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第三章 異世界転移の謎を解け!
その頃、日本では
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……ども。ユウキ先輩の素敵な後輩、鈴木オサムっス。
夏頃からクソな母親に煩わされ続けて、オレのメンタルは崩壊寸前ですわ……
一度、浅草でゲンキ伯父さんたちといるとき電話を取って揉めて以来、オレはあのババアからの通話は取るのをやめた。
するとショートメールが届くようになったが、それも無視。
ブロックだけはしなかった。
それをすると、クソババアの動向が掴めなくなってもっと怖いことになりそうだったから。
ゲンキ伯父さんは話をつけてくれると言ってくれたけど、……はは。オレもういい年ですよ? いつまでも頼ってらんないですって。
けど、考えが甘かった。
クソは本当にクソだと思い知ったのは、正月明けの仕事初めの週の夕方。
会社を退勤して出た瞬間、目の前にババアが待ち伏せしてたのを見たときだ。
細身でやや小柄な、如何にも上流層の奥様って感じの雰囲気の、上品なおば様。
最後に見たのは大学生の頃だったが、さすがに五十代近くとなると老けたもんだ。
昔は男を侍らせて、一目でブランド物とわかる服と小物でまとめてたが、今はバッグとヒールだけか。なるほど確かに金がないようだ。
「オサム! 連絡がつかないから来ちゃったわ。どうして電話に出てくれないの?」
「………………」
このときばかりは、この女に勤め先をうっかりポロッとこぼしやがった祖父母が恨めしかった。
「待ちなさい、オサム!」
待たねえよ。
無視して社員寮に帰宅しようと銀座駅を目指すと、クソババアもついてくる。
社員寮の住所は流石に社外秘だ。オレも祖父母にも誰にも教えてない。
けどこのままついて来られたら場所を知られちまう。
どうやってまいたもんかな。
新橋から銀座への歩道橋を登ったところで、あんまりにも自分勝手ばかりのババアと口論になった。
「オサム、お願いよ。あの人の連絡先を教えてちょうだい。あなただって私とお父さんが元に戻ったほうが嬉しいでしょ?」
「教えるわけねえだろ! あんた、自分がナニしてお父さんと離婚したか忘れたとは言わせねえぞ!」
「母親の言うことを聞かないなんて。どうしてこんな子になっちゃったのかしら……」
お前みたいな母親を持ったからだよ! と言い返す暇はなかった。
伸びてきた腕にスマホを奪われそうになって、慌てて避けるのに必死だったからだ。
オレのスマホには、御米田の今のお父さんのアメリカの番号やメールアドレスを保存してある。ゲンキ伯父さんが教えてくれたものだ。
だがクソババアは執拗だった。必死に防御したけど、オレのスマホは奪われてしまった。
……しまった。
いつも手元からスマホを離さないし、面倒だからってセキュリティコード設定も外していたスマホだ。連絡先アプリを開かれたら全部見られてしまう。
「ふざけんな! オレだって連絡取ってないのに、アンタなんかに誰が……!」
もう駄目だ、こいつは絶対に殺す……!
☆ ☆ ☆
最近はみどり社長も本業が忙しいし、鈴木君とも連絡がつかない。
ゲンキさんは時間があるというので、僕、八十神アキラは再び浅草を訪れていた。
当初はホテル住まいだったゲンキさんだが、今はみどり社長の会社のゲストルームを借りてマンション住まいだ。
このまましばらく日本にいて、もなか村消失事件の後始末をすると言っていた。
駅前の半個室の干物専門の居酒屋で、日本酒で乾杯の後、さっそく話を切り出した。
「ゲンキさん。二人きりになれたらお伺いしたいことがあったんです」
「うむ? 何かね?」
「あなたは、――僕と同じアケロニア王国から来た方ではありませんか?」
「………………」
もなか村の御米田家は、かなり古い時代から異世界から転移してきたアケロニア王族の血筋とはゲンキさんが教えてくれたことだ。
代々、一族はその秘密を受け継いできていると聞いている。
だからアケロニア王族の特徴である、黒髪と黒目の端正な顔立ちは不思議でも何でもないのだが……
異世界の僕の本体、公爵ジオライドは同じ顔と体格、性格、そして立ち居振る舞いの人物を知っている。
王の曾祖父で、かつ勇者の父だった三代前の大王陛下だ。
勇者は退位後の大王が、若い後添えとの間に儲けた王家の末っ子だった。
そのため、年は我が王の方が数ヶ月上なのだが、実際は勇者のほうが大叔父にあたる。
この威厳の塊のような存在感といい、今の日本では場違い感丸出しの覇気といい……
大王陛下はジオライドのいる時代の何年か前に亡くなっていたが、ここは夢見の世界の中だ。
もしかしたら陛下の魂が、ご子息の勇者や、ひ孫にあたる王の写し身の御米田を助けるために現れているかもと……
だが、僕はゲンキさんの答えを聞くことができなかった。
ピコン!
ゲンキさんのスマホのメッセージ着信音が鳴った。
ピコン!
ピコン!
ピコン! ピコン! ピコン! ピコン! ピコココココココ……
「む? これはいったい何だ?」
「メッセージ着信ですよね。スマホのバグでしょうか」
「いや。アキラ君、これを見たまえ」
スマホの画面を向けられ、息を飲んだ。
発信元は〝御米田ユウキ〟と表示されている。
それだけなら別に何も不思議はない。
アケロニア王国とこの日本はなぜかネットが繋がっていて、ゲンキさんや鈴木君はたびたび御米田からメッセージを受け取っていたと聞いている。
だがメッセージの内容がおかしい。
見せてもらったメッセージは、すべてひらがなで、たどたどしい文章だった。
よくよく読み進めていくと、メッセージ本文を書いた人物はユキリーンという人物のようだ。
『とつぜん、ゆうきさんが、きえて、しまいました』
『いえごと ゆうきさん、が、きえた』
「『突然ユウキさんが消えてしまいました。家ごとユウキさんが消えた』……か」
メッセージは繰り返し、異世界のアケロニア王国、ど田舎村から御米田が消えたと書いている。
このユキリーンなる人物は、御米田がネット掲示板にたびたび投稿した写真の少年だ。
今では『異世界幼女を愛でる会』掲示板にもファンのいる美少年……
いや、こう言おうか。王の最愛の、竜殺しの麗しの君の、数代前の一族だ。
もっと言うなら、ジオライドや王が世話になった、西の小国の聖剣の聖者殿の側仕えのご先祖様だったはず……
い、いや、今はそんなことはどうでもいい。
僕はゲンキさんと顔を見合わせた。
「もしや」
「御米田が帰ってくるのか!?」
夏頃からクソな母親に煩わされ続けて、オレのメンタルは崩壊寸前ですわ……
一度、浅草でゲンキ伯父さんたちといるとき電話を取って揉めて以来、オレはあのババアからの通話は取るのをやめた。
するとショートメールが届くようになったが、それも無視。
ブロックだけはしなかった。
それをすると、クソババアの動向が掴めなくなってもっと怖いことになりそうだったから。
ゲンキ伯父さんは話をつけてくれると言ってくれたけど、……はは。オレもういい年ですよ? いつまでも頼ってらんないですって。
けど、考えが甘かった。
クソは本当にクソだと思い知ったのは、正月明けの仕事初めの週の夕方。
会社を退勤して出た瞬間、目の前にババアが待ち伏せしてたのを見たときだ。
細身でやや小柄な、如何にも上流層の奥様って感じの雰囲気の、上品なおば様。
最後に見たのは大学生の頃だったが、さすがに五十代近くとなると老けたもんだ。
昔は男を侍らせて、一目でブランド物とわかる服と小物でまとめてたが、今はバッグとヒールだけか。なるほど確かに金がないようだ。
「オサム! 連絡がつかないから来ちゃったわ。どうして電話に出てくれないの?」
「………………」
このときばかりは、この女に勤め先をうっかりポロッとこぼしやがった祖父母が恨めしかった。
「待ちなさい、オサム!」
待たねえよ。
無視して社員寮に帰宅しようと銀座駅を目指すと、クソババアもついてくる。
社員寮の住所は流石に社外秘だ。オレも祖父母にも誰にも教えてない。
けどこのままついて来られたら場所を知られちまう。
どうやってまいたもんかな。
新橋から銀座への歩道橋を登ったところで、あんまりにも自分勝手ばかりのババアと口論になった。
「オサム、お願いよ。あの人の連絡先を教えてちょうだい。あなただって私とお父さんが元に戻ったほうが嬉しいでしょ?」
「教えるわけねえだろ! あんた、自分がナニしてお父さんと離婚したか忘れたとは言わせねえぞ!」
「母親の言うことを聞かないなんて。どうしてこんな子になっちゃったのかしら……」
お前みたいな母親を持ったからだよ! と言い返す暇はなかった。
伸びてきた腕にスマホを奪われそうになって、慌てて避けるのに必死だったからだ。
オレのスマホには、御米田の今のお父さんのアメリカの番号やメールアドレスを保存してある。ゲンキ伯父さんが教えてくれたものだ。
だがクソババアは執拗だった。必死に防御したけど、オレのスマホは奪われてしまった。
……しまった。
いつも手元からスマホを離さないし、面倒だからってセキュリティコード設定も外していたスマホだ。連絡先アプリを開かれたら全部見られてしまう。
「ふざけんな! オレだって連絡取ってないのに、アンタなんかに誰が……!」
もう駄目だ、こいつは絶対に殺す……!
☆ ☆ ☆
最近はみどり社長も本業が忙しいし、鈴木君とも連絡がつかない。
ゲンキさんは時間があるというので、僕、八十神アキラは再び浅草を訪れていた。
当初はホテル住まいだったゲンキさんだが、今はみどり社長の会社のゲストルームを借りてマンション住まいだ。
このまましばらく日本にいて、もなか村消失事件の後始末をすると言っていた。
駅前の半個室の干物専門の居酒屋で、日本酒で乾杯の後、さっそく話を切り出した。
「ゲンキさん。二人きりになれたらお伺いしたいことがあったんです」
「うむ? 何かね?」
「あなたは、――僕と同じアケロニア王国から来た方ではありませんか?」
「………………」
もなか村の御米田家は、かなり古い時代から異世界から転移してきたアケロニア王族の血筋とはゲンキさんが教えてくれたことだ。
代々、一族はその秘密を受け継いできていると聞いている。
だからアケロニア王族の特徴である、黒髪と黒目の端正な顔立ちは不思議でも何でもないのだが……
異世界の僕の本体、公爵ジオライドは同じ顔と体格、性格、そして立ち居振る舞いの人物を知っている。
王の曾祖父で、かつ勇者の父だった三代前の大王陛下だ。
勇者は退位後の大王が、若い後添えとの間に儲けた王家の末っ子だった。
そのため、年は我が王の方が数ヶ月上なのだが、実際は勇者のほうが大叔父にあたる。
この威厳の塊のような存在感といい、今の日本では場違い感丸出しの覇気といい……
大王陛下はジオライドのいる時代の何年か前に亡くなっていたが、ここは夢見の世界の中だ。
もしかしたら陛下の魂が、ご子息の勇者や、ひ孫にあたる王の写し身の御米田を助けるために現れているかもと……
だが、僕はゲンキさんの答えを聞くことができなかった。
ピコン!
ゲンキさんのスマホのメッセージ着信音が鳴った。
ピコン!
ピコン!
ピコン! ピコン! ピコン! ピコン! ピコココココココ……
「む? これはいったい何だ?」
「メッセージ着信ですよね。スマホのバグでしょうか」
「いや。アキラ君、これを見たまえ」
スマホの画面を向けられ、息を飲んだ。
発信元は〝御米田ユウキ〟と表示されている。
それだけなら別に何も不思議はない。
アケロニア王国とこの日本はなぜかネットが繋がっていて、ゲンキさんや鈴木君はたびたび御米田からメッセージを受け取っていたと聞いている。
だがメッセージの内容がおかしい。
見せてもらったメッセージは、すべてひらがなで、たどたどしい文章だった。
よくよく読み進めていくと、メッセージ本文を書いた人物はユキリーンという人物のようだ。
『とつぜん、ゆうきさんが、きえて、しまいました』
『いえごと ゆうきさん、が、きえた』
「『突然ユウキさんが消えてしまいました。家ごとユウキさんが消えた』……か」
メッセージは繰り返し、異世界のアケロニア王国、ど田舎村から御米田が消えたと書いている。
このユキリーンなる人物は、御米田がネット掲示板にたびたび投稿した写真の少年だ。
今では『異世界幼女を愛でる会』掲示板にもファンのいる美少年……
いや、こう言おうか。王の最愛の、竜殺しの麗しの君の、数代前の一族だ。
もっと言うなら、ジオライドや王が世話になった、西の小国の聖剣の聖者殿の側仕えのご先祖様だったはず……
い、いや、今はそんなことはどうでもいい。
僕はゲンキさんと顔を見合わせた。
「もしや」
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