141 / 216
第二章 異世界ど田舎村を救え!
俺、従兄弟の転移理由を知る
しおりを挟む
死んだはずの従兄弟カズアキの出現には、俺だけじゃなく村長と勉さんも驚愕していた。
数少ない親戚の子供だ。二人もカズアキのことは小さい頃からよく知ってるいる。お年玉くれたりしてたもんな。
俺たちの話に一区切りついた頃合いを見て、二人がカズアキがアケロニア王国に異世界転移してきた見解を話してくれた。
村長たちはバブル期のゴルフ場の湧水汚染をきっかけに大地を流れるパワーライン龍脈の存在を知り、その力を利用したアケロニア王国への帰還を考えついた。
それから数十年かけて、もなか村の墓を通る龍脈パワーを慎重に村の中に書き込んだ魔法陣に流して溜め込んでいったと。
「だけんど十数年前、回復してきた土地の力が一度ごそっと消失したことがあっだんだあ」
「これがカズアキがこっちに転移しだとき消費されたんじゃなか?」
「あ、そうです、山の中で足元にいきなり光の魔法陣が浮き出てて。気づいたら目の前に青銀の髪の綺麗な女の人がいて、いろいろこの世界のことを教えてもらったんです」
……魔王様だっていうユキりん一族のご先祖様けえ。俺のことは串刺ししようとしたのにカズアキには随分親切だべな?
俺とカズアキの何が違うというのだ。いやわかってる。図太い俺と、天然気質で素直なこいつとは多分前世で積んだ徳が違うのだろう。く、悔しくなんてないんだからな!
「んだ。最初は村全体じゃなくて、もなか山の祠を基点にした魔法陣にしとったんだあ」
それからまた十数年、また龍脈の力が回復してきたとき、異世界人ともなか村人のクォーターながら魔力強めの俺が戻ってきて転移が決行されたと。
俺の記憶が正しければ、昼間のハイキングで居場所がわからなくなったカズアキはちゃんと夜までには戻ってきた。
ということは、カズアキはまた元の日本に転移し直すってことだが……だが……戻ったらこいつは……
飯の準備ができたということで、話はひとまず一区切りだ。ようやく俺たちは飯にありつけた。
もう夕方のほうが近いから昼飯を兼ねた早めの夕飯だな……
料理人がまずは食べやすいカナッペ風の前菜を出してくれた。米やパンは炊いたり焼いたりしてる途中だそうで、順次出てくるそうだ。
調理に一区切りついたようでばあちゃんも厨房から戻ってきた。
「ユキリーン。なんかぐだぐだ言っとったが。おめえもリースト家の男なら本当の理由は別にあるべな?」
「え」
「おらは王都のウェイザー公爵家の出だ。王都にいだ頃はリースト伯爵家と交流もあっだ。ガキどものいじめだの見た目だの、リースト一族の男がんなこと気に病むわけがねえ」
「んだんだ。本音は別のとこだべ? おいちゃんたちに話してみ?」
おい勉さんと村長がユキりんに絡み出したぞ。
助けるべきか見守っていると、空気を読まずにカズアキがユキりんに話しかけていた。
「ユキリーン。久し振りだけど元気そうで良かった」
「魔術師様も。そ、それでその後どうなりましたか!?」
あれ? と俺は気づいた。そういえば保護した直後、ユキりんが言っていたじゃないか。
『光の剣を持った魔術師が逃げる手助けをしてくれたんです。逃げるのに必死だったからあまり覚えてないけど……黒髪と黒目で、あなたに似ていた気がする』
そうか、魔術師とは異世界転移してきてこの世界で活躍してたカズアキのことだったか。
光の剣はあのLEDの多色コンサートライト。まさかこう繋がってくるとは。
「君によく似た、僕らより少し年上のお姉さんが透明なガラス容器に入ってあの奴隷商の倉庫にいたのを見た。君を助けてから外に運ばれるのを見て追いかけたけど……見失っちゃったんだ。ごめん」
「そ、それ! オデットお嬢様です、ご本家の……!」
オデット? と皆が首を傾げたところでユキりんがハッと我に返った。
恐る恐る周りを見回している。事情がわかったらしい村長や勉さん、うちのばあちゃん、あと男爵なんかが訳知り顔でニコニコ笑顔だ。
俺やカズアキは何が何やらだ。
村長が説明してくれたところによると。
「あんなあ。リースト一族てのはえらい面倒な一族なの。自分の大事なものだけあれば他はどうでもええって自己チュー連中の群れなんだべ。特に好きな子に向ける執着は怖いぐれえでな」
「……ユキりん。まさかあれこれ言ってたけど、この村に留まってる理由はそのオデットって子のためか?」
「………………はい」
ユキりんはかなり長く逡巡した後コクリと頷いた。
「オデットお嬢様は数年前、王都から行方不明になったリースト伯爵家ご本家の方です。僕の……初恋の人でした」
おおおお、と場が沸いた。ご年配が多いからフレッシュな恋バナに誰もが興味津々だ。もちろんこの俺も。
NEXT→🍕🍕🍕
数少ない親戚の子供だ。二人もカズアキのことは小さい頃からよく知ってるいる。お年玉くれたりしてたもんな。
俺たちの話に一区切りついた頃合いを見て、二人がカズアキがアケロニア王国に異世界転移してきた見解を話してくれた。
村長たちはバブル期のゴルフ場の湧水汚染をきっかけに大地を流れるパワーライン龍脈の存在を知り、その力を利用したアケロニア王国への帰還を考えついた。
それから数十年かけて、もなか村の墓を通る龍脈パワーを慎重に村の中に書き込んだ魔法陣に流して溜め込んでいったと。
「だけんど十数年前、回復してきた土地の力が一度ごそっと消失したことがあっだんだあ」
「これがカズアキがこっちに転移しだとき消費されたんじゃなか?」
「あ、そうです、山の中で足元にいきなり光の魔法陣が浮き出てて。気づいたら目の前に青銀の髪の綺麗な女の人がいて、いろいろこの世界のことを教えてもらったんです」
……魔王様だっていうユキりん一族のご先祖様けえ。俺のことは串刺ししようとしたのにカズアキには随分親切だべな?
俺とカズアキの何が違うというのだ。いやわかってる。図太い俺と、天然気質で素直なこいつとは多分前世で積んだ徳が違うのだろう。く、悔しくなんてないんだからな!
「んだ。最初は村全体じゃなくて、もなか山の祠を基点にした魔法陣にしとったんだあ」
それからまた十数年、また龍脈の力が回復してきたとき、異世界人ともなか村人のクォーターながら魔力強めの俺が戻ってきて転移が決行されたと。
俺の記憶が正しければ、昼間のハイキングで居場所がわからなくなったカズアキはちゃんと夜までには戻ってきた。
ということは、カズアキはまた元の日本に転移し直すってことだが……だが……戻ったらこいつは……
飯の準備ができたということで、話はひとまず一区切りだ。ようやく俺たちは飯にありつけた。
もう夕方のほうが近いから昼飯を兼ねた早めの夕飯だな……
料理人がまずは食べやすいカナッペ風の前菜を出してくれた。米やパンは炊いたり焼いたりしてる途中だそうで、順次出てくるそうだ。
調理に一区切りついたようでばあちゃんも厨房から戻ってきた。
「ユキリーン。なんかぐだぐだ言っとったが。おめえもリースト家の男なら本当の理由は別にあるべな?」
「え」
「おらは王都のウェイザー公爵家の出だ。王都にいだ頃はリースト伯爵家と交流もあっだ。ガキどものいじめだの見た目だの、リースト一族の男がんなこと気に病むわけがねえ」
「んだんだ。本音は別のとこだべ? おいちゃんたちに話してみ?」
おい勉さんと村長がユキりんに絡み出したぞ。
助けるべきか見守っていると、空気を読まずにカズアキがユキりんに話しかけていた。
「ユキリーン。久し振りだけど元気そうで良かった」
「魔術師様も。そ、それでその後どうなりましたか!?」
あれ? と俺は気づいた。そういえば保護した直後、ユキりんが言っていたじゃないか。
『光の剣を持った魔術師が逃げる手助けをしてくれたんです。逃げるのに必死だったからあまり覚えてないけど……黒髪と黒目で、あなたに似ていた気がする』
そうか、魔術師とは異世界転移してきてこの世界で活躍してたカズアキのことだったか。
光の剣はあのLEDの多色コンサートライト。まさかこう繋がってくるとは。
「君によく似た、僕らより少し年上のお姉さんが透明なガラス容器に入ってあの奴隷商の倉庫にいたのを見た。君を助けてから外に運ばれるのを見て追いかけたけど……見失っちゃったんだ。ごめん」
「そ、それ! オデットお嬢様です、ご本家の……!」
オデット? と皆が首を傾げたところでユキりんがハッと我に返った。
恐る恐る周りを見回している。事情がわかったらしい村長や勉さん、うちのばあちゃん、あと男爵なんかが訳知り顔でニコニコ笑顔だ。
俺やカズアキは何が何やらだ。
村長が説明してくれたところによると。
「あんなあ。リースト一族てのはえらい面倒な一族なの。自分の大事なものだけあれば他はどうでもええって自己チュー連中の群れなんだべ。特に好きな子に向ける執着は怖いぐれえでな」
「……ユキりん。まさかあれこれ言ってたけど、この村に留まってる理由はそのオデットって子のためか?」
「………………はい」
ユキりんはかなり長く逡巡した後コクリと頷いた。
「オデットお嬢様は数年前、王都から行方不明になったリースト伯爵家ご本家の方です。僕の……初恋の人でした」
おおおお、と場が沸いた。ご年配が多いからフレッシュな恋バナに誰もが興味津々だ。もちろんこの俺も。
NEXT→🍕🍕🍕
584
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる