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第五話
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遠目で見た限り、村はいくつかあったが煙が上がっているのは一つだけのようだ。
今晩はあの村に泊めてもらおう。
木の杭がぐるりと村を囲っていて、あそこならまた黒い液体が襲ってきても、杭が妨げてくれるかも知れない。
それに紺もあの村が良い、と言う。
神の遣いがそう言うのなら、そうなんだろう。
「さて、ようやく着いたな。」
村への入り口は一つだけみたいだ。
やっぱり大きな木の杭が村を取り囲んでいるようだ。
「入口は何処だ?」
「あちらだ行くぞ。」
「はいはい。お狐様の言う通りに。」
山から真っ直ぐ降ってきた先、行き当りを左へと紺が進む。
そうして回り込んだ先に門番みたいな二人が立っていた。
「あの、すみません。」
「ぇ…あんた、ぇえっ!?」
「ぇ?」
「あんた、どっから来たんだ。」
二人組は尋常じゃ無いほどの慌てようだった。
そりゃあ、突然見知らぬ格好のやつが現れれば、警戒するわな。
「あぁー。ちょっと込み入った事情が有るんだけど山からだよ。ほら、あの山の中腹から降りてきたんだ。」
「嘘だろ…そんな、まさか。」
「ホントだって、!気付いたらあそこに落とされてたんだよ。なぁ、俺今日泊まる所探してるんだ。どっか隅っこでいいから貸してくれねぇか。」
「本当に、落ちてきたのか…」
「そうだって言ってんだろ。」
少し待て、ともう一人の門番が言うと、もう一人はそのまま大慌てで村の中へ入っていった。
ーーー大丈夫かあの人。
「なぁ、あんた。やっぱ…余所者が泊まるのは困りそうな感じなのか?」
俺に待て、と言ったもう一人の門番は、逞しい筋肉のオジサンだ。右目に眼帯してて痛そう。
でも、この人なんか良い匂いがするな。
紺みたいだ。
「普段なら様子を見て迎え入れている所なんだが。あんたがもし本当にあの山から降りてきたって言うんなら。ちっと話がややこしい事になる。」
「怪しい者じゃない。」
「そうだろうな。それにあんたが連れてるその狐さんも気になる所だ。」
「え?いや、こいつはただの狐だぜ、」
嘘だ。ホントはべらべら喋る。
なんならうるさいくらいに口が回る。
「そうか。」
俺の背中に冷や汗が伝うのを、狐はしれっとした顔で遠くを見てる。
我関せずみたいな顔をしやがってムカつくな。
あはは…と笑って流していると。
あの門番くんがすっ転びそうな勢いで走って来た。
あれは一度転んだな。
服が汚れてるぞ。
しかも、顔が必死すぎて怖い。
「親父さんっ、大変です‼︎その人マツリ様でさぁっ、‼︎」
「… … やはりか。」
「んあぁ?」
「という事で、お二人さん。我らはあなた方を歓迎します。長らくお待ち申し上げておりましたマツリ様、お狐様。」
「うむ。良きに計らえ。」
俺は開いた口が塞がらない。
オジサンが突然、その場で膝をついて傅いた。
それを狐は当たり前という風に受けている。
これは一体どう言う事なのか。
俺は門番のオジサンに着いて村の中へと入って行く。その途中こそり、と前を歩く狐に聞いてみるが何も答えなかった。
ただ一言。
こっちを振り返ってツンと言い放った。
「働け小僧。」
今晩はあの村に泊めてもらおう。
木の杭がぐるりと村を囲っていて、あそこならまた黒い液体が襲ってきても、杭が妨げてくれるかも知れない。
それに紺もあの村が良い、と言う。
神の遣いがそう言うのなら、そうなんだろう。
「さて、ようやく着いたな。」
村への入り口は一つだけみたいだ。
やっぱり大きな木の杭が村を取り囲んでいるようだ。
「入口は何処だ?」
「あちらだ行くぞ。」
「はいはい。お狐様の言う通りに。」
山から真っ直ぐ降ってきた先、行き当りを左へと紺が進む。
そうして回り込んだ先に門番みたいな二人が立っていた。
「あの、すみません。」
「ぇ…あんた、ぇえっ!?」
「ぇ?」
「あんた、どっから来たんだ。」
二人組は尋常じゃ無いほどの慌てようだった。
そりゃあ、突然見知らぬ格好のやつが現れれば、警戒するわな。
「あぁー。ちょっと込み入った事情が有るんだけど山からだよ。ほら、あの山の中腹から降りてきたんだ。」
「嘘だろ…そんな、まさか。」
「ホントだって、!気付いたらあそこに落とされてたんだよ。なぁ、俺今日泊まる所探してるんだ。どっか隅っこでいいから貸してくれねぇか。」
「本当に、落ちてきたのか…」
「そうだって言ってんだろ。」
少し待て、ともう一人の門番が言うと、もう一人はそのまま大慌てで村の中へ入っていった。
ーーー大丈夫かあの人。
「なぁ、あんた。やっぱ…余所者が泊まるのは困りそうな感じなのか?」
俺に待て、と言ったもう一人の門番は、逞しい筋肉のオジサンだ。右目に眼帯してて痛そう。
でも、この人なんか良い匂いがするな。
紺みたいだ。
「普段なら様子を見て迎え入れている所なんだが。あんたがもし本当にあの山から降りてきたって言うんなら。ちっと話がややこしい事になる。」
「怪しい者じゃない。」
「そうだろうな。それにあんたが連れてるその狐さんも気になる所だ。」
「え?いや、こいつはただの狐だぜ、」
嘘だ。ホントはべらべら喋る。
なんならうるさいくらいに口が回る。
「そうか。」
俺の背中に冷や汗が伝うのを、狐はしれっとした顔で遠くを見てる。
我関せずみたいな顔をしやがってムカつくな。
あはは…と笑って流していると。
あの門番くんがすっ転びそうな勢いで走って来た。
あれは一度転んだな。
服が汚れてるぞ。
しかも、顔が必死すぎて怖い。
「親父さんっ、大変です‼︎その人マツリ様でさぁっ、‼︎」
「… … やはりか。」
「んあぁ?」
「という事で、お二人さん。我らはあなた方を歓迎します。長らくお待ち申し上げておりましたマツリ様、お狐様。」
「うむ。良きに計らえ。」
俺は開いた口が塞がらない。
オジサンが突然、その場で膝をついて傅いた。
それを狐は当たり前という風に受けている。
これは一体どう言う事なのか。
俺は門番のオジサンに着いて村の中へと入って行く。その途中こそり、と前を歩く狐に聞いてみるが何も答えなかった。
ただ一言。
こっちを振り返ってツンと言い放った。
「働け小僧。」
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