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第二章 異世界ど田舎村を救え!
俺、王様を煽ってしまった
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「ええと……それで王様、メガネ君はどうなりましたか?」
「まだ目を覚まさない。そろそろ四年。これ以上昏睡状態が続けば命も危うい」
「ど田舎村に何か答えがあるってことでしたけど。具体的に教えてくれれば俺のほうでも調べますけど」
「ならば、――――」
「?」
王様が口をパクパク動かしているが、何を言っているか聞こえない。
俺が首を傾げたのを見て、途中で王様も気づいたのだろう。何度か繰り返したが、やがて諦めて玉座の背もたれに大きな身体を預けて溜め息をついてしまった。
王様は少し汗の滲んだ前髪を大きくかき上げて、少し困った顔で俺を見下ろした。
「過去に生きるお前に伝えてはならない情報のようだ。済まぬがお前なりにどうにか答えを見つけてほしい」
「ヒントゼロでは無理ですよ!?」
無茶振りはやめてけれ!
「ゼロではなかろう。私の人生を一通り見たお前ならわかるはずだ。勇者の前世はお前の祖母の孫なのだ」
あ。そうか。なるほど。
ここでようやく俺はこの王様が夢を通じて俺に干渉した理由を知った。
俺のプライバシーを覗きたいんじゃなくて、倒れたままの勇者君を助ける手段を知りたかったんだ。もっと早く言ってけろ……けんどなあ。
「孫って、俺の従兄弟でしょう? でもそいつはもう」
十年以上前に亡くなってる、と伝える前に俺の意識は暗転し始めて、けど最後にこれだけはと叫んだ。
「恋愛運ど底辺の王様に嫁祈願してすんませんでしたー!」
『………………貴様、次に会ったときは覚えてろよ……?』
めちゃくちゃ切れた王様の声が聞こえた……
* * *
チュンチュン、チチチ……
ど田舎村の賑やかな小鳥たちの鳴き声で目を覚ました。
夏だから外はもう明るかったが、まだばあちゃんも起きてない早朝だ。
俺はそーっと家の中の皆を起こさないように仏壇のある部屋に向かった。
仏壇には俺がまだ子供の頃に亡くなったじいちゃんと、例の従兄弟の位牌が二つ並んでいる。手前には花とお菓子が。
奥側にはそれぞれの元気だった頃の写真も飾られている。
従兄弟はまだ中学生の頃のだ。夏休みに撮った半袖ポロシャツと短パン姿の、俺と同じ黒髪黒目の……そうだあいつもメガネ君だったっけ。
端正な顔立ちなのは俺と同じ。でも俺ほどアグレッシブなところのない優しい子だった。性格もばあちゃんと同じでおっとり上品さんだったっけ。
手前に木の低い段があって、上に白い絹の袋に入ったメロン箱サイズの遺骨入れがある。
叔父さんがもなか村に新しい墓を建てるまではと、ばあちゃんが預かっていたやつだ。
「王様。これが勇者君の前世……だべな? けんどこれをどうしたらいい?」
そんで俺は肝心なことを思い出した。
「チート剣の魔石残機、増やしてもらうの忘れた……」
やはり一回使いきりなのだろうか。あと二回分しかないと思うか、まだ二回分もあると思うか。微妙なとこだべ。
部屋に戻って、俺は日記に夢の内容をまとめた。
「王様は好きな子に愛されたい気持ちを代償に、夢を通じて過去に干渉する魔力を得た。俺は多分王様の前世とかそのへん」
夢見の術だったか。その術を使って百年前の過去にいる俺たちの様子を覗いたり、夢で俺と会ったりなわけだ。
「……けんど」
夢見の術の詳細はまだ全体像というほど俺に明かされてない。だが俺は自慢じゃないがなかなか賢い男なのだ。ある程度の予想は立てられる。
過去の俺と、未来の王様。もしかして俺はただの夢……
………………と考えたところで思考が止まり、一瞬だけ意識がホワイトアウトしてすぐまた戻ってきた。
駄目だな。危険だ。これは考えないで一度ブラックボックスに封入だ。いつかハッキリ答えが出るまで保留!
ともあれ王様だ。あの人、結局王様なのにまだ独身け?
あの調子じゃ竜殺しのべっぴんと結婚も無理だろうし、結婚できても王家は不毛だ。
「……俺の恋愛運が悪いのは王様から悪影響を受けてるからか……?」
呟いた瞬間、背筋がゾクっと冷たくなった。
み、見てるのか、見てるのか今のこの俺を、王様!?
軽く目線を上に上げて見たが、それ以上の悪寒はなかった。
「王様。あんた、好きな子へだけじゃなくて、他人に向ける愛情ぜんぶ根こそぎ生贄に捧げちまったとか言わないか?」
王様が俺で、俺が王様だというなら、俺が他人を本気で好きになれないのは俺の中の恋愛感情が最初から空だった可能性がある。
「……嫁。欲しいんだけどなあ」
いやいやいや。まだまだ諦めるには早いっぺ!
俺好みの、綺麗めで可愛くて巨乳の嫁っ子を何としてでも迎えて見せる……!
まあ王様は別に巨乳に興味はなさそうだったけどな。そこは好みが違うようだった。
NEXT→御米田は家族で健康体操をやった……
「まだ目を覚まさない。そろそろ四年。これ以上昏睡状態が続けば命も危うい」
「ど田舎村に何か答えがあるってことでしたけど。具体的に教えてくれれば俺のほうでも調べますけど」
「ならば、――――」
「?」
王様が口をパクパク動かしているが、何を言っているか聞こえない。
俺が首を傾げたのを見て、途中で王様も気づいたのだろう。何度か繰り返したが、やがて諦めて玉座の背もたれに大きな身体を預けて溜め息をついてしまった。
王様は少し汗の滲んだ前髪を大きくかき上げて、少し困った顔で俺を見下ろした。
「過去に生きるお前に伝えてはならない情報のようだ。済まぬがお前なりにどうにか答えを見つけてほしい」
「ヒントゼロでは無理ですよ!?」
無茶振りはやめてけれ!
「ゼロではなかろう。私の人生を一通り見たお前ならわかるはずだ。勇者の前世はお前の祖母の孫なのだ」
あ。そうか。なるほど。
ここでようやく俺はこの王様が夢を通じて俺に干渉した理由を知った。
俺のプライバシーを覗きたいんじゃなくて、倒れたままの勇者君を助ける手段を知りたかったんだ。もっと早く言ってけろ……けんどなあ。
「孫って、俺の従兄弟でしょう? でもそいつはもう」
十年以上前に亡くなってる、と伝える前に俺の意識は暗転し始めて、けど最後にこれだけはと叫んだ。
「恋愛運ど底辺の王様に嫁祈願してすんませんでしたー!」
『………………貴様、次に会ったときは覚えてろよ……?』
めちゃくちゃ切れた王様の声が聞こえた……
* * *
チュンチュン、チチチ……
ど田舎村の賑やかな小鳥たちの鳴き声で目を覚ました。
夏だから外はもう明るかったが、まだばあちゃんも起きてない早朝だ。
俺はそーっと家の中の皆を起こさないように仏壇のある部屋に向かった。
仏壇には俺がまだ子供の頃に亡くなったじいちゃんと、例の従兄弟の位牌が二つ並んでいる。手前には花とお菓子が。
奥側にはそれぞれの元気だった頃の写真も飾られている。
従兄弟はまだ中学生の頃のだ。夏休みに撮った半袖ポロシャツと短パン姿の、俺と同じ黒髪黒目の……そうだあいつもメガネ君だったっけ。
端正な顔立ちなのは俺と同じ。でも俺ほどアグレッシブなところのない優しい子だった。性格もばあちゃんと同じでおっとり上品さんだったっけ。
手前に木の低い段があって、上に白い絹の袋に入ったメロン箱サイズの遺骨入れがある。
叔父さんがもなか村に新しい墓を建てるまではと、ばあちゃんが預かっていたやつだ。
「王様。これが勇者君の前世……だべな? けんどこれをどうしたらいい?」
そんで俺は肝心なことを思い出した。
「チート剣の魔石残機、増やしてもらうの忘れた……」
やはり一回使いきりなのだろうか。あと二回分しかないと思うか、まだ二回分もあると思うか。微妙なとこだべ。
部屋に戻って、俺は日記に夢の内容をまとめた。
「王様は好きな子に愛されたい気持ちを代償に、夢を通じて過去に干渉する魔力を得た。俺は多分王様の前世とかそのへん」
夢見の術だったか。その術を使って百年前の過去にいる俺たちの様子を覗いたり、夢で俺と会ったりなわけだ。
「……けんど」
夢見の術の詳細はまだ全体像というほど俺に明かされてない。だが俺は自慢じゃないがなかなか賢い男なのだ。ある程度の予想は立てられる。
過去の俺と、未来の王様。もしかして俺はただの夢……
………………と考えたところで思考が止まり、一瞬だけ意識がホワイトアウトしてすぐまた戻ってきた。
駄目だな。危険だ。これは考えないで一度ブラックボックスに封入だ。いつかハッキリ答えが出るまで保留!
ともあれ王様だ。あの人、結局王様なのにまだ独身け?
あの調子じゃ竜殺しのべっぴんと結婚も無理だろうし、結婚できても王家は不毛だ。
「……俺の恋愛運が悪いのは王様から悪影響を受けてるからか……?」
呟いた瞬間、背筋がゾクっと冷たくなった。
み、見てるのか、見てるのか今のこの俺を、王様!?
軽く目線を上に上げて見たが、それ以上の悪寒はなかった。
「王様。あんた、好きな子へだけじゃなくて、他人に向ける愛情ぜんぶ根こそぎ生贄に捧げちまったとか言わないか?」
王様が俺で、俺が王様だというなら、俺が他人を本気で好きになれないのは俺の中の恋愛感情が最初から空だった可能性がある。
「……嫁。欲しいんだけどなあ」
いやいやいや。まだまだ諦めるには早いっぺ!
俺好みの、綺麗めで可愛くて巨乳の嫁っ子を何としてでも迎えて見せる……!
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