ゲームランカーのスパダリ彼氏

真義あさひ

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第一章「最強ランカーのリアル彼氏はスパダリ覚醒する」二条泰然編

遠慮の理由2

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 濡れた髪をタオルで拭きながら、泰然は自分の姿を見下ろして、ぽつりと呟いた。

「……何でこんなことになってんだろな……?」

 シャワーを浴びて、さっぱりして。
 今、自分は寝室のベッドの上で、怜司を押し倒す体勢になっている。

 見下ろす先には、パジャマの前を少しはだけた怜司が、心底嬉しそうな顔をして泰然を見上げている。

「……えと、俺が……? り、リードってそういう……?」

 タイミングを完全に見失ったまま、泰然は怜司の肩に置いた手をどうすべきか分からなくなる。

「泰然。君がしてもらいたいように、僕にしてくれる?」

 怜司は落ち着いた声でそう言った。

 その言葉に、泰然の鼓動がどくんと跳ねる。
 いつもとは逆。いつもは自分が、怜司に甘やかされ、気持ち良くされ、愛される側。

 だけど今日は——

「……怜司ってさ、たまにズルいよな」
「どうして?」
「そういう顔で見上げてこられたら……こっち、断れねぇじゃん」

 怜司の瞳が少し揺れて、そして嬉しそうに細まる。

 泰然は軽くため息をついて、怜司の首元に顔を寄せた。

「……ま、いいか。たまには」

 そう呟いた声は、どこか照れくさくて、でもほんの少し誇らしげだった。



 二人の付き合いは決して短くなかった。

 初めて出会ったのは幼稚園の頃。幼馴染みなのだ。

 初体験は、中学の頃。
 母親ばかりか、父親とも音信不通になって悲嘆に暮れていた泰然を、怜司が慰めているうちに……一線を超えていた。

 あれからもう十年近い時が経つ。

 ベッドの中で、泰然が主導権を握るというのは、今日が〝初めて〟かもしれない。

 いつもは怜司がリードしてくれた。
 さりげなく気遣い、丁寧に触れ、優しく導いてくれるその手に、泰然は何度も救われてきた。

 けれど、今日だけは。

「……俺も、お前のこと、愛したいって思ってたんだ」

 ぽつりと零したその言葉は、自分の中にずっと秘めていた気持ちだった。

 思っていないわけがない。
 ただ、どこかで怜司に〝愛される側〟でいることが当たり前になっていた。

 だけど今は、違った。

 今なら——少しだけ酔いのせいにしてでも、勇気を出せる気がした。

 泰然は息をのんで、ベッドに寝転ぶ怜司の腰元に手を伸ばす。
 寝巻きのズボンを、下着ごとゆっくりと下ろしていく。

「……泰然」

 怜司が優しく名を呼ぶ。

 その声には、驚きも、拒絶もなかった。
 むしろ、どこか嬉しそうな色すら混じっている。

「こっちは……任せてくれ」

 泰然の手が、触れる。
 自分が、今からこの男に触れていく。
 いつもみたいに〝される〟んじゃなくて、自分が〝与える〟側になる。

 そのことに、泰然は戸惑いと同時に、誇らしさを感じていた。



 肌に触れた指先は、少し震えていた。

 怜司の下半身を露わにしたまま、泰然はしばらく黙って見つめていた。
 いつも自分を深く満たしてくれる〝それ〟を、初めて間近で、静かに見つめる。

「……こうやって、近くで見るの、初めてかも」
「うん。……でも、君なら、全部見てくれていい」

 怜司の声は落ち着いていた。
 けれど、その目には確かに、期待と緊張が宿っている。

 泰然はそっと手を伸ばし、熱を帯び始めているそれに触れた。
 びくりと微かに反応するのを見て、内心少し安心する。
 怜司も、自分と同じくらい緊張してるんだ——そう思えるだけで、少し心が軽くなった。

「……怜司って、さ。なんでこんなに……全部、かっこいいんだよ」
「……泰然にそう言われると、嬉しいな」
「ずるいっての。こっちはもう、精一杯なのに……っ」

 泰然の手が、ぎこちなく上下に動く。
 動かすたび、怜司の吐息が浅くなる。

 ゆっくり、ゆっくりと指を滑らせながら、時折その先にキスを落とす。
 触れるたびに、怜司が微かに目を細めて、声を噛み殺すように喉を震わせるのが、どこかくすぐったい。

「可愛いな……泰然」
「おまえ、それやめろって……俺は可愛くなんて……」

 耳まで赤くなった泰然を、怜司は心から愛おしそうに見つめていた。

 どこまでも不器用で、でも懸命で、
 自分のために手を動かしてくれるこの人が、
 今、たまらなく可愛かった。

「……してもらうの、こんなに嬉しいなんて……知らなかった」
「……そっちこそ……反則だろ、そういうこと言うの……」

 泰然の指が、ほんの少しだけ力を込める。
 ぬくもりと優しさが混ざったその動きに、怜司の腰が微かに浮いた。

「れ、怜司……もう、イきそう……?」
「うん……でも、まだ……君に触れてほしい」

 その声に、泰然の喉が鳴った。

 もっと、気持ちよくしてあげたい。
 もっと、愛されてること、伝えたい。
 その想いだけで、泰然は震える指を動かし続けた。

 心が重なって、熱が伝わって、
 その夜の二人は、これまでとはまた違う形でひとつになっていく。



 泰然の手の中で、怜司の熱が脈打っている。
 触れるたび、擦れるたび、怜司の吐息が熱を帯びていく。

 けれどその指が急に止まると、怜司はそっと、両手で泰然の頬を包みこんだ。

「……ひとりでイくのは、寂しいよ……泰然」

 その声は、甘えるようで、どこか切なかった。
 ほんの少し濡れた瞳で見上げられた泰然は、心臓が跳ねるのを感じた。

「……じゃあ、いっしょに……イこうか」

 喉が熱を持つ。照れと高揚が混ざり合って、声が自然に震えた。

 怜司は微笑むと、泰然の腰に手を回し、ゆっくりと身体を引き寄せた。
 二人の分身が触れ合う。熱が熱を呼び、ぬるりとした質感が擦れ合う。

 泰然の息が、そこで止まった。

 怜司のそれは、自分と同じ熱を帯びていた。
 ぬくもりと滑る質感。
 それが、あまりにもリアルで、あまりにも気持ちよかった。

「……こんな……変な感じ……っ」
「変じゃないよ。すごく、気持ちいい」

 怜司が指を重ねる。
 二人の熱を包み込むように、指先で押し合わせ、擦るようにゆっくりと動かした。

「っ……あ、やっ……ぅ……っ!」
「君の、こんな声……たまらない」

 怜司はとても優しく、でも逃さないように手を絡ませてくる。
 押しつけて、擦って、滑らせて。
 互いの先端がぶつかるたび、ぐち、と湿った音がして、快感が神経に染み込んでいく。

「怜司……やばい、これ……っ、やばいよ……っ」
「うん……僕も……すぐ、イきそう……」

 浅い呼吸と吐息が混じり合う。
 腰が自然と動き出して、二人の中心が、ぬちゅ、ぬちゅと湿った音を立てて擦り合わされていく。

 リズムが合う。
 熱が合う。
 心も、全部、重なっていく。

「っ、は、やば、れいじ……イく……っ!」
「一緒に……っ、いっしょに……!」

 最後の瞬間、互いの額を預け合って、視線を絡めたまま、
 二人は同時に、達した。

「——ッ……あああっ……!」
「……ん、っ、は……っ」

 ビクビクと脈打つものが、互いを汚し、混ざり合って、白濁が手の中にとろりと溶ける。

 全身がふわりと柔らかな多幸感に包まれて、ふたりはしばらく言葉を失った。

 触れ合ったまま、身体を寄せ合い、呼吸を整える。

「これ……きもちいい、な」

 泰然がぽつりと呟く。

「うん。君からしてくれたから……余計、気持ちよかったんだ」

 怜司が微笑んで、そっとキスを落とす。
 唇は温かくて、柔らかくて、震えた泰然の心をやさしく包み込んだ。

 指を絡めたまま、二人はしばらく、ベッドの中で静かに余韻を抱きしめていた。



 息が落ち着いてきた頃、怜司は腕の中の泰然をそっと見つめた。

「さあ。この後はどうするの? 泰然」

 その声は穏やかで、けれど期待にほんの少しだけ弾んでいた。
 目はまっすぐ、そしてどこまでも甘く、彼を見つめている。

「えと……」

 泰然はゆっくりと身を起こし、手を伸ばしてベッドサイドの引き出しに手をかけた。
 取り出したのは、潤滑剤の小さなパック。怜司がいつもストックしているものだ。

「身体……慣らさねぇと、な……」

 指先でパックを切って開けようとしたが、
 疲労と酔い、そして先ほどの余韻がまだ全身に残っていて、手元が少しふるふると震えていた。

 ぬるりと漏れ出したジェルが指に絡まず垂れてしまう。慌てて拭おうとするが、うまくできずに、うぐっと困った声を漏らす。

「……怜司。も、できない……おまえがやって?」

 ぼそりと呟かれたその声に、怜司の呼吸が一瞬だけ止まった。

 顔を上げた泰然の目元は、真っ赤に染まったまま潤み、いつもよりとろんと甘く蕩けていた。

 ベッドサイドの灯りが、赤い瞳に映り込んで、まるで宝石のようにきらきらしている。

「……ふふ」

 怜司は小さく笑って、開封された潤滑剤のパックを手に取った。

「甘え方まで、可愛すぎるよ。どうして君は、そんなふうに僕を狂わせるのかな」
「……うるさい……」
「じゃあ、黙って甘えてて。僕が全部するから」

 片手の手のひらで潤滑剤を温めながら、怜司はゆっくりと、もう片方の手で泰然の太ももを撫で上げる。

「今日は君が頑張ってくれたから……」

 やさしい声とともに、潤んだその場所に、ぬるりと温かな指が触れた。

「今度は、僕の番。君のこと、気持ちよく慣らしてあげる」

 囁きとともに、指が静かに沈み込む。

 泰然の身体が、小さく震えた。


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