異世界転移!?~俺だけかと思ったら廃村寸前の俺の田舎の村ごとだったやつ

真義あさひ

文字の大きさ
71 / 216
第一章 異世界転移、村ごと!

その頃、日本では~side元カノ、おまじないを思い出す

しおりを挟む
 ユウキ君からのメッセージと、ブロックされたショックで泣きながら眠った翌朝。

「なにこれ……むくみが取れてないわ」

 洗面所の鏡の中の自分の顔がおかしい。
 どれだけ前日に酒を飲んでも二日酔いもなければ、むくみもなくスッキリしているはずなのに。

 イライラしながら冷たい水で顔を洗う。朝食代わりのスムージーをブレンダーで作りながら、私は過去を思い返していた。

 ユウキ君と付き合っていたとき、彼は私の思い通りだった。
 正直に言うが私の初めての相手はユウキ君だ。彼自身、経験のない女性と付き合ったのが初めてだったそうで、それもあってすごく大切にしてくれたのだ。
 結婚を考えてくれるようになったのは、責任を取る意味合いも多かったのではないかしら。

 逆に、八十神先輩と付き合い始めてから、彼が私の思うように動くことは滅多になく、苛立ちばかりがあった。
 付き合う前はわからなかったけど、彼はあまり女性を大切にするタイプではない。ユウキ君にとても大事にしてもらってたから、対照的すぎてよくわかった。

 セロリとパイン、蜂蜜入りのスムージーを飲んで一息。

 ――パキッと大きな、何かが壊れる音がした。
 確認すると、寝室のカラーボックスの上、布を敷いてお札を立てているだけの簡易神棚に飾っていた天然石が割れていた。青森の地元の山で採掘された茶水晶だ。
 見事に縦に真っ二つ。

「何これ……青く光ってる……?」

 割れた茶水晶を青い光が覆っていた。だがその光は私が見ている前ですぐに消えた。
 後には割れた茶水晶だけが残っている。

「そうだった。私、おまじないを忘れてた」



 私の実家は青森の片田舎にある。イタコで有名な恐山から車で四十分ほど離れた田舎だ。

 地元の地主一族だったから生活に不自由したことはなかったけど、田舎すぎて遊びに行く場所が小規模のショッピングモールしかない。
 私はそれが嫌で嫌で、親を説得して大学からは東京に上京し、以来一度も帰っていない。結婚したら夫を連れて戻るとだけ約束させられているけれど。

 私の父方の叔母に、若い頃、祈祷師に弟子入りしていた霊能者がいる。
 子供の頃から可愛がってくれた人で、私自身も懐いていた。
 ただ、私に素質があると言って祈祷師の真似事をさせようとするのだけは辟易としていた。神棚の前で祝詞のようなものを唱えるだけなんだけど、終わった後はお取り寄せの珍しいお菓子でお茶したり、お小遣いをくれるからそれ目当てに通っていた感じ。

 東京に進学する前、その叔母から縁結びのお守りを貰っていた。そう、今回割れたこの茶水晶だ。
「絶対、アゲチンの男を見つけろ」と厳命されて。
 叔母は親戚の中でも羽振りの良い人だった。テレビで見る芸能人が何人も叔母を訪ねてくるほど。……祈祷師として腕が良かったのだと思う。

 でもこんな天然石に効果があるなんて私は信じていなかった。
 けど持ち歩くと不思議と周りの人が私に親切になるので、就職した後もバッグの内ポケットに入れたままにしていた。

 だけど去年、新卒で入社してきた新人でユウキ君と同じ営業部に配属された子がいる。やる気のない子でユウキ君が部下として引き取った子だ。名前は確か鈴木君。
 あるときアフターファイブの飲み会のとき、ユウキ君が鈴木君を紹介してくれたことがある。
 そのときうっかり茶水晶を見られて、ボロクソにdisられた。

『うっわー。野口先輩、そういうの好きな人? パワーストーン好きの女の人って地雷率高いって本当なんスかね?』

 すぐにユウキ君が彼を怒ってくれて、その話はそれっきり。
 だけど私は気まずくて、それから茶水晶の持ち歩きはやめてこうして寝室に簡易神棚をしつらえて飾るようになったのだ。



「……私がユウキ君との関係を考え直すようになったの、いつからだったかしら」

 その後、新橋の会社への通勤ラッシュに揺られながら思い返してみると、去年の後半だった。
 会社に着いてから始業時間まで余裕があったので、カフェスペースに寄ってカフェオレを飲みながら、叔母から定期的に来る過去メールを確認してみた。
 数年前、入社前後の頃のメールに答えがあった。

「…………石の効果は男一人につき一つ。しまった。八十神先輩には新しい石を使わなきゃいけなかったのね」

 そこで私は閃いた。
 八十神先輩なんてもう要らない。
 霊能者の叔母なら、もう一度ユウキ君と復縁するための方法を知ってるんじゃないかしら?


しおりを挟む
感想 271

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...