家出少年ルシウスNEXT~聖剣の少年魔法剣士、海辺の僻地ギルドで無双する

真義あさひ

文字の大きさ
62 / 217
【家出少年ルシウスNEXT】ルシウス君、冒険者になる

side イケジジ二人の飲み会3-1〜リースト伯爵家長男夫婦語り

しおりを挟む
「てなことがあったようです」

 厨房で蒸し上げて貰ったルアーロブスターにバリムシャア……とかぶりついて一息ついたところで、メガエリスがそう報告した。

 生きている間は真っ青だったルアーロブスターも、加熱したら甲羅は真っ赤になった。
 大味かと思いきや、弾力ある身の濃厚な旨味ときたら。
 ワイン、キリッと冷えたワインの白が進む!

「それで、息子たちの仲は修復できそうなのか?」
「別に今でも仲が悪いわけではないのです。ルシウスは兄を好き好きと慕っておりますし、その兄カイルも弟の面倒を見ておりますから。ただ」

 いつもの髭のイケジジ飲み仲間、先王ヴァシレウスとのロブスター食らうよの会である。
 ルアーロブスターの分厚い殻を力任せに割って身から引き剥がしながら、麗しの髭ジジは憂いを帯びた表情になった。

「我ら魔法剣士の一族にとって、聖剣を生み出せるルシウスは希望の星。ですがそれが自分の弟となると……」

 メガエリスにとっては自分の息子が聖剣持ちでも、ただ誇らしいだけだった。
 だが兄カイルは、それが年の離れた弟だった。
 そうして密かに劣等感を抱えていたところに、あの母方の叔父が余計な不和の種を撒きに来たのだから、メガエリスはハラワタが煮えくり返っている。
 今回、お嫁さんブリジットが機転をきかせて王都本邸に出入り禁止にできたことは実に喜ばしい。



 それに、あの兄弟の兄カイル側が一方的にギクシャクし始めたきっかけのとき、メガエリスもその場にいた。
 ルシウスが8歳、兄カイルが15歳のときだ。自宅の練兵場で家族で魔法剣を創る訓練をしていたことがあった。
 血筋の中に金剛石ダイヤモンドの魔法剣を伝えて来ているリースト伯爵家の者でありながら、ルシウスは物心ついてもなかなか魔法剣を出すことができなかった。
 ようやく作れるようになった、そのたった一本が聖剣だったことから、メガエリスは腰を抜かしそうになったものだ。

 だが、しかし。

「『聖剣ってすごいの? 一本だけなんてショボすぎる!』と不満そうだったルシウスを見る、兄カイルの顔が私はいまだに忘れられませぬ」
「まあ、魔法剣を何十何百と持っていたとて、聖剣には敵わぬものな」

 メガエリスは8本。その長男カイルは49本の魔法剣を出せる。
 魔法剣士の力量は創り出せる魔法剣の数に比例する。魔法剣は魔力の塊で、魔法剣の本数が多いとはイコール魔力量が多いことのためだ。

 間違いなく兄カイルはリースト伯爵家が誇る天才だった。

 だが、その弟ルシウスは本人曰く『ショボい一本』の聖剣で、49本もの魔法剣を生み出せる天才の兄を軽々凌駕してしまった。
 以来、兄カイルは弟に対して複雑な思いを抱き続けているようだった。


しおりを挟む
感想 291

あなたにおすすめの小説

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。 ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。 そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。 問題は一つ。 兄様との関係が、どうしようもなく悪い。 僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。 このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない! 追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。 それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!! それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります! 5/9から小説になろうでも掲載中

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

処理中です...