【BL】【完結】君に贈る僕の狂気

mimimi456/都古

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友人とソファー

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眠った顔を眺めていた。
こんなにあどけない顔をしているのに、僕と歳も変わらない。
僕より小さくて、けど僕より料理上手で、世話焼き。

初めて、ひとに髪を乾かしてもらった。

心地良いんだね。ジュンの手だからかな。
きっとそうだね。

「ふわっふわだな、髪っ。」

「うん。気に入った?」

「触り心地いーわっ。」

「そう?いくらでも触って良いよ。」

「いや、いい。」

「残念っ。ジュンは美容師の才能があるね。」

「要らねぇわ。」



そんな何でもない会話をした夜も初めてだった。
僕の部屋はいつだって、ただの犬古屋で、いつでも捨てられる家で、この家に僕の愛着の湧く物は一つも無い。

無いのに、そのソファだけは特別になったね。

僕のベッドを提供するって言ったのに、ジュンはそこのデカいソファを貸してくれ、って言う。
君から見れば全部がデカいのかな。普通のソファだったのに。

僕はこれから、このソファを見る度に考える。


これはジュンが一晩を過ごしたソファで、ジュンにとってはベッドくらい広いソファで、僕の部屋なのにそんなにぐっすり眠って。何も怖いものなんか知らない、出会したこともないみたいな顔をしてる。

その怖いもの、はこんなに近くにあるのに。

僕が怖くないの、ジュン。
あどけなくて可愛い寝顔をしてる。この顔が僕以外の恐怖で凍るなら、僕はきっと耐えられないな。

すぅすぅ、小さな寝息を立ててる。

可愛い。そのあんまり小さい呼吸音をもっと近くで聞きたくて、無意識で体を寄せた…つもりだったんだけどなぁ。

ごめんね。

気が付いたら、キスをしてた。

ほんの軽いキスだよ。触れただけだ。
吸ってもないし、舌を這わせてもない。

けど、ジュンの肌の匂いが分かる距離に…っ、僕の方が冷静でいられない。こんなキスとも言えない、唇が触れただけの行為に、どうしてこんなに胸が痛いんだろうね…っ、ふふ。


それに、ドキドキするっ、

凄いね、ジュン。

僕は呼吸も心拍数も弄れるのに。
こんなにも、煩い心臓を、暴れ回って血管が疼く様な感触をもっと、もう少し…っ、味わっていたいと思うなんてっ、


「は、ぁ...、♡」

もう一度、キスをした。
触れるだけの行為を、眠っている僕の友達に。

美しい黒髪の、美しい写真を撮る、僕の標的に。


さぁ、始めようか。
ああ、勿論プランAで行く。

一切、手は抜かないよジュン。

僕を見ていてね。

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