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ユーグレン究極の選択
ユーグレン対ピアディ
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聖女虐待という凶事が発生した旧カーナ王国に、封印されていた幼い神人ピアディが復活して新生カーナ神国の支配者として君臨した後。
サラマンダーの幼体、ウーパールーパーの魚人である神人ピアディは、アイシャたちに鮭の人と呼ばれているルシウスの甥っ子ヨシュアに一目惚れして、いつでもどこでもくっつく寵愛ぶりを周囲に見せつけていた。
手のひらより小さな半透明ベビーピンクのウパルパは、鮭の人の衣服のポケット(だいたい胸ポケット)に入ってはご満悦にぷぅぷぅ生意気に鳴いている。
それどころか。
「ぷぅ(鮭の人もー聖女様もー、とももー。聖剣の聖者様も! みーんなみーんな、われのものなのだーウハハハハハ!)」
などとのたまう姿に、言われた者たちはまだ幼い子供の言うことだからと、皆で微笑ましげに笑っていた。
反面、面白くないのはアイシャの彼氏トオンと、ヨシュアやカズンと縁の深いユーグレンだ。
「どうしますかユーグレンさん。ほんとあのウパルパ、どうしてやりましょう?」
「子供の戯言……で済ませるにはちょっとな。少し言い聞かせておくか」
その日の夜、話があると古書店二階の部屋に誘うと、意外にも神人ピアディは良いぞと鷹揚に頷いておとなしくユーグレンの大きな手に抱かれてきた。
ピアディもユーグレンの醸し出す神妙そうな空気を読んだらしい。
さてそんなユーグレンの本音といえば、自分とてあのヨシュアを娶れるものなら娶りたい。
だがカーナ神国の宰相となったヨシュアと、アケロニア王国の王太子の自分とにそんな甘やかな未来は確実にありえなかった。
とはいえ抜け道ならある。
「ぷぅ(おい、話とはなんなのだ? われの鮭の人のことなのであろ?)」
部屋の小さな机の上にのせた小さなウパルパを、黒い目でじっと見つめた。
「ピアディ殿……一応言っておくが、貴殿がヨシュアを娶るというなら、私ごとになるぞ?」
「ぷぇ!?」
そのときのピアディの顔は見ものだった。
半透明ベビーピンクのふっくらした顔の眉間に皺を寄せて、ものすごく渋いものを食べた顔になってドン引きしている。
いや、ぷるぷると震えながら必死で短い前脚を前に突っ張って拒絶している。
「ぷぅ(やだなのだ。おまえなどいらんのだーよけいなオプションふようなのだー!)」
「バラ売り不可だ、セット販売のみ!」
「ぷぅ(やーだーなーのーだ!)」
だがユーグレンは諦めない。
「ならばこのユーグレン、全力で貴殿とヨシュアの仲を阻害させていただく」
「ぷぅ!?(なんだと! きさまになんの権利があってのろうぜき!)」
「あるに決まってる! ヨシュアの恋人は私なのだぞ!?」
「ぷぅ?(はあ~? なのだ。そんなのわれの知ったことじゃないのだ。そもそもきさま、われの鮭の人に大して相手にされておらぬではないか)」
「そ、それでも……それでも今のヨシュアの恋人は私だ! ……言っておくがカズンもだからな。あの二人は私のもの! 渡さぬぞ神人ピアディ!」
「ぷぅ!?(ともまで!? きっさまー、過ぎたるは及ばざるが如しなのだぞ! おのれの分をわきまえよ!)」
「貴殿が何と申されようと、六年前からあの二人は私のものだ! 絶対に渡さん!」
ぐぬぬぬぬ、と一人と一体は睨み合った。
꒰(°_°)꒱ !? ナンデスト?
サラマンダーの幼体、ウーパールーパーの魚人である神人ピアディは、アイシャたちに鮭の人と呼ばれているルシウスの甥っ子ヨシュアに一目惚れして、いつでもどこでもくっつく寵愛ぶりを周囲に見せつけていた。
手のひらより小さな半透明ベビーピンクのウパルパは、鮭の人の衣服のポケット(だいたい胸ポケット)に入ってはご満悦にぷぅぷぅ生意気に鳴いている。
それどころか。
「ぷぅ(鮭の人もー聖女様もー、とももー。聖剣の聖者様も! みーんなみーんな、われのものなのだーウハハハハハ!)」
などとのたまう姿に、言われた者たちはまだ幼い子供の言うことだからと、皆で微笑ましげに笑っていた。
反面、面白くないのはアイシャの彼氏トオンと、ヨシュアやカズンと縁の深いユーグレンだ。
「どうしますかユーグレンさん。ほんとあのウパルパ、どうしてやりましょう?」
「子供の戯言……で済ませるにはちょっとな。少し言い聞かせておくか」
その日の夜、話があると古書店二階の部屋に誘うと、意外にも神人ピアディは良いぞと鷹揚に頷いておとなしくユーグレンの大きな手に抱かれてきた。
ピアディもユーグレンの醸し出す神妙そうな空気を読んだらしい。
さてそんなユーグレンの本音といえば、自分とてあのヨシュアを娶れるものなら娶りたい。
だがカーナ神国の宰相となったヨシュアと、アケロニア王国の王太子の自分とにそんな甘やかな未来は確実にありえなかった。
とはいえ抜け道ならある。
「ぷぅ(おい、話とはなんなのだ? われの鮭の人のことなのであろ?)」
部屋の小さな机の上にのせた小さなウパルパを、黒い目でじっと見つめた。
「ピアディ殿……一応言っておくが、貴殿がヨシュアを娶るというなら、私ごとになるぞ?」
「ぷぇ!?」
そのときのピアディの顔は見ものだった。
半透明ベビーピンクのふっくらした顔の眉間に皺を寄せて、ものすごく渋いものを食べた顔になってドン引きしている。
いや、ぷるぷると震えながら必死で短い前脚を前に突っ張って拒絶している。
「ぷぅ(やだなのだ。おまえなどいらんのだーよけいなオプションふようなのだー!)」
「バラ売り不可だ、セット販売のみ!」
「ぷぅ(やーだーなーのーだ!)」
だがユーグレンは諦めない。
「ならばこのユーグレン、全力で貴殿とヨシュアの仲を阻害させていただく」
「ぷぅ!?(なんだと! きさまになんの権利があってのろうぜき!)」
「あるに決まってる! ヨシュアの恋人は私なのだぞ!?」
「ぷぅ?(はあ~? なのだ。そんなのわれの知ったことじゃないのだ。そもそもきさま、われの鮭の人に大して相手にされておらぬではないか)」
「そ、それでも……それでも今のヨシュアの恋人は私だ! ……言っておくがカズンもだからな。あの二人は私のもの! 渡さぬぞ神人ピアディ!」
「ぷぅ!?(ともまで!? きっさまー、過ぎたるは及ばざるが如しなのだぞ! おのれの分をわきまえよ!)」
「貴殿が何と申されようと、六年前からあの二人は私のものだ! 絶対に渡さん!」
ぐぬぬぬぬ、と一人と一体は睨み合った。
꒰(°_°)꒱ !? ナンデスト?
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