天空で織り成す恋の幻想曲 ~Blue Sky Fantasia~

セントクリストファー・マリア

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第一章 Prologue

それからとこれから

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まずは、アレカが風呂から出てきて、今度は俺の番になった。
そして風呂に入って出たら、俺の服が洗濯機にかけられていて、アレカの服が置いてあるという、俺にとっての大事件が起こる。
俺の入浴中にアレカのお母さんが親切心でやってくれたのだが、俺は上半身裸の腰にタオルって姿で放心状態になり、アレカの服が勝手に俺用にされていてアレカが怒り出し、セレナも途中からやって来て、セレナの服やら下着までもどさくさに紛れて渡してくるというカオス状態に一時はなっていた。
最終的には、クリスさんが新品の男性用下着を買ってきてくれて、寝巻きは結局Tシャツとスエットをアレカからもらうことで解決した。セレナは残念がっていたが、セレナの服は女子感が強すぎるのとサイズも小さくて着れなかったのだ。一方で、アレカの服はB系レディースみたいなダボッとした服もあってサイズ感もちょうど良く、最初は俺が着るのを嫌がっていたのに、最終的には『いいじゃん』なんて言っていた。
二着持っている服を一着ずつくれる感じになったので、たぶんお揃いみたいなことになりかねないなと思いつつ、そこは黙っておいた。セレナは気づいてそうで、もしかしたら狙って同じ服を買ってくるかもしれないなと思う。
いや、それは自意識過剰だな。

さておき、俺の寝床を巡って一波乱もあった。
結局は俺が布団を敷いて一人で寝るという話になったのだが、それまではアレカのベッドかセレナのベッドか、どちらかを選べと俺の取り合いみたいになっていた。
折衷案を提示したら、アレカは真っ赤になって、セレナは心底残念がってて、正直男として悪い気はしなかったけどさ。

とまぁ、ドタバタしながらも就寝して今は深夜。一度寝たが、アレカの声で目を覚ます。

「ユウゴ!ねぇ、ユウゴ起きて」

寝たふりをしたがったが、声色にどこか焦燥感を感じた。むくりと起きてアレカの方を見た。

「ちょっと、トイレに付き合いなさい」

一瞬、『怖いのか?』と思ったが違った。第七誓約の所為で、一人でトイレに行けばもう一人は自動的にそちらに飛ばされるのだ。つまり、お取り込み中のところに"ぷしゅん"という可能性もある。俺にとっては役得だが、骨折以上は確定だろう。

なぜか袖を掴まれつつ、二人でトイレに行った。交替で用を足した後で、アレカがこちらを向いて言った。

「ねぇ、ちょっと付き合ってよ」

アレカはそう言って、俺はベランダの方に連れていかれた。

「ごめんね。わたしの所為で」

凄い深刻な面持ちでアレカはそう言った。

「わたしっていつもそうなの。大丈夫、大丈夫って言って失敗して、皆に迷惑をかけてしまう。最低だよね」

今回、俺を天空に連れてきてしまったことが相当堪えているらしい。

「第七誓約ってね、離れる距離は少しずつだけど長くしていくことはできるの。でも、一度交わした誓約はわたしたち自身で解くことができないのよ」

その言葉に裏の意味はないように思えた。俺が異世界に来てしまい、俺の人生そのものを大きく変えてしまったことに、アレカは酷く悔恨の念をいだいている。アレカ自身のことは後回しにして、まずは俺のことを考えてくれている。俺にとっては、それだけで嬉しかった。

「俺は、アレカと出会えて嬉しいと思ってるよ」

まぁ、後でアレカに殴られるかも知れないが、率直な気持ちを伝えたいと思った。

「アレカの家族や友人たちもいい人たちばっかりじゃないか」

アレカの生活に突如入り込んでしまった俺が、アレカの生活をぶち壊すことはしたくないと思うのだ。

「俺のこと嫌いじゃなければ、助け合ってやっていこうぜ」

こんな前向きな言葉が自分から出ることに驚きを感じながらも、俺自身アレカと一緒にいれば変わっていけるんじゃないかと思った。

東京では引き込もって腐っていたけれども、やり直せるならやり直したかったのだ。そのやり直すきっかけを与えてくれたことに感謝をしている。

この子の笑顔は、側でずっと守っていきたい。

「俺、貧乳も好きだからさ」

強烈なフックを腹に食らったけれども、どこか優しさを感じるような気がした。
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