16 / 17
第一章 Prologue
それからとこれから
しおりを挟む
まずは、アレカが風呂から出てきて、今度は俺の番になった。
そして風呂に入って出たら、俺の服が洗濯機にかけられていて、アレカの服が置いてあるという、俺にとっての大事件が起こる。
俺の入浴中にアレカのお母さんが親切心でやってくれたのだが、俺は上半身裸の腰にタオルって姿で放心状態になり、アレカの服が勝手に俺用にされていてアレカが怒り出し、セレナも途中からやって来て、セレナの服やら下着までもどさくさに紛れて渡してくるというカオス状態に一時はなっていた。
最終的には、クリスさんが新品の男性用下着を買ってきてくれて、寝巻きは結局Tシャツとスエットをアレカからもらうことで解決した。セレナは残念がっていたが、セレナの服は女子感が強すぎるのとサイズも小さくて着れなかったのだ。一方で、アレカの服はB系レディースみたいなダボッとした服もあってサイズ感もちょうど良く、最初は俺が着るのを嫌がっていたのに、最終的には『いいじゃん』なんて言っていた。
二着持っている服を一着ずつくれる感じになったので、たぶんお揃いみたいなことになりかねないなと思いつつ、そこは黙っておいた。セレナは気づいてそうで、もしかしたら狙って同じ服を買ってくるかもしれないなと思う。
いや、それは自意識過剰だな。
さておき、俺の寝床を巡って一波乱もあった。
結局は俺が布団を敷いて一人で寝るという話になったのだが、それまではアレカのベッドかセレナのベッドか、どちらかを選べと俺の取り合いみたいになっていた。
折衷案を提示したら、アレカは真っ赤になって、セレナは心底残念がってて、正直男として悪い気はしなかったけどさ。
とまぁ、ドタバタしながらも就寝して今は深夜。一度寝たが、アレカの声で目を覚ます。
「ユウゴ!ねぇ、ユウゴ起きて」
寝たふりをしたがったが、声色にどこか焦燥感を感じた。むくりと起きてアレカの方を見た。
「ちょっと、トイレに付き合いなさい」
一瞬、『怖いのか?』と思ったが違った。第七誓約の所為で、一人でトイレに行けばもう一人は自動的にそちらに飛ばされるのだ。つまり、お取り込み中のところに"ぷしゅん"という可能性もある。俺にとっては役得だが、骨折以上は確定だろう。
なぜか袖を掴まれつつ、二人でトイレに行った。交替で用を足した後で、アレカがこちらを向いて言った。
「ねぇ、ちょっと付き合ってよ」
アレカはそう言って、俺はベランダの方に連れていかれた。
「ごめんね。わたしの所為で」
凄い深刻な面持ちでアレカはそう言った。
「わたしっていつもそうなの。大丈夫、大丈夫って言って失敗して、皆に迷惑をかけてしまう。最低だよね」
今回、俺を天空に連れてきてしまったことが相当堪えているらしい。
「第七誓約ってね、離れる距離は少しずつだけど長くしていくことはできるの。でも、一度交わした誓約はわたしたち自身で解くことができないのよ」
その言葉に裏の意味はないように思えた。俺が異世界に来てしまい、俺の人生そのものを大きく変えてしまったことに、アレカは酷く悔恨の念をいだいている。アレカ自身のことは後回しにして、まずは俺のことを考えてくれている。俺にとっては、それだけで嬉しかった。
「俺は、アレカと出会えて嬉しいと思ってるよ」
まぁ、後でアレカに殴られるかも知れないが、率直な気持ちを伝えたいと思った。
「アレカの家族や友人たちもいい人たちばっかりじゃないか」
アレカの生活に突如入り込んでしまった俺が、アレカの生活をぶち壊すことはしたくないと思うのだ。
「俺のこと嫌いじゃなければ、助け合ってやっていこうぜ」
こんな前向きな言葉が自分から出ることに驚きを感じながらも、俺自身アレカと一緒にいれば変わっていけるんじゃないかと思った。
東京では引き込もって腐っていたけれども、やり直せるならやり直したかったのだ。そのやり直すきっかけを与えてくれたことに感謝をしている。
この子の笑顔は、側でずっと守っていきたい。
「俺、貧乳も好きだからさ」
強烈なフックを腹に食らったけれども、どこか優しさを感じるような気がした。
そして風呂に入って出たら、俺の服が洗濯機にかけられていて、アレカの服が置いてあるという、俺にとっての大事件が起こる。
俺の入浴中にアレカのお母さんが親切心でやってくれたのだが、俺は上半身裸の腰にタオルって姿で放心状態になり、アレカの服が勝手に俺用にされていてアレカが怒り出し、セレナも途中からやって来て、セレナの服やら下着までもどさくさに紛れて渡してくるというカオス状態に一時はなっていた。
最終的には、クリスさんが新品の男性用下着を買ってきてくれて、寝巻きは結局Tシャツとスエットをアレカからもらうことで解決した。セレナは残念がっていたが、セレナの服は女子感が強すぎるのとサイズも小さくて着れなかったのだ。一方で、アレカの服はB系レディースみたいなダボッとした服もあってサイズ感もちょうど良く、最初は俺が着るのを嫌がっていたのに、最終的には『いいじゃん』なんて言っていた。
二着持っている服を一着ずつくれる感じになったので、たぶんお揃いみたいなことになりかねないなと思いつつ、そこは黙っておいた。セレナは気づいてそうで、もしかしたら狙って同じ服を買ってくるかもしれないなと思う。
いや、それは自意識過剰だな。
さておき、俺の寝床を巡って一波乱もあった。
結局は俺が布団を敷いて一人で寝るという話になったのだが、それまではアレカのベッドかセレナのベッドか、どちらかを選べと俺の取り合いみたいになっていた。
折衷案を提示したら、アレカは真っ赤になって、セレナは心底残念がってて、正直男として悪い気はしなかったけどさ。
とまぁ、ドタバタしながらも就寝して今は深夜。一度寝たが、アレカの声で目を覚ます。
「ユウゴ!ねぇ、ユウゴ起きて」
寝たふりをしたがったが、声色にどこか焦燥感を感じた。むくりと起きてアレカの方を見た。
「ちょっと、トイレに付き合いなさい」
一瞬、『怖いのか?』と思ったが違った。第七誓約の所為で、一人でトイレに行けばもう一人は自動的にそちらに飛ばされるのだ。つまり、お取り込み中のところに"ぷしゅん"という可能性もある。俺にとっては役得だが、骨折以上は確定だろう。
なぜか袖を掴まれつつ、二人でトイレに行った。交替で用を足した後で、アレカがこちらを向いて言った。
「ねぇ、ちょっと付き合ってよ」
アレカはそう言って、俺はベランダの方に連れていかれた。
「ごめんね。わたしの所為で」
凄い深刻な面持ちでアレカはそう言った。
「わたしっていつもそうなの。大丈夫、大丈夫って言って失敗して、皆に迷惑をかけてしまう。最低だよね」
今回、俺を天空に連れてきてしまったことが相当堪えているらしい。
「第七誓約ってね、離れる距離は少しずつだけど長くしていくことはできるの。でも、一度交わした誓約はわたしたち自身で解くことができないのよ」
その言葉に裏の意味はないように思えた。俺が異世界に来てしまい、俺の人生そのものを大きく変えてしまったことに、アレカは酷く悔恨の念をいだいている。アレカ自身のことは後回しにして、まずは俺のことを考えてくれている。俺にとっては、それだけで嬉しかった。
「俺は、アレカと出会えて嬉しいと思ってるよ」
まぁ、後でアレカに殴られるかも知れないが、率直な気持ちを伝えたいと思った。
「アレカの家族や友人たちもいい人たちばっかりじゃないか」
アレカの生活に突如入り込んでしまった俺が、アレカの生活をぶち壊すことはしたくないと思うのだ。
「俺のこと嫌いじゃなければ、助け合ってやっていこうぜ」
こんな前向きな言葉が自分から出ることに驚きを感じながらも、俺自身アレカと一緒にいれば変わっていけるんじゃないかと思った。
東京では引き込もって腐っていたけれども、やり直せるならやり直したかったのだ。そのやり直すきっかけを与えてくれたことに感謝をしている。
この子の笑顔は、側でずっと守っていきたい。
「俺、貧乳も好きだからさ」
強烈なフックを腹に食らったけれども、どこか優しさを感じるような気がした。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
↓
PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる