【完結】【R18】 二人の主人と三人の家族

mimimi456/都古

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本編'24

12月29日 (2

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大荷物の買い出しは大変だった。
もうやらない、人は多いし変な人は居るし、とにかく人目が気になる。
どうして俺なんかを上から下までジロジロ見るんだ。

分かってる。雰囲気だ。
あいつには当たり散らしても良さそう、とか俺より弱そうみたいな表情をよくされる。

まぁでも、今日は大型ショッピングモールのスーパーだから俺の横には和己が居て、後ろには陸也がそびえたってた。

何も怖くないっ。
俺を見て俺の隣のキラキラなイケメンを見て、その流れで後ろのゴツい男を見るんだ。それでドン引きして顔を引き戻す…なんておじさんを6人は見た。

でも和己の顔を見てる女の子は5人目から数えてないし、俺を見てるのかと思ったら陸也の腕の筋肉を見てる男の人も居た。マッチョさんだった。

新年に下着と靴下を新調する習慣を陸也が持ち込んだ。
俺はここ数年自分で下着を選んだ覚えがない。
というか、自分のと和己の下着の区別すら付いてないから履く。

躊躇いは無い。
二人暮らしの時に、むしろ節約出来て良いくらいに思ってた。
陸也のはデカいから履けなかったけど、履くと喜ぶ。

最近履いてないな。

何が楽しいのか、男物の下着売り場で隅から隅まで見て回る男二人を、側の休憩用ベンチに座って眺めてる。
食品売り場を回った後で態々重たい荷物をカートに乗せて、上の階の下着売り場に来たのには理由が有る。

あの通り。
いつまで経っても二人が俺のパンツを選んでるから。

どれでもいい。
レースでもトランクスでも紐でも良いから、早く帰ろう。疲れた。
もういっそブリーフでも良い。

どうせ二人しか見ない。
油性ペンで名前でも書いたら喜びそうー…キッッツ。


紐の方がマシだった。

あ。和己がこっち見た。
パチンってウインクなんかされても、俺はもう帰りたくてしょうがない。
口パクで、はやくかえろうって言うと笑ってレジに並んでた。
代わりに陸也がこっちに歩いて来る。


「待ったか?」

「うん、はやくかえろう、疲れた」

大袈裟に項垂れて見せる俺に陸也がデカい声で笑う。
うるさい。なんでそんなにご機嫌なんだ。

俺は疲れたっ。

「ご褒美が有るぞ良悟。」

「んー?」

「アイス食べないか?」


食べた。
チョコアイスの上に生クリームが乗ったアイスを、この寒い中車の助手席で安全運転をさせながら食べた。

カタカタ震えながら食べるアイスは美味しいし、ハンドルを握って熱い缶コーヒーを飲むゴリラにも眠気覚ましに冷たいアイスを放り込んだ。

和己は後ろで爆睡してた。
陸也のデカいジャケットを毛布がわりにして。

「寒いっ。!」

「ハハッ」


買い物袋を仕舞うのは二人がしてくれるらしい。
寝惚けた和己の代わりに買い物袋と機材の荷物を運び入れたら、もう俺がする事はない。寝る。

折角、和己が選んで上から下まで拘ったコーディネートを全部脱ぎ捨てて行く。何時もなら洗濯機に入れるけど、もう無理だ。眠い。

今ならとんでもなく深く眠れる気がする。

「うぅ…きもちわるいっ。」


眠過ぎて目が回る、

もぞとぞと潜り込んだベッドの中はあちこちから二人の匂いがする。
毛布を頭の上まで引き上げて目を瞑れば、リビングで話す声がする。
冷蔵庫をパタパタ閉める音も、パントリーのドアを引く音もする。
それにまだ明るい。
眩しくも無い。
電気を点ける程でも無い、良い感じの明るさにホッとする。

居心地が良い…。


すぅ。
息を吸えた
止めてじわ…っと吐き出す

もう一回。

良い気がする
このまま、すぅっと息を吸って吐けば。

肌に触るシーツの滑らかさとふかふかの毛布、閉じ込めた二人の匂いが俺を安心へと導いてくれる。
ここは安心できる場所。こわくない場所。そう思う。


すぅ。 すぅ。 すぅ。
すぅ。

不意にコトン、と
意識が気持ち良い滑りに攫われてゴルフボールみたいに軽い音を立ててカップインした。

そこが俺が覚えてる脳味噌のイメージ。
あとは落ちるだけ。夢の中に。


ーーー


パチ、と目が開いた。
びっくりした訳じゃなくて、自然と目が開いた。
良く寝た達成感が有る。充足感も。

どのくらい寝てたのか分からないけど、部屋は電気が無いと分からないくらい真っ暗になってた。

「ん…なん、じ」

もぞ、と被った毛布から顔を出す。
どこかに放り投げた筈のスマホを手探りで探す。

もうすぐ19時だった。
良い時間だ。晩御飯にしなきゃ。

右を見ても左を見ても俺の家族は居ないのに、この前と違って何の不安にも襲われない。この違いは何だろうな。

何でも良いか。

起きたよって言いに行こ。
あと、ご飯食べよう。お腹空いた。

和己のリストに載ってないの、にした方が良いかな。
それとも、もう晩御飯は出来てるかもしれないと思いつつサイドテーブルの電気を点ける。


「ん、?」

ベッド脇に脱ぎ捨てた筈の服が無い
なんでた。

ハッとして自分の身体を見下ろす。

手枷も足枷も、紐パンも無かった。
パンツ一丁で寝てたけど、そう言えば寒く無い。
暖房が入ってた。どっちだろ。
どっちでも良いけど、どっちにもお礼を言おう。嬉しい。

でも、何を着て行けば良いのか。
パジャマはリビングだし、流石にこの格好で廊下に出たら寒そう。

「…これで良いや。」

焦茶色の陸也のもふもふパジャマ。
この大寒波の中でも男が三人くっついて寝れば、寒く無い。
身長がデカい奴は熱容量が大きい。
つまり、一回温まると冷めにくい。

ゴリラが毛皮なんか纏ったらそれは立派な湯たんぽになれる。
ファスナーが着いてていつも開けて寝てるけど、俺にとっては寒いから閉めとく。

ズボンは、いい。履かない。
足の長さが違うのは知ってる、この歳でパジャマの裾を折るのは恥ずかしいからいい。これで行く。

ギリ隠れてるから良いだろ。

別に襲われたって良い…。
その為に履かない訳じゃ無いけどっ。
履かない方が多分喜ぶ。

冬は露出が減って寂しい、って言ってた。

「うわ、さむっ。」

やっぱり廊下は冷たかった。床がキンキンになってる。
スリッパ買うべきかも知れない。

ーーーーー


なんか、変。おかしい
部屋がキラキラして見える。

なんだ。

何。

リビングの電気が点いてるから、とかそんなんじゃ無いと思う。
テレビも点いてる。

「お、起きたー?」

和己がキラキラして見える。
陸也があげたピアスのせいか。

「おはよう良悟。」

陸也もキラキラしてる。
偶にそう見える時が有って、多分俺の神経が光に過敏に反応してるだけだとは思うんだけど。そういう時は大抵、二人の機嫌がすこぶる良かったりもする。

リビングの床に座る陸也に手招きされて、当たり前の様に膝に乗る。
やっぱり機嫌が良い。

「足が丸見えだぞ良悟。」

キスより先にイタズラな手が太腿から膝を撫でていく。
目論見通りだ。俺、すごい。

「今日、機嫌良い?」

擽ったくて足を捩りながら後ろを見上げる。

「休みだからな。舞い上がってる。」

「和己も?」

「ふっ、聞いてみたらどうだ。かなり張り切ってるぞ。」

キスをして気が済むまで吸いあったら、台所に二人して視線をやる。
ああ、確かにあれは張り切ってる。

「出掛ける前よりお洒落なの。」

「可愛いな。」

ブレスレットが増えてる、髪もピンが刺してあるし、そう言えばピアスの色が左右で違う。付け替えたんだ。何時もは面倒臭がるのにエプロンまでしてる。

「俺も手伝うー?」

俺が行くと和己は直ぐ俺しか見なくなる。
今は鍋とかフライパンとか見てて欲しい。晩御飯の為に。

「キスして欲しいなぁーっ。」

「んーっ。」


仕方ないな。
ふぅ、と息を吐くと陸也が急に腕を回して来たっ。

「どこ行くんだ良悟っ?」

「うあっ、和己に呼ばれたっ。見てたろっ。」

「俺も呼んだだろ。」

ギュッと抱き込まれる、この腕に捕まえられるのが嫌いじゃ無いから困る。
ドキドキするんだっ。

「ん…っ、でも和己にはキス、してない」

「構ってくれないのか?」

甘い声がする。
恥ずかしいやつだ、俺がこれに弱いのを知っててそんな声を出すっ。

「ううっ。」

ジタバタ踠く事もできない上に、耳まで声に侵されておかしくなるっ。

「和己っ!」

「なぁーにぃー。」

「助けてっ!襲われてるっ!」

「うん。見えてるよ。♡」


ーーは?

ガバッと顔を上げて見た台所で、和己がこっちを見てた。
ほんとに見てたけど、なんでそんな楽しそうなんだっ!

「助けろよっ!」

「いやだ。♡踠いて見せてりょーご。♡」

「なん…っ、?なんでだっ!?」

「俺の勝ちだな。」

「うぐっ、」

ギュウギュウ、陸也に抱き込まれて行く。
背中まで覆い被さられると、いよいよ抜け出す事もできない。
身動きももう取れない…っ、

息苦しいのに…っ、重たいのにっ、こんなのおかしいって分かってるのにっ、

「うぅー…、ふ。♡」

熱の籠った息が漏れる。

「良い声だ。そのまま<ステイ>出来るか良悟。」

「ァー…。♡」

「良悟。無理そうか、ん?」


優しい声がする。深くて低くて甘い。好きな声が。
耳が擽ったい。声を出す振動で震える陸也の胸の感触すらわかる。
重たい身体が俺に乗ってるー…。

「で、き…るっ」

「偉いな。」

ほんの少しだけ緩んだ腕の中でもぞもぞと座り直す。
正座からお尻を落として膝をできる限り左右に開いて

ぺたり。
足の間に両手をつく。

「上手いな。良い子だ。」

「ンッ、♡」

陸也の鼻先と唇が、俺の首に擦り寄った。
チリッと、走った痛みに鬱血痕を残されたんだと思うと、相応しく無い声が出た。

「あー…ッ、ン♡」

褒められた。
和己が晩御飯を作りながらこっちを見てるのに、俺は、変な声を上げて褒めてもらってる…っ。

「ん。」

嬉しい、のにっ、恥ずかしい

「良悟。」

「うんっ、♡」

「どっちが良いか決めかねてる事がある。選ぶのを手伝ってくれるか。」

「な、に、?」


今、聞かれてもこんな頭じゃ難しい事には答えられそうも無い。
だって、前置き無しにコマンドを言われるなんて、久しぶりだし…っ、このままこの腕に閉じ込められても良いなんて考えてるっ、♡

まともな事は、きっと考えられない…っ。

「今日のプレイは、俺とカズどっちが先に良悟を抱いたら良いんだ?教えてくれるか。」

「ー…く、ン、♡」


ズルい、ズルい、ズルいっ、そんな聞き方はズルいっ。♡

プレイネームを今、持ち出すなんてズルい、
あ。でも和己がこっち見てる。
またウインク飛ばして来てる…っ、て事はこれ合意なのか、?♡

こんな事をして、俺がどっちを先に食べるか決める、?
多分、なんか勝負してるんだっ。

俺がどっちを選ぶかで、俺を抱く以外の何かの権利がどっちかに与えられる。

今夜着せられる変な下着コレクションの件かも知れないし、今夜使う道具の賭けかも知れない、プレイ内容の話かも。
もう放り投げたりしない、のかな。

あれ、びっくりして気持ち良かった…、ぁ。だめ、だめだ。
思い出したらウズウズするっ、まだやだ、!
ご飯食べてないっ。

「良悟、どっちが良いと思う?俺かカズか。」

「ぁ、♡んっ、ふ、♡」


また戻ってきた陸也の体重に閉じ込められて、俺はなんとか答えを出したー…っ。



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