【完結】【R18】池に落ちたら、大統領補佐官に就任しました。

mimimi456/都古

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番外編

番外編 彼に賞杯を3

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寝室は極々薄いオレンジ色をしたベッドライトが点いていた。
初めは円柱の物を使っていたのだが、珍しくトキアキが四角い物は無いのかと言うので作らせた。

表に木彫りの細工を入れ、紙も違った物を取り入れていた。
職人ギルドの人間は伝統を重んじる堅物ばかりなのだが。
トキアキの案は職人を激らせたようだ。
灯りも白からオレンジに変えたそれを行燈、と言うらしい。

そのオレンジの光が、普段は襟付きのパジャマで目に付かない筈の首元をてらりと映している。

私の指先は誘われるまま首のくっきり浮かぶ筋を辿る。
下から上へ、そして顎の付け根から顎先へ。
持ち上げるようにすれば、彼の軽い顎は難なく上を向いた。
躊躇いもなく曝け出された首を後ろから掴むのが良い。
赤子の坐らない首を支えるようにするのだ。
そうすると、途端に危うい衝動に迫られる。
高揚だ。
高揚は冷静を食い、今すぐにでもこの首に牙を突き立てたい。
彼もそうされる事を楽しんでいる。
だが、今はその更に下が見たい。
前に鎖骨を噛んだ時は本気で嫌がっていた。
だが、食らいつくように舐められるのは好んでいたな。

バスローブの合わせから手を差し込む。
不埒で無遠慮な手付きだろうと、今は彼の胸元が見たい。
彼の胸の先に触れる予感をしていたが、どうやら先手を打たれたらしい。

「これは、」

はだけさせるというには大胆に、大きく腹まで彼が纏うバスローブを開く。
見えた光景は実に扇状的で私はこの肌を炎が走り抜けた気がした。

「お前は何時も大胆な事をする。」


よく見せてくれ。
肩から胸、腰と腹までを金色の極々細い複数の鎖が肌を着飾っていた。
緩く垂れたように流れるせいで、腰の細さが強調されている。
少し薄くなった筋肉も鎖に飾られるととても艶やかだ。

「美しい。」

装飾はまだ続く。
バスローブの腰紐から別のチェーンが見えていた。
見たい。暴きたい。
だが、まだだ。
掌で腰と腹を撫でて行く。
素肌とは違う、金属を纏う肌の感触を楽しまなくては。

やがて興味は胸へと移り、鎖越しに擦り、反対側をべろりと舐めた。
途端、匂いがした。
ふわりと沸き立つ私の好きな匂い。

彼は知らない。
獣人のみが嗅ぎ分ける番の匂いがある事を。
彼の肌の匂いは爽やかで、熱を帯びると急激に甘く匂い立つ。

「トキアキ、起きているだろう。」

だから寝たふりが通じる獣人は居ない。

「なんで何時もバレるんだ。」

「内緒だ。それより、ケーキをありがとう。」

その恥じらって笑う顔が見たくて種明かしを出来ないでいる。
誘われるままにキスをした。

「冷たいの?美味しかったろ。」

「あぁ。トキは両方食べたのか?」

「食べたよ。温かいのと冷たいの。」

「私も今度は温かい方を食べてみたい。」

会話の合間にするりと腕を伸ばし今度は彼がキスを挟んでくる。
吐息が触れたままに、さっき食べた美味いケーキの話をする。
それから今日有った楽しかった話もしてくれる。

「私のストレス発散方法が知りたいと書いていたな。」

この空間が私を癒やしている。
だが、なんと言えば伝わるだろうか。

悩むうちにトキアキが私の髪を撫でる。
頭の後ろをそう撫でられると、別の方に意識が向いてしまうな。

「俺に甘やかされるのは好き?」

にいっ、と笑う顔が可愛い。

「あぁ。そうだな。」

彼の腰と背に腕を差し込み強く抱き込む。
このまま眠っても良いかも知れない。
そう思う程に、気持ちが良い。
全ての緊張が解れていく。

「私の"右腕"」

先に動いたのはトキの方だった。

「休日返上で働いた頑張ったひとに、ご褒美がある。それと頼み事も。」

「頼み事?」

それは耳元でこそりと囁かれた。
あまりに甘い声で囁かれ一瞬、気を失った様な気がした。
我に帰ったのは彼の手が大胆にも私の下肢を撫でて来たからだ。
ーーー珍しいな。

頭を抱き込まれていて顔が見えない。
どんな表情でそこを撫でている。
どんな表情でそんな頼みを囁いた。

「顔を見せてくれ、トキ」

「いやだ、」

「もし、顔を見せてくれたなら、今撫でているそこは期待通りの反応が出来るぞ。」

私にも理性を保つ鍵が有る。
外すのは何時も1つ2つだが、秋の始め頃に彼を抱いた...合意の上で犯した時はかなりの箍が外れていた。

トキアキ
また理性が飛んだあんたが見たい
そう言ったのはお前だ。
それなら先にお前の錠前を外さなくては。

「恥じらう癖に大胆で可愛いな、トキ。」

頑なに顔を上げない強情さは愛おしいが、これはお前が望んだ事だ。私は夫として妻の願いを叶えなくてはなるまい。

「もう少し上だ、トキ。」

「わかった、」

「そこだ、そこを上下に擦ってくれ。」

「こんな感じ?」

「そうだっ、」

ゆるりと嵩が増す。
それを指先で感じたのだろう、私にバレないよう除き見ている。
バレているのだがな。

「直接触るか」

「ーーー…ぃ、」

沈黙が流れた。
遠慮や配慮、空気感、そんな物どうでも良い。

「構わない。無理強いはしない。何時もお前は私のこれを愛してくれている。その位で私の想いを疑うな。」

前は理性も程良く飛び、好奇心に呼ばれ、口に含んだ事もあったが、今はまだ鍵が外れてすらいない。

しかし、トキアキは負けず嫌いだ。
それから前に良いことわざを教えてもらった。
好奇心は猫をも殺す。
だがら、トキアキなら。

「ーーー…ふ、」

勢い良く口付けがやって来た。
羞恥と怒りで目をギラつかせ、右手は夜着を滑り込み直接私のものに触れる。

「これで良い、?」

それでもきちんと言われた場所を言われた様に刺激している。
耳も頬も肌も色味が濃くなった。
私の好きな蜂蜜色のお前の肌の色だ。

「あぁ。お陰で期待に応えられそうだ。」

「うわ。デカ。」

手の中で太るものに思わず、意地で続けていたキスを止め手元を覗き込む。盗み見る所では無くなった様だ。
私もトキアキの手の上から握り込む。

「これが何時もお前のなかに入っている。」

「うそ」

「あぁ、まだデカくなる。」

「ひ、」

不味い。タイミングが悪かった。

「すまない、そう初めての様な反応をされると、つい。」

私は頑張ってくれた右手を引き寄せ、手の甲へ口付けた。
何時もペンを握り、器用に料理をする手だ。
そこに悪辣なものを握らせてしまった様な気分だが、これは。
どうしようもなく唆られたな。

「代わりに、私にお前のものを含ませてくれ。」


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