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第一章 異世界転移、村ごと!
俺、ばあちゃんちで幼女とチョコ食べる ※おいちい回
しおりを挟むアイスを楽しんだ後は、村役場のカートを借りてピナレラちゃんを乗せてばあちゃんちに向かった。
俺がゴールデンウィークに帰省したときスーツケースを運ぶのに使ったのと同じタイプのアルミ製のやつだ。
「わあ! はやいはやい、おにいちゃはやい! もっと! もっとー!」
ど田舎村にも農産物を運ぶ鉄や合金性のカートはあるようだが、日本で使ってたカゴ型カートにピナレラちゃんはテンション上がりまくりだった。
は、走るよ……お兄ちゃんは走る……!
ばあちゃんちの敷地まではふつうに徒歩で十五分。アスファルトの道路があるのでそこまではスムーズにすいーっと進み。
日頃から運動は欠かさなかったが、さすがにずっと全力疾走でカートを押し続けて息が切れた。ち、ちょっとタイム、タイム……! 足がガクガクしてきた! というところでばあちゃんちが見えてきて安堵する。
敷地に入ると砂利や土があってガタゴト振動がきつくなるので、ピナレラちゃんにカートから降りてもらって家まで歩いた。
「ただいまあ」
「おじゃましますなのだー」
アルミ枠にすりガラスの引き戸を開けて中に入る。
うん、この世界に来る前、俺が村役場に出勤した朝と何も変わっていない。
家の中もやはり電気がついた。ばあちゃんちも村の補助金で太陽光発電の自家発電システムが入っている。アンペア数は低いので電子レンジやエアコン、ドライヤーなどは使えないが、家の中の電球や蛍光灯、冷蔵庫を維持する程度なら問題ない。
5LDKの部屋それぞれと室内の押入れや収納庫もぜんぶ見て回ったが異常なし。
最後に台所で水道を捻ると、――水が出た。透明だ。泥で濁ったりもしていない。
恐る恐るコップに注いで一口、口に含む。……いつも飲んでるもなか村の味ではなかった。しかしうまい。これで緑茶を淹れたら絶品間違いなしだ。ということは、ど田舎村の自然水ということか。
「もなか村の水源と、この土地の水源が繋がったんかな……?」
まだ断定はできないが、そう間違った想像でもなさそうだった。
ピナレラちゃんは借りてきた猫のように静かだ。いや興味深そうに台所の棚の中や壁などを見回して、しげしげと見つめている。
そんなピナレラちゃんを見て、いたずら心が芽生えた。……いや、変な意味じゃなくて。ないからな!?
食器棚の下部分、収納庫になってるところには乾物や買い置きの菓子が入っている。その中に俺が東京の会社を辞めたとき、社内の女性陣がくれた餞別のチョコレートが透明ビニール袋にぎっしり入って二袋入っていた。一袋だけ開けてあったがそれもまだ半分以上残っている。
スイスの有名チョコレートである。
俺とばあちゃんがチョコレート好きだと覚えていた人が社内にいたようで、俺が退職すると知って、餞別のカンパを募って何袋も大袋でプレゼントしてくれたのだ。
退職届を出して有給消化中でアパートを引き払う準備をしていたところに、元上司がどっさり五袋分持ってきてくれて、驚いたの何の。
村役場の人たちに三袋分をお裾分けして、二袋分は自分ち用にストックしてあったものだ。
毎日少しずつ楽しんでいたが俺とばあちゃんだけで食い切るにはまだまだ時間がかかる。
「ピナレラちゃん。これ好きなの一個どうぞ」
食卓の上にチョコレートのカラフルで丸い包みを五個のせた。さっきもアイスを食べたばかりだし、まずはお一つ。
「んーとねえ。……これ!」
ピナレラちゃんが選んだのは自分の髪色と同じキャラメルブラウンの包み。包装紙の開け方を教えてやって、そのまま食べてみてと促す。
大きく口を開けてキャラメル味のチョコレートをもぐもぐするピナレラちゃんは……一瞬固まった後、派手に顔を蕩けさせていた。
「おいちい……おいちいい……」
それを見て満足した俺は赤い包みを取る。これはミルクチョコレートだったかな。……うん、安定の海外の高級チョコレート。あまい。うま!
もう一個ぐらい食べさせてもいいかなと思ったが、まだ小さい子にカロリーの高いチョコばかりは考えものだ。
まだ百個以上残ってるなあ~。
「これ、男爵さんとこ差し入れておくから。あとは明日以降に皆で少しずつ食べよう?」
「ほんと? うれちい!」
あとは倉庫から大型のクーラーボックスを持ってきて、ピナレラちゃんにお手伝いしてもらいながら業務用のゴツい保冷剤と一緒に冷蔵庫の中身を詰め込んでいった。
発電機だっていつ壊れるかわからないから、賞味期限の近いものから男爵家やど田舎村の人たちと一緒に消費してしまおうとばあちゃんに言われていたのだ。
冷蔵庫はスーパーもない田舎の民家だから一般家庭用よりずっとデカい。こりゃあと何回か往復しないとな……数日かかるか。
村長と勉さんも、もう年だ。この距離を車なしの徒歩往復はきついだろう。必然的に運搬役は俺がやらなきゃ。
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