、お嬢様への溺愛を抑えきれない
はるみさ
恋愛
伯爵家の令嬢であるアメリアは、少し男性が苦手。ゆくゆくはローゼンタール伯爵を継ぐ立場なだけに結婚を考えなければならないが、気持ちは重くなるばかり。このままでは私の代でローゼンタール家が途絶えてしまうかもしれない……。そう落ち込んでいる時、友人に「あなたの護衛のセドリックで試してみればいいじゃない?」と提案される。
男性に慣れるため、セドリックの力を借りることにしたアメリア。やがて二人の距離は徐々に縮まり、セドリックに惹かれていくアメリア。でも、セドリックには秘密があって……
男性が苦手な令嬢と、秘密を隠し持った護衛の秘密の恋物語。
※こちらの作品は来春までの期間限定公開となります。
※毎日4話ずつ更新予定です。
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました
22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。
華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。
そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!?
「……なぜ私なんですか?」
「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」
ーーそんなこと言われても困ります!
目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。
しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!?
「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」
逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?
【完結】王太子と宰相の一人息子は、とある令嬢に恋をする
冬馬亮
恋愛
出会いは、ブライトン公爵邸で行われたガーデンパーティ。それまで婚約者候補の顔合わせのパーティに、一度も顔を出さなかったエレアーナが出席したのが始まりで。
彼女のあまりの美しさに、王太子レオンハルトと宰相の一人息子ケインバッハが声をかけるも、恋愛に興味がないエレアーナの対応はとてもあっさりしていて。
優しくて清廉潔白でちょっと意地悪なところもあるレオンハルトと、真面目で正義感に溢れるロマンチストのケインバッハは、彼女の心を射止めるべく、正々堂々と頑張っていくのだが・・・。
王太子妃の座を狙う政敵が、エレアーナを狙って罠を仕掛ける。
忍びよる魔の手から、エレアーナを無事、守ることは出来るのか?
彼女の心を射止めるのは、レオンハルトか、それともケインバッハか?
お話は、のんびりゆったりペースで進みます。
【完結】男運ゼロの転生モブ令嬢、たまたま指輪を拾ったらヒロインを押しのけて花嫁に選ばれてしまいました
Rohdea
恋愛
──たまたま落ちていた指輪を拾っただけなのに!
かつて婚約破棄された過去やその後の縁談もことごとく上手くいかない事などから、
男運が無い伯爵令嬢のアイリーン。
痺れを切らした父親に自力で婚約者を見つけろと言われるも、なかなか上手くいかない日々を送っていた。
そんなある日、特殊な方法で嫡男の花嫁選びをするというアディルティス侯爵家のパーティーに参加したアイリーンは、そのパーティーで落ちていた指輪を拾う。
「見つけた! 僕の花嫁!」
「僕の運命の人はあなただ!」
──その指輪こそがアディルティス侯爵家の嫡男、ヴィンセントの花嫁を選ぶ指輪だった。
こうして、落ちていた指輪を拾っただけなのに運命の人……花嫁に選ばれてしまったアイリーン。
すっかりアイリーンの生活は一変する。
しかし、運命は複雑。
ある日、アイリーンは自身の前世の記憶を思い出してしまう。
ここは小説の世界。自分は名も無きモブ。
そして、本来この指輪を拾いヴィンセントの“運命の人”になる相手……
本当の花嫁となるべき小説の世界のヒロインが別にいる事を───
※2021.12.18 小説のヒロインが出てきたのでタグ追加しました(念の為)