異世界転移!?~俺だけかと思ったら廃村寸前の俺の田舎の村ごとだったやつ

真義あさひ

文字の大きさ
73 / 216
第一章 異世界転移、村ごと!

俺、指輪を真っ二つ

しおりを挟む
 勤め先は新卒で就職した業界老舗の総合商社だ。給料水準は元カノもわかってたはず。
 俺は将来性は間違いなくある男だった。これは自分でも自負している。

 大学時代からずっと新宿の単身者用アパート住まいで、駅から遠いから破格の共益費込み月四万。
 ほとんど自炊と社食とチェーン店の牛丼で食事してたし、髪は毎月駅前の千円カット。仕事着のスーツも社販で済んでたし、私服は先述のようにベーシックアイテムは量販店で適当に。
 贅沢してない。支出は完璧に管理していた。

 その分ガチで給料は貯金と投資に回してて、元カノとの結婚後、彼女が会社を辞めて専業主婦で子供二人作っても余裕なライフプランを計画していた。表計算ソフトでゴリゴリに作り込んでいた。

 ……ただ、元カノが憧れていたセレブ生活までは無理だ。
 住みたがってた港区のタワーマンションも無理。それだったら現役で子供が一人立ちするまでは都内の団地にでも住んで、貯蓄や投資で早期FIREを目指して俺の両親みたいに東南アジアのコンドミニアムを買っちまったほうがいい。

 日本にいたいなら、いつまでも独身のお嬢さん気分でいてもらっては困る。
 今みたいにブランド物の財布やバッグを買って、毎月美容室に通って艶々の髪を維持し、月に二回のネイルサロンとエステやスパ通いを結婚後も続けたいならその分は本人が復職なりパートなりしてもらいたかった。

「……その人生計画を君と一緒に立てなかったこと。俺の敗因はそこだったんだろうな」

 自分だけで突っ走って、自滅してしまった。
 そしていま俺は異世界にいて、ここに骨を埋める覚悟も固まりつつある。

 もうメッセージが元カノに届いてようと届いてなかろうと終わりにしようと思った。

 彼女を思い出して辛くなったら、大好きなばあちゃんや、めんこいピナレラちゃん、顔が好みの麗しのユキりんを見て癒されよう。一緒に美味いもん食って笑い合おう。

 そうしたら元カノの名前も顔も声も何もかも、全部忘れるまでそう時間はかからないはずだ。


 机の上に置いていた、あの曰く付きの指輪ケースを手に取り開いた。
 ピンクゴールドと小さいダイヤが一粒。
 貴金属や宝石の価値はこの異世界でもほぼ同じらしいので、そのうち男爵に頼んで売り払ってもらおうと思っていたが……

 俺は風呂上がりのパジャマ姿のまま、そーっと縁側から庭に出た。う、六月とはいえ、ど田舎村もまだ夜は寒いな……
 サンダルを足に突っ掛けて、庭の端から適当に平たい石を一個、部屋の明かりが届くところまで持ってくる。
 指輪を上にそっと石の上に置いた。

「……王様のチート剣、出てこい」

 胸の辺りにカッと熱い熱を感じたと思ったら、目の前にぼわっと真紅の魔力が吹き出して、あの夢の王様から貰った大剣に変わった。
 大剣は少し前にユキりんを首枷から解放したときの、あの青い光をまだちょっとだけ帯びている。

「む。剣がでかいから調整が難しいな……せーの!」

 剣の柄を両手で握り、そーっと切っ先を指輪に向ける。そして一気に落とした。
 ぱきん、と指輪は真っ二つ。

 割れた指輪はまたケースに戻しておいた。明日辺り、川に行って流してきてしまおう。
 これは俺なりのけじめだった。光るもなか川の水に沈めれば良い禊になると思ったのだ。




しおりを挟む
感想 271

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...