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第二章 異世界ど田舎村を救え!
その頃、日本では~side元後輩
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どーも、ユウキ先輩の可愛い後輩鈴木っス。
五月に先輩が退職してもう八月。オレも他の御米田派閥メンバーもすっかり先輩のいない会社に慣れちまって。
いつもの仕事上がりのファミレスオフもだらけて惰性でやってる感じスね。
それでも先輩の元カノや八十神の野郎は社内でも注目が集まってるので、顔を合わせると彼らの会話になりがち。
ちなみにオレは元カノさんがユウキ先輩のネット掲示板スレに書き込んでることは誰にも言ってない。当事者の先輩にメッセージで教えたぐらい。
同じ派閥メンバーは信頼してるけど、こういうの拡散すると余計なトラブルになりそうだし。
今日ホットな話題はその元カノさんだ。
「薄々気づいてましたけど、元カノさんてさげまんスよね?」
「うん……」
「御米田さんと八十神さん、社内の出世頭二人も手玉に取ってたものねえ……」
「一人は退職に追い込み、もう一人も仕事で不調。うちの部署は課長が気をつけるようにって独身の男性に注意喚起してたよ」
うちは東京新橋の総合商社だ。本社の自社ビルだけで百人超える社員がいるけど、話が回るのは早かったみたいっス。
「御米田君が辞めたのは会社的にも痛かったみたい。彼、取引先のお偉いさんたちのお気に入りだったから」
「あーみどり社長とか強烈なのに限ってユウキ先輩のこと大好きでしたもんね」
聞けば、みどり社長はやっぱりあの見た目や言動のせいで、会社も扱いづらい取引先だったようだ。
上層部は社長一族が海外でやらかしたポカのフォローの恩があって強く言えないようだし。
ユウキ先輩が担当者だった頃は先輩が行くだけで機嫌が良かったそうだから重宝してたようだ。元々知り合いだったようだしね。
「八十神が不調ってのは?」
「最近ずっと調子悪そうでね。この間、半休取って通院してから出社してたわ。大丈夫かしら」
「そりゃざまぁっていうか」
「鈴木君。さすがに体調悪い人にその言い方は良くないわ。普段から言ってるといざ大事な場面でも悪い言葉って出ちゃうものよ。気をつけて」
「はーい」
先輩が退職した後、この女の先輩のように口うるさい人が増えた。
というか先輩がくれぐれもオレのことをよろしくと周りにお願いしてあったらしい……
俺のこの性格は昔からだ。ユウキ先輩にだいぶ矯正されたけど三つ子の魂百までって言うじゃん。これでも社会人らしいマナーもかなり身についたほうですよ。
とテーブル席の前に座ってた女の先輩の胸元に金色のワイヤーでお洒落に巻かれた透明な水晶ポイントのペンダントを見つけた。
ユウキ先輩の元カノが持ってたほんとに〝原石〟て感じのとは違って、キラキラしたビーズもワイヤーに通っててすごくお洒落で品のあるデザインだ。
「そういうのパワーストーンていうんですっけ。やっぱり流行ってるんですか?」
「そうね。幸運があったらいいなって思うけど、これはデザインが素敵だったから」
「ユウキ先輩の元カノさんが剥き出しの原石持ち歩いててドン引きだったんですよ。ああいうのはちょっと怖いですよね」
「野口さんが? 彼女そういうスピ系好きな人には見えないけど……」
最近の俺は元カノさんと社内のカフェスペース限定の茶飲み友達だ。
明日あたり会ったらパワーストーンのこと聞いてみようと思いながら、ドリンクバーのメロンソーダをずずずっとすすった。そんで案の定女の先輩に怒られた。すんませんwww
翌日、午後小腹が空く時間帯にカフェスペースに行くと例の元カノさんがカフェオレでクッキーをおやつにしていた。
さっそく例の、以前この人が持ってた天然石のことを聞いてみると。
「石? ああ茶水晶のことね。田舎の叔母がそういうの販売してる人なの。こっちに上京する前に『いい男が見つかりますように』ってわざわざご祈祷済みのものを貰ったのよ」
「へえ。社内のイケメン二人と付き合えたんだから効果は本物だったんスね」
すると元カノさんの表情が翳った。
「ユウキ君のときはね。でも新しい人とお付き合いするときは新しい石を使わなきゃ駄目だったみたい」
「ははは……結局どっちとも別れてますもんね」
よくよく話を聞いてみると、その叔母ってのは現地じゃ有名な霊能者だったようで。貰った天然石もどこの呪物? みたいな代物だったようだ。
……待て。いやほんと待って?
この女、そんなもの使ってユウキ先輩を手に入れてたのか?
その話が本当か嘘かはわからないけど……そもそも、そんな怪しい話を俺みたいなろくでもない後輩君にあっさり話してる時点でちょっとこの女はヤバいんじゃないか?
大抵のことじゃ動じないオレの背中に冷たいイヤな汗が流れた。
一通り聞き終わって、オレはフラフラしながら営業部に戻る前にトイレに行った。
顔をざばざば洗って、うがいもして、ストロングミントのタブレット数個をガリガリ齧ってようやく一息ついた。
洗面所の鏡に映る、どこにでもいそうな薄いモブ顔がげっそりしてた。
「ユウキ先輩……マジであんた危機一髪だったかも……あと八十神もな……」
NEXT→その頃、日本では~御米田の父親が八十神に会いに来た……
五月に先輩が退職してもう八月。オレも他の御米田派閥メンバーもすっかり先輩のいない会社に慣れちまって。
いつもの仕事上がりのファミレスオフもだらけて惰性でやってる感じスね。
それでも先輩の元カノや八十神の野郎は社内でも注目が集まってるので、顔を合わせると彼らの会話になりがち。
ちなみにオレは元カノさんがユウキ先輩のネット掲示板スレに書き込んでることは誰にも言ってない。当事者の先輩にメッセージで教えたぐらい。
同じ派閥メンバーは信頼してるけど、こういうの拡散すると余計なトラブルになりそうだし。
今日ホットな話題はその元カノさんだ。
「薄々気づいてましたけど、元カノさんてさげまんスよね?」
「うん……」
「御米田さんと八十神さん、社内の出世頭二人も手玉に取ってたものねえ……」
「一人は退職に追い込み、もう一人も仕事で不調。うちの部署は課長が気をつけるようにって独身の男性に注意喚起してたよ」
うちは東京新橋の総合商社だ。本社の自社ビルだけで百人超える社員がいるけど、話が回るのは早かったみたいっス。
「御米田君が辞めたのは会社的にも痛かったみたい。彼、取引先のお偉いさんたちのお気に入りだったから」
「あーみどり社長とか強烈なのに限ってユウキ先輩のこと大好きでしたもんね」
聞けば、みどり社長はやっぱりあの見た目や言動のせいで、会社も扱いづらい取引先だったようだ。
上層部は社長一族が海外でやらかしたポカのフォローの恩があって強く言えないようだし。
ユウキ先輩が担当者だった頃は先輩が行くだけで機嫌が良かったそうだから重宝してたようだ。元々知り合いだったようだしね。
「八十神が不調ってのは?」
「最近ずっと調子悪そうでね。この間、半休取って通院してから出社してたわ。大丈夫かしら」
「そりゃざまぁっていうか」
「鈴木君。さすがに体調悪い人にその言い方は良くないわ。普段から言ってるといざ大事な場面でも悪い言葉って出ちゃうものよ。気をつけて」
「はーい」
先輩が退職した後、この女の先輩のように口うるさい人が増えた。
というか先輩がくれぐれもオレのことをよろしくと周りにお願いしてあったらしい……
俺のこの性格は昔からだ。ユウキ先輩にだいぶ矯正されたけど三つ子の魂百までって言うじゃん。これでも社会人らしいマナーもかなり身についたほうですよ。
とテーブル席の前に座ってた女の先輩の胸元に金色のワイヤーでお洒落に巻かれた透明な水晶ポイントのペンダントを見つけた。
ユウキ先輩の元カノが持ってたほんとに〝原石〟て感じのとは違って、キラキラしたビーズもワイヤーに通っててすごくお洒落で品のあるデザインだ。
「そういうのパワーストーンていうんですっけ。やっぱり流行ってるんですか?」
「そうね。幸運があったらいいなって思うけど、これはデザインが素敵だったから」
「ユウキ先輩の元カノさんが剥き出しの原石持ち歩いててドン引きだったんですよ。ああいうのはちょっと怖いですよね」
「野口さんが? 彼女そういうスピ系好きな人には見えないけど……」
最近の俺は元カノさんと社内のカフェスペース限定の茶飲み友達だ。
明日あたり会ったらパワーストーンのこと聞いてみようと思いながら、ドリンクバーのメロンソーダをずずずっとすすった。そんで案の定女の先輩に怒られた。すんませんwww
翌日、午後小腹が空く時間帯にカフェスペースに行くと例の元カノさんがカフェオレでクッキーをおやつにしていた。
さっそく例の、以前この人が持ってた天然石のことを聞いてみると。
「石? ああ茶水晶のことね。田舎の叔母がそういうの販売してる人なの。こっちに上京する前に『いい男が見つかりますように』ってわざわざご祈祷済みのものを貰ったのよ」
「へえ。社内のイケメン二人と付き合えたんだから効果は本物だったんスね」
すると元カノさんの表情が翳った。
「ユウキ君のときはね。でも新しい人とお付き合いするときは新しい石を使わなきゃ駄目だったみたい」
「ははは……結局どっちとも別れてますもんね」
よくよく話を聞いてみると、その叔母ってのは現地じゃ有名な霊能者だったようで。貰った天然石もどこの呪物? みたいな代物だったようだ。
……待て。いやほんと待って?
この女、そんなもの使ってユウキ先輩を手に入れてたのか?
その話が本当か嘘かはわからないけど……そもそも、そんな怪しい話を俺みたいなろくでもない後輩君にあっさり話してる時点でちょっとこの女はヤバいんじゃないか?
大抵のことじゃ動じないオレの背中に冷たいイヤな汗が流れた。
一通り聞き終わって、オレはフラフラしながら営業部に戻る前にトイレに行った。
顔をざばざば洗って、うがいもして、ストロングミントのタブレット数個をガリガリ齧ってようやく一息ついた。
洗面所の鏡に映る、どこにでもいそうな薄いモブ顔がげっそりしてた。
「ユウキ先輩……マジであんた危機一髪だったかも……あと八十神もな……」
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