異世界転移!?~俺だけかと思ったら廃村寸前の俺の田舎の村ごとだったやつ

真義あさひ

文字の大きさ
200 / 216
第三章 異世界転移の謎を解け!

その頃、日本では

しおりを挟む
 ……ども。ユウキ先輩の素敵な後輩、鈴木オサムっス。

 夏頃からクソな母親に煩わされ続けて、オレのメンタルは崩壊寸前ですわ……

 一度、浅草でゲンキ伯父さんたちといるとき電話を取って揉めて以来、オレはあのババアからの通話は取るのをやめた。
 するとショートメールが届くようになったが、それも無視。

 ブロックだけはしなかった。
 それをすると、クソババアの動向が掴めなくなってもっと怖いことになりそうだったから。

 ゲンキ伯父さんは話をつけてくれると言ってくれたけど、……はは。オレもういい年ですよ? いつまでも頼ってらんないですって。

 けど、考えが甘かった。
 クソは本当にクソだと思い知ったのは、正月明けの仕事初めの週の夕方。
 会社を退勤して出た瞬間、目の前にババアが待ち伏せしてたのを見たときだ。

 細身でやや小柄な、如何にも上流層の奥様って感じの雰囲気の、上品なおば様。
 最後に見たのは大学生の頃だったが、さすがに五十代近くとなると老けたもんだ。
 昔は男を侍らせて、一目でブランド物とわかる服と小物でまとめてたが、今はバッグとヒールだけか。なるほど確かに金がないようだ。

「オサム! 連絡がつかないから来ちゃったわ。どうして電話に出てくれないの?」
「………………」

 このときばかりは、この女に勤め先をうっかりポロッとこぼしやがった祖父母が恨めしかった。

「待ちなさい、オサム!」

 待たねえよ。

 無視して社員寮に帰宅しようと銀座駅を目指すと、クソババアもついてくる。
 社員寮の住所は流石に社外秘だ。オレも祖父母にも誰にも教えてない。
 けどこのままついて来られたら場所を知られちまう。

 どうやってまいたもんかな。



 新橋から銀座への歩道橋を登ったところで、あんまりにも自分勝手ばかりのババアと口論になった。

「オサム、お願いよ。あの人の連絡先を教えてちょうだい。あなただって私とお父さんが元に戻ったほうが嬉しいでしょ?」
「教えるわけねえだろ! あんた、自分がナニしてお父さんと離婚したか忘れたとは言わせねえぞ!」
「母親の言うことを聞かないなんて。どうしてこんな子になっちゃったのかしら……」

 お前みたいな母親を持ったからだよ! と言い返す暇はなかった。
 伸びてきた腕にスマホを奪われそうになって、慌てて避けるのに必死だったからだ。

 オレのスマホには、御米田の今のお父さんのアメリカの番号やメールアドレスを保存してある。ゲンキ伯父さんが教えてくれたものだ。

 だがクソババアは執拗だった。必死に防御したけど、オレのスマホは奪われてしまった。

 ……しまった。
 いつも手元からスマホを離さないし、面倒だからってセキュリティコード設定も外していたスマホだ。連絡先アプリを開かれたら全部見られてしまう。

「ふざけんな! オレだって連絡取ってないのに、アンタなんかに誰が……!」

 もう駄目だ、こいつは絶対に殺す……!



  ☆ ☆ ☆



 最近はみどり社長も本業が忙しいし、鈴木君とも連絡がつかない。

 ゲンキさんは時間があるというので、僕、八十神アキラは再び浅草を訪れていた。

 当初はホテル住まいだったゲンキさんだが、今はみどり社長の会社のゲストルームを借りてマンション住まいだ。
 このまましばらく日本にいて、もなか村消失事件の後始末をすると言っていた。

 駅前の半個室の干物専門の居酒屋で、日本酒で乾杯の後、さっそく話を切り出した。

「ゲンキさん。二人きりになれたらお伺いしたいことがあったんです」
「うむ? 何かね?」
「あなたは、――僕と同じアケロニア王国から来た方ではありませんか?」
「………………」

 もなか村の御米田家は、かなり古い時代から異世界から転移してきたアケロニア王族の血筋とはゲンキさんが教えてくれたことだ。
 代々、一族はその秘密を受け継いできていると聞いている。

 だからアケロニア王族の特徴である、黒髪と黒目の端正な顔立ちは不思議でも何でもないのだが……

 異世界の僕の本体、公爵ジオライドは同じ顔と体格、性格、そして立ち居振る舞いの人物を知っている。

 王の曾祖父で、かつ勇者の父だった三代前の大王陛下だ。
 勇者は退位後の大王が、若い後添えとの間に儲けた王家の末っ子だった。
 そのため、年は我が王の方が数ヶ月上なのだが、実際は勇者のほうが大叔父にあたる。

 この威厳の塊のような存在感といい、今の日本では場違い感丸出しの覇気といい……

 大王陛下はジオライドのいる時代の何年か前に亡くなっていたが、ここは夢見の世界の中だ。
 もしかしたら陛下の魂が、ご子息の勇者や、ひ孫にあたる王の写し身の御米田を助けるために現れているかもと……

 だが、僕はゲンキさんの答えを聞くことができなかった。


ピコン!


 ゲンキさんのスマホのメッセージ着信音が鳴った。


ピコン!
ピコン!
ピコン! ピコン! ピコン! ピコン! ピコココココココ……


「む? これはいったい何だ?」
「メッセージ着信ですよね。スマホのバグでしょうか」
「いや。アキラ君、これを見たまえ」

 スマホの画面を向けられ、息を飲んだ。

 発信元は〝御米田ユウキ〟と表示されている。
 それだけなら別に何も不思議はない。
 アケロニア王国とこの日本はなぜかネットが繋がっていて、ゲンキさんや鈴木君はたびたび御米田からメッセージを受け取っていたと聞いている。

 だがメッセージの内容がおかしい。
 見せてもらったメッセージは、すべてひらがなで、たどたどしい文章だった。

 よくよく読み進めていくと、メッセージ本文を書いた人物はユキリーンという人物のようだ。


『とつぜん、ゆうきさんが、きえて、しまいました』

『いえごと ゆうきさん、が、きえた』


「『突然ユウキさんが消えてしまいました。家ごとユウキさんが消えた』……か」

 メッセージは繰り返し、異世界のアケロニア王国、ど田舎村から御米田が消えたと書いている。

 このユキリーンなる人物は、御米田がネット掲示板にたびたび投稿した写真の少年だ。
 今では『異世界幼女を愛でる会』掲示板にもファンのいる美少年……

 いや、こう言おうか。王の最愛の、竜殺しの麗しの君の、数代前の一族だ。
 もっと言うなら、ジオライドや王が世話になった、西の小国の聖剣の聖者殿の側仕えのご先祖様だったはず……

 い、いや、今はそんなことはどうでもいい。

 僕はゲンキさんと顔を見合わせた。

「もしや」
「御米田が帰ってくるのか!?」


しおりを挟む
感想 271

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...