【完結】【R18】 二人の主人と三人の家族

mimimi456/都古

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続編'25

6月の花嫁(2

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流石に流すのに手を縛ってる布が邪魔で外してあげる。

今日に限って俺に流して欲しいなんて、言われたら俺は歩けない良悟を歩かせないといけない。
手を引いて、上手に歩けてるねって褒めてあげる。

途中で膝をカクンッと着いたけどそれでも、立ってって言えば肩で息をしながら立って歩いてお腹の中をきれいにした。

何も出来ない良悟ってホント無防備だよね。
ふぅ、ふぅ、言いながらきれいにした身体を拭いてあげる。
その間もふらふら、覚束ない足元で俯いてる。

顔を上げさせると、少し虚。
なのに俺を見付けるとキラッと瞳が揺れる。
そういうとこだよ、良悟。

だから俺達はこういう手段を取ってる。
普通は病院に行けって言うだろうし、もっと取り乱したって良い筈なのに、この理性を持った目が良悟を正気だと思わせて来た。

気が触れた様な行動は、何も。
俺や陸也が見て理解出来ないような行動は、何も起こさない。
その代わり、俺達を使ってストレスを発散させる。

煽られて夢中で腰を振る俺達を見て、良悟は満足する。

何をどうすれば、俺から理性を奪えるのか良悟は知ってる。

ーーーーー


和己に手を引かれて寝室に入ってきた良悟は、ふらふらしていた。
ベッドに座らせて足を見る。力が入ってないな…が、入れようと思えば入るらしく、健康な動きをしてみせた。

つまり、そういうことだ。

「痺れはあるか。」

良悟は首を振る。

「言葉にしてくれ良悟。和己には言わないでおくから。」

そう付け加えると、恥ずかしそうに微笑んだ。
ごめん、と言うから少し安心して顔を覗き込む。
しっかり目が合う。視線は外れない。瞬きも普通だな。

「少しは落ち着いたか?」

「ん。」

「さっきのメッセージの件、今済ませないか良悟。」

「ん、」

不愉快なメッセージだった。

俺からしてもそうなんだから、これを和己が見たらどうするだろうな。いよいよ洗脳でもするか。
大丈夫だな。良悟はどれだけ取り乱してもしっかり考えている。

理不尽に科学的根拠や理学的根拠を探す。
大学で良悟が書いた卒論は、ゾッとするような内容だった。
家庭社会学、感情社会学、ジェンダー、心理学、あまりに多岐で膨大で良悟は毎日、図書館に居た。

家には持ち帰りたく無いから、と。
良悟の論文は俺の過去にも刺さった。良悟も。そして和己にも。
一度、辛くないかと聞いたことがある。

もっと無難な物にしたらどうか、と提案した。
その辺に有るもっと自分とはもう少し遠い社会問題の論文を書いても良かった筈だ。その方が負担は少なくて済む。淡々と事実と経緯や論点を書き出せば良い。

だが、良悟は首を振る。

ーーこれは、俺の問題だから。

そのせいで、自分に起こっていた事を理解しながら進むという工程が増えても良悟は辞めなかった。

自分がどれだけ不安定な状態で、どれだけ未熟な環境にあったのかを整理して理解して泣いて俺の手を握る。
さっき見たメッセージを読んで、俺はその日々を思い出していた。


気立ての良いお嫁さんを貰う予定だったらしい。
その為に大学に行かせ、一人暮らしをさせたがいつの間にか男を連れ込み碌に里帰りもせず、どこで何をしているのかもしらせない親不孝の息子だと書かれていた。そんな風だから従兄弟が先に結婚式を挙げる事になったんだとか、身内の恥だとか…果てには、まさか身売りでもしてるんじゃないだろう、と怒りのままに書いた様なメッセージだった。

正直に言えば、ひとの親というのは、こう言ったメッセージをひとり息子へ送るものなのだろうかと、正気を疑った以外には。
良悟の恋人として、10年一緒に暮らした家族として、差出人が良悟の実の母親だとしても不愉快な内容だと感じる。

怪我はしなかった、と聞いた。
アザにもならなかった。
拳骨はされた事が無い、とも言っていたな。

だが和己は、<殴られるのを待ってるんだよ、あのこ。>と教えてくれた。ずっと前の事だ。三人で付き合う前だ。居酒屋でケジメとして和己から腹を殴られた後、そう教えてくれた。

俺が大学生で、良悟がただの恋人なら。
これは良悟個人の問題だと言ってやれたかもしれないが。
俺達は子供じゃ無い。成人した社会人男性だ。俺からすれば良悟はパートナーの養父、だが。

裁判所の公正証書じゃ、財産分与をし家事をし家計を助け合う為の和己を中心とした家族構成の一員となっている。

「署名しただろ。良悟。」

「ん。」

「誰が何と言おうと俺達は家族だ。」

「うん。」

「これは記録として残しておくが、事実じゃ無い。そうだろ。」

「… … 、」

「事実だと思うのか。」

良悟は、ゆるゆると首を振りながら口では違う事を言う。

「でも…っ、あの人達にとっては事実だっ」

「俺達が事実だ。」

「じゃあ何っ、」

「主観だ。そうだろ。」

「主観…。」

「そうだ。」


客観的に見て存在する物が、事実だ。
良悟は親不孝ではなく、身内の恥でも無い、良悟の身体を知るのは俺と和己だけで十分だ。

「…男を連れ込んだ」

「そうだな。二人も連れ込んだ。良い男だろ?」

「んふっ、」

「何で笑うっ?」

「…ちょっと頭おかしいって付け加えて」

「ふっ、ははっ。そうだな。ちょっとで良いのか。だいぶおかしいぞ、?」

「んふっ、ふっ、ふふっ、ふははっ。」

「そいつと家族になったんだ。それとも今時、婚前交渉が駄目な男だったのか良悟?」

「しらない。」

「嫁を貰う予定だったらしいぞ?」

「しらない。」

「見合い話でもされたのか?」

「… … 。」

「良悟」

「大学受験の時に、言われた…大学卒業前に見合いして卒業したら結婚するって...でも本気にしたら駄目だ。次の日には違う事を言い出すんだ。だから、これもそうだと思う。」

「そうなのか?」

「わかんない。本気で強制するつもりなら今頃俺はここに居ない、と思う。スマホも10年ぶりに鳴ったくらいだし。そうじゃなきゃ、毎日電話が掛かってきてたと思う。」

「そうか。」

ーーーーー


実の所、電話は三回掛かって来てた。
引っ越したその日の晩と、3日後、更に一週間後。
その全部にメッセージで返事をすると、翌月からは音沙汰が無くなった。それでも毎日怯えながらスマホを開いた。それが一週間、一ヶ月、三ヶ月、半年になるといつもの事だった。

俺に興味が失せたんだな。

世間がどうかは知らないけど、俺があの家で名前を呼ばれた数はせいぜいが月に一度。
毎日同じ家で過ごして、同じ食卓に着いて、同じ風呂やトイレを使うけど俺は名前を呼ばれない。

おい、お前、あんた、それ以外にはあまり人には聞かせられない様な呼ばれ方をした。
陸也が聞いたら青筋を立てそうな感じ。

「良悟。」

それなのに俺はこの10年、毎日。1日4回は名前を呼ばれて生きて来た。4回は最低数だがら、本当はもっと呼ばれてる。

確かに手が震えて心が凍り付いて…けど、思ったよりマシだと思う。和己が前に、回復が早くなってるね、って褒めてくれたのを覚えてる。嬉しかったから、そうなれる様になりたい。

確かに。
男は連れ込んだ…けど家族になったし。
期待に応えないのは親不孝じゃない。
もし悲しませてごめんって、俺が言うとしたらーー。


思い通りの息子じゃなくてごめん。


「それと、良悟。」

「ん。」

「和己の顔見たか、」

「…見た。」

「止める努力はする。」


俺は首を振って断った。
止めなくて良い。けど、そんなにだったかな。
顔が良い事しかわかんなかった。


「セーフワードが言えないなら、プレイはしない。」

「ん。」

「言えそうか?」

「…言うつもりが無い。」

「気持ち良いだけなら言わなくて良い。ただ、辛くなったら合図をしてくれ良悟。俺達はプレイがしたいだけだ、罰したい訳じゃない。違いが分かるか。」

「わかる。わかってる。俺も、それが良い。」

「今の、忘れるなよ。」

「ん?うん。分かった。」

「もう一回、セーフワードを言って見てくれ良悟。」

「分かった。」


少しだけ取り乱していた中身が落ち着いた様な気がする。
今日は陸也に守られて和己に酷いことをされたいんだ。

「青いお城。」

「違うな。」

「ぇ。」

「青の、だ。変えるか。」

「覚えた…青の。青、の。青のお城。ごめん。」

「もう一度だ。セーフワードは何だ良悟。」

重たい声が響く。
陸也が態と怖い声を出すんだ。
そうやって俺の手綱を握って、引っ張り上げる。

良い声。好き。

陸也の声、好きだ。

「青のお城っ。」

「よし。俺のプレイネームは良悟。」

「リ、ク…っ。」

「もう一度。」

「リク…っ。♡」

「なんだ。」


さりさり、顎をくすぐられて頭がフルッと揺れた。
きもちぃ。もっと触って。

擦り寄って一回だけぎゅうって、ハグをしてもらう。

「良いのか、こんな事して。」

「良いっ。どうせ今だけだ。この後はもう<動けなくなる>んだから…っ。」

「久々だな。」

「ん。見ててリク。」

「あぁ、頑張って耐えて見せてくれ良悟。」


キスをしてくれてタオルを剥がされて、何も着ないまま三人が寝れるベッドで丸くなる。

リクは、もうひとりの主人を呼びにベッドを出た。

ドキドキしてきた。
シーツの滑らかな触り心地にも、ゾクッとして早とちりな声が漏れた。

「んっ。♡」


ーーーーー


自分がイカれてるって自覚は有るよ。
ちゃんと有る。

「かぁわいぃね…なぁにそれ。」

寝室のドアを開ける前、陸也に言われた。
程々にしとけって。お前にだけは言われたくないっ。
けど良悟が大変だってのは分かる。

けどこれは、だめじゃん。♡

俺を理解してる男の子にどうやって勝てば良いんだよ。

スラッとした足の指先まで丸めて、膝を完璧な美しさの角度で曲げる。指先まで伸ばした右手が顎を上向きに反らしてる。

良い角度…。
吸い寄せられる様にベッドまで近付いて、真上から横になった裸の俺のお人形さん。

「綺麗だね、良悟。」

ぱちり、瞬きをする。

「それはお返事、良悟?」

また、ぱちり瞬いた。

「セーフワードを声に出してみて良悟。」

「…青のお城。」

「俺のプレイネームも呼べる?」

「カズ…っ。」

「ん。良いね。今日は何したいの良悟。俺もそのつもりだけど、確認しないと俺がリクに怒られちゃう。」

良悟は、ピクリとも動かないまま目だけをこっちに向けて答えてくれた。

「動かない俺を抱いてくれて良いよ…っカズ。」

「いま、お腹動いたよ。えっち。もう感じてるんだ?♡」

「ん。」

「一応、程々にしろって言われてるんだよ?」

「しらない。」


生意気なこの口が可愛いと思うのは俺だけ?
その口に俺の突っ込んでリクのでガツガツやらせようかなぁ。
折角綺麗に横たわってくれてるのに、ぐっちゃぐちゃにしてやりたくなるじゃん。♡

「はぁ。可愛い。ちょっとリボン取ってきていい?リクっ。」

「なんだ?」

「これ見ててね。一歩も動かない様にして。良いよね良悟。」


「んー…ッ、♡」

「可愛い顔だな。どうした。」

「赤のリボン取ってくる。直ぐだから。」


ーーーーー

和己がドアを出たのを見計らって聞いてみる。



「今、物扱いされて感じたな良悟。」

「んふっ。♡ん。」

「あまり飛ばし過ぎるなよ。」

「ん。♡リクのも期待してるっ。」

ぱちっ、と和己に負けないウインクが飛んで来た。
いま、俺の心拍数を測ったらすごい数値になりそうだな。
裸でベッドに横たわる良悟のせいで、俺も少しずつ理性が剥がれていく。

「可愛いな、良悟。」

「しってる。♡」


その自信満々な顔も良い。
良悟はそうでないとな。

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