異世界転移!?~俺だけかと思ったら廃村寸前の俺の田舎の村ごとだったやつ

真義あさひ

文字の大きさ
37 / 216
第一章 異世界転移、村ごと!

俺、幼女ぽんぽんしながら掲示板を見る

しおりを挟む
「ユキちゃんの好きでええ。ご先祖様のお墓もアキちゃんのお骨もちゃんとあるでな、ばあちゃんは賛成」

 アキちゃんとは、ばあちゃんの次男である俺の叔父の長男で、俺とは同い年だった従兄弟のことだ。
 もう随分と前に事故で亡くなってしまって、ばあちゃんは叔父がもなか村の共同墓地に墓を建てるまでお骨を家で預かってるのだ。
 叔父の家族で少しいざこざがあって、墓は十年以上経った今もまだ建てられていない。御米田家の先祖代々の墓はもうキャパシティオーバーなので、親父か俺の世代で新しいのを追加で建てなきゃいけなかったんだ。そのせいもある。
 従兄弟の遺骨は、ばあちゃんが仏壇のある部屋に大事に保管して、毎日じいちゃんへと一緒に線香を供えていた。もなか村には預ける寺ももうなかったし。
 俺も出勤前、朝だけ仏壇と遺骨に手を合わせている。

 話し込んでいるとあっという間に夜の十時を過ぎていた。
 しばらくはピナレラちゃんが慣れるまで、ばあちゃんの部屋に布団を並べて三人で寝ると決めてあった。
 ばあちゃんはともかく、俺は背が高くてそこそこ身体がデカいので布団も大きめだ。ピナレラちゃんには客用の枕を用意して、俺の布団で一緒に寝かせることにした。

「ピナレラちゃん。ばあちゃん、ピナレラちゃんの新しい枕とお布団作るがらなあ」

 さすがにもう俺が子供の頃の小さい布団はばあちゃんも処分済みだった。
 しかし俺のばあちゃんはな、材料さえあれば自分でワタを詰めて布団を作っちまえるのだ。主婦歴半世紀超え、半端なさすぎである。

 常夜灯のオレンジの薄明かりだけ残して、ばあちゃんも眠り、俺も掛け布団の上からピナレラちゃんのお腹のあたりをやさしくぽんぽんしていた。

 俺はやはりピナレラちゃんのお父ちゃんポジションだな……
 嫁に狙ってるんじゃないかって? おいやめろ、俺はそういう危ない間違いは犯さない男だぞ。俺は異世界チートに光源氏みたいなのは求めてない!

 ………………ロマンスがあるほうの異世界転移だったら良かったなあと、ちょっとだけ思ってるけど。ちょっとだけ。

 ……嘘です、この先良い出逢いがあったらいいなとものすごく期待してるっぺ!
 せめて限界集落のど田舎村を出ないとどうにもならんとは思うんだが。まあ、その辺はおいおい考えていこう。



 心の中で誰ともなく言い訳しながら、俺は枕元に置いてあったスマホを手に取った。
 通信状態を確認する。相変わらず謎電波がつながっていた。

 ネット掲示板の閲覧アプリをタップする。異世界に来てすぐ戯れに開いたスレ『村ごと異世界転移したけど質問ある?』が……随分と盛況だ。もう300過ぎまで書き込みがある。
 スレには『証拠見せろ』『お前は誰だ』など俺の個人情報を要求するコメントで溢れていた。

 少し考えて、俺は自分の氏名〝御米田ユウキ〟と〝もなか村のバイト〟だった事実をスレ主イッチとして書き込んだ。
 信じるか信じないかはお前ら次第だぜ。
 というか、異世界に転移してしまった今、個人情報を隠したままより、すっかり晒しておいたほうが暇なスレ住人たちが勝手にこの不思議な現象について調べてくれると思ったんだ。

 ついでに、スマホで撮った異世界の写真を何枚か画像アップロードサービスに登録してURLを載せた。
 せっかくなので、昼間ばあちゃんに撮ってもらった異世界幼女ピナレラちゃんと俺のツーショット写真も混ぜておいた。

 ……速攻で『幼女と戯れるほうの異世界転移……だと……』『もげろ。もげろイッチ』『幼女とリア充。う、羨ましくなんかないんだからねッ』『おまわりさんこっちです』『逃げて幼女マジ逃げて』『イッチ、イケメン!抱いて!』などの返信で溢れ返った。
 くそ、オカルト板の住人どもめ。イッチおれで遊ぶんじゃありません!

 それからしばらく、ばあちゃんとピナレラちゃんの寝息をBGMにしながら眺めていたが、建設的な意見は今日はもう出なさそうだった。

 ただ最後に俺は一つだけ、ネット掲示板『村ごと異世界転移したけど質問ある?』スレッドの住人たちにお願いをした。


『もなか村には神隠し伝説があった
 それが異世界転移の原因だと思ってる』

『同じような国内外の神隠し伝説を調べてくれないか?
 異世界から日本に戻れる可能性があるのか
 俺に教えてほしい』


 ネットの掲示板は基本的に便所の落書きだが、書き込みする利用者たちの中には時々とんでもない〝在野のプロ〟が存在する。
 どう見ても専門家以上の知識と経験、人脈の持ち主が紛れているのだ。

 俺は異世界転移の謎の解明を、その在野のプロたちの働きに賭けてみることにした。
 さて、結果は出るのか出ないのか。

 お前ら、頼りにしてるぜ。


しおりを挟む
感想 271

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...