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番外編

番外編 鉄が溶けるほどに3

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25日目ーーー

「ねぇ、ユディール君。」

「うん?」

「今回、僕は君を満足させられてるかい。」

「せめて昼ご飯食べてから、その話題振れよ。」

今日のランチはトマトパスタだ。
僕はめっきり駄目だけど、ユディール君はトキ君に習って料理を始めた。
どんどん上手くなっている。

26日目ーーー

「そろそろ落ち着いて来た?」

「ごめんねユディール君。」

「だから良いって。」

流石に25日を過ぎれば頭もスッキリしてくる。
今日は奥を蹂躙したいとは思わなかった。
ゆったり肌を合わせて、殆ど動かないまま、微笑み合う余裕すら見せて愛し合った。

「実はねユディール君。」

僕は発情期間中、殆ど理性が効かない。
本能のままに君を犯して気絶させては、首を噛んで目覚めさせる。
時には眠った彼をそのままに、一晩、二晩中腰を振った事だってあった。

そんな事、許せなかった。
彼はどろどろに蕩けさせる方が美しい。
彼の意思で僕を受け入れて欲しがってくれなければ、こんな行為。
行為とは言わない。犯罪だ。

だから試してみたんだ。
暖炉に当たり、太陽光に似た光を浴びて脳を発情期間近だと錯覚させた。
錯覚させ、発情期を誘発させた上で、僕の体がそれを"異常"と捉えたらそれは成功だった。

窓の外はまだ冬景色。
風も匂いも春とは違う。
日々、少しずつ発情しながらも僕は殆どの理性を保っていた。

「実験は成功だったわけだ。」

「確信が持てた頃、君の番休暇を出した。」

「1ヶ月は長過ぎるんじゃないの?」

「そんな事はないよ。ただ、発情と理性を保てるようになるまではこれ位の休暇が必要だろうと言われてね。」

「誰に?」

「ベルモンド医師。」

「ふっ、マルロイ彼の事苦手じゃなかった?」

「何故もっと早く相談に来なかったのかと叱られたよ。」


実際、そうだった。
半獣の発情期に苦しむ者は、僕だけではなかった。
僕は鉄の人と、薄暗い呼び名が付いている。
だからと言って医者に罹らない道理は無い、と気付いた。

苦しむのが僕だけなら気にも留めなかっただろう。
ただ、理性が飛びハッとした時に目に飛び込む惨状を終わらせたかった。

「ねぇ、ロイ。」

「なにユディール君?」

「... ... 僕たちまだ、やってないことがあるんじゃない?」

「うん?何かな。」

何だろう。
いや、待てよ。本気で分からない。
もしかして頑張り屋さんなディーの事だから。

「ペニスの躾してみたいのかな?」

是非やらせて欲しい。

「勿論、君がそう言うなら僕は惜しみなく励むよディー。早く言ってくれたら良いのに。さっそく、」

「違う、、!!!」

「ぇ。」

「違うわこの頓珍漢!!」

じゃあ何だろう。
皿洗いはやったし洗濯に、掃除に、うーん。
頭を傾げる僕にユディール君がぼそっとなにかつぶやいた。

「何?」

「り、ぞ、、、のやつ、、まだ、シてない。」

「だめだ、ごめんねディー聞き取れなかった。もう一度聞かせてくれる?」

何故、そんなに頬を染めているんだ。
それに瞳が煌めいている。
まるで、結腸でイク時みたいな瞳、ぁ。

嗚呼!わかったよ!ユディール!

衝撃だ。
ごめんねユディール君、僕が馬鹿だった!
可愛い君のお願いに気付けないなんて。
僕はなんて愚かなんだ、!


「ごめんねユディール君。」

僕は彼を抱きすくめた。

「でも教えて欲しいディー。あの卑猥な台詞を、小さな声で良いから教えてくれる?そしたらベッドに行って、昨日みたいな穏やかなセックスをして、君が待てを出来なくなった頃に君の腹の奥とそのまた奥を暴いて、とろとろに溶かしてから、君が今から吐く卑猥な言葉通りのセックスをしよう?そうだよね?合ってるよね?僕の勘違いじゃないよね?」

捲し立てる僕にコクン、と小さい頷いた。
歓喜で胸が痛いよユディール君。

「教えてディー。僕と君はまだ何をしてないのかな。」

小さい、極々小さな声で。
彼はぼそっと呟いた。

聞いた事はあるかな?
猫のペニスには特徴があって。
それが堪らなく悦いらしい。

僕の妻もその虜みたいだ。
傷つけたく無いから、ほんの時々にしかしないんだけど。
でも、傷付けたこと無いなぁ。
もっと頻繁にするか。
よし。そうしよう。

だって僕の妻が望んでいる。

「嗚呼駄目だ、鼻血出そうだよディー。凄く卑猥だ。」



ユディール君の秘密 5

「猫の時、の、ぞりぞりのやつ、まだ、シてない。」


ぎゅうっ、と抱きすくめられた身体で、抱きしめて返す。
言うのも恥ずかしい言葉を、ともすれば風に流されそうな声で呟いた。

苦手だけど。
我を忘れる程、気持ちよくて、苦手なだけで。
恥ずかしいけど、マルロイが頑張って発情を操ろうとしてる。

なら。
僕も発情期怖く無いよって教えてあげないと。

でも、恥ずかしい。
理性が効かない夫に気絶するほど犯されてたのに、本当は猫の時の、トゲトゲで。

人型の時とは違うカタチで、
ナカをゾリゾリされるのが、好きなんだ。

「そうだね、まだシてないね。ディーは猫のゾリゾリのペニス好き?」

「良いから。はやく、ベッド行こう。ロイ。」

「嗚呼駄目だ、鼻血出そうだよディー。凄く卑猥だ。」


それに、頓珍漢だけど。
猫耳も可愛い。
これだけは発情期の間だけ見られる、僕の夫の可愛い所。



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