公爵令嬢が聖女に転生する世界~婚約破棄を宣言したのは誰?~

aki kuni

文字の大きさ
7 / 8

7

しおりを挟む
「では、これから聖女エライザ様の認証式、並びに婚約者選抜式を執り行います」
司会のアナウンスが入り、会場が一瞬ざわつく。そして、再び夜の海のように静まる。
「では、エライザ様に聖女の証として、聖剣を授与致します……」
聖剣……この国ができた歴史を遡ると、常に話題となる。戦の渦中において、一人の秀でた軍人によりもたらされた平安……彼が携えていたとされるのが、いま私が引き継ごうとしている聖剣なのだ。その力は聖女にしか分からないという。つまり、この聖剣にどのような力が込められているのか、そもそもどのように使うのか、それは普通の人間の理解の範疇を大幅に超越しているわけなのだ。
「さあ、どうぞこの聖剣を引き継ぎ、願わくば、この世界の永き安寧をお祈りくださいますように……」
私は皇帝陛下から正式に聖剣を授かった。そして、正真正銘聖剣を引き継いだのだ。
「続きましては、聖女エライザ様の婚約者選抜式を執り行いたいと存じます……」
そう言って、私の前には第一王子ファンコニー様以外にも複数の男たちが顔をそろえた。みな、似たような風貌で、まあ普通の令嬢たちにしてみれば、誰もが羨むほどの美男子ってことになるのだろうけど、私の婚約者は事実上ファンコニー様と決まっていたのだ。
それぞれの男の紹介が終わった後、私が婚約者を選ぶ形となった。私は当然第一王子ファンコニー様を指名した。すると、ファンコニー様は少し驚いたような様子を見せ、そのまま前に出て来た。そして、私の前に膝まづき、
「一生の喜びを感じております……」
と答えるのだった。その答えを聞いて、私は少しホッとした。いや、前の世界で私は当然ファンコニー様と婚約できるものだと思っていたのだが、世の中に絶対はない。つまり、ファンコニー様の口から私の名前が出てくるまで安心はできなかったのだ。所謂私のライバルになりそうな令嬢は何人かいて、地位だけを考えれば私に及ぶ者なんていなかったが、その容姿であったり、学院時代の成績であったり、諸々を考えれば必ずしも安泰とは言えなかったのだ。
いま、ファンコニー様も同じことを考えていたのかもしれない。私がファンコニー様以外の名前を口走ったとしたら、彼はどうしたのだろうか???潔く諦めただろうか???あるいは????
そんなことを薄っすらと考えながらも、結局式はそのまま終了し、私は正式に聖女と認証され、王宮に入ることとなった。王宮の中で最も格式高いとされる聖女の間に入り、これからは聖女エライザとしての人生が始まる……そう思っていた。
あの前の世界は終わった。そう思っていた。だからこそ、ファンコニー様が私に問いかけた質問が、再び新たな混乱を生むことになったのだった。
「お前、エライザだろ?????」
ええっ??????どういうこと??????
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

腹に彼の子が宿っている? そうですか、ではお幸せに。

四季
恋愛
「わたくしの腹には彼の子が宿っていますの! 貴女はさっさと消えてくださる?」 突然やって来た金髪ロングヘアの女性は私にそんなことを告げた。

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

処理中です...