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第四章 青海の檻
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…ぱんっ
船上のどこかから乾いた、紙風船が弾けるような音が一発響く。その直後に生肉と液体が爆ぜるような音が美優の眼前で鳴る。
美優の口にねじ込まれようとした信者の男の性器が、根元から消失してる。性器が付いてたと思しき部分からは血がどんどん溢れ出し、足元には血だまりが出来始める。その血だまりの中に、かつて男の性器だった肉塊が無造作に転がっている。
狂乱じみた悲鳴を上げる男。その直後にまた数発乾いた音が響き、他に性器を露出していた男達のそれが、次々と爆ぜるように股間から千切れ飛んでいく。
間髪無く起こる男たちの悲鳴の合唱。囚われの生徒たちのパニックはおろか、佐々岡や信者たちも何が起きたのか把握できず、おろおろと狼狽している。美優の両脇を固めてた男達も突然の惨状に驚愕し、思わず手を離し腰を抜かしている。美優がほんの一瞬自由を得たその時、
「走れーーーーーっっっ!!!」
どこかから檄のような力強い声が美優に向かってぶつけられる。
デッキ上の人間全員が虚を突かれた形で、一斉に声の主をキョロキョロ探し出す。
美優、そして短髪の片山がハッと気づいて操舵室上方に視線を向ける。
そこには銃を構えた一人の人物―赤羽隼―が立っていた。顔は良く見えない。キャップを逆に被り口元も布で隠した覆面の目だけが、二人を見据えている。しかしその眼差しは刃の様に鋭く、見るものすべて射貫きそうなほど強い光を放っている。
(……なんだぁ?どこから紛れ込んだネズミだ?! いや、それよりも…!!)
隼の発する殺気に当てられ、片山の全身にふつふつと鳥肌が立っている。
触れば切れる、剃刀のような殺気を当てられたことなど、今まで有るか無いか。片山の中からアドレナリンが一気に溢れ出し、全身が緊張と興奮に満ちてくる。
一方美優は未だ状況に混乱していた。
たった今まで体の自由を奪われ、しかも多くの面前で心身ともに凌辱されそうになってたのだ。それだけでも狂わんばかりの状態だったのに、それが突然目の前の男たちが次々と負傷してのたうち回っている。ほんの数分の中で余りにも色んな出来事が起こり、脳が眼前の事に処理しきれていない。だが
「栗林!ボサッとするなっ!走れぇぇ!!」
隼の鋭い怒号がもう一度船上を飛び、美優は初めてハッとし慌てて駆け出す。極度の緊張で足の筋肉が思う様に動かず、もつれて転びそうになりながらも船室方面の通路へと駆けていく。
美優をもう一度捕まえようとする信者たちが腕を伸ばそうとするが、隼の放つ銃の援護射撃に怯み、慌てて一斉に後ろに下がる。
美優がなんとか連中の手の届かない所まで逃げ切るのと同時に、隼は彼女の向かう先の通路で合流すべく、操舵室屋根上からそのまま大跳躍する。
操舵室から武装した連中が飛び出し、屋根上での騒ぎの主に照準を合わせようとした時には既に隼の姿はそこに無かった。
(続く)
船上のどこかから乾いた、紙風船が弾けるような音が一発響く。その直後に生肉と液体が爆ぜるような音が美優の眼前で鳴る。
美優の口にねじ込まれようとした信者の男の性器が、根元から消失してる。性器が付いてたと思しき部分からは血がどんどん溢れ出し、足元には血だまりが出来始める。その血だまりの中に、かつて男の性器だった肉塊が無造作に転がっている。
狂乱じみた悲鳴を上げる男。その直後にまた数発乾いた音が響き、他に性器を露出していた男達のそれが、次々と爆ぜるように股間から千切れ飛んでいく。
間髪無く起こる男たちの悲鳴の合唱。囚われの生徒たちのパニックはおろか、佐々岡や信者たちも何が起きたのか把握できず、おろおろと狼狽している。美優の両脇を固めてた男達も突然の惨状に驚愕し、思わず手を離し腰を抜かしている。美優がほんの一瞬自由を得たその時、
「走れーーーーーっっっ!!!」
どこかから檄のような力強い声が美優に向かってぶつけられる。
デッキ上の人間全員が虚を突かれた形で、一斉に声の主をキョロキョロ探し出す。
美優、そして短髪の片山がハッと気づいて操舵室上方に視線を向ける。
そこには銃を構えた一人の人物―赤羽隼―が立っていた。顔は良く見えない。キャップを逆に被り口元も布で隠した覆面の目だけが、二人を見据えている。しかしその眼差しは刃の様に鋭く、見るものすべて射貫きそうなほど強い光を放っている。
(……なんだぁ?どこから紛れ込んだネズミだ?! いや、それよりも…!!)
隼の発する殺気に当てられ、片山の全身にふつふつと鳥肌が立っている。
触れば切れる、剃刀のような殺気を当てられたことなど、今まで有るか無いか。片山の中からアドレナリンが一気に溢れ出し、全身が緊張と興奮に満ちてくる。
一方美優は未だ状況に混乱していた。
たった今まで体の自由を奪われ、しかも多くの面前で心身ともに凌辱されそうになってたのだ。それだけでも狂わんばかりの状態だったのに、それが突然目の前の男たちが次々と負傷してのたうち回っている。ほんの数分の中で余りにも色んな出来事が起こり、脳が眼前の事に処理しきれていない。だが
「栗林!ボサッとするなっ!走れぇぇ!!」
隼の鋭い怒号がもう一度船上を飛び、美優は初めてハッとし慌てて駆け出す。極度の緊張で足の筋肉が思う様に動かず、もつれて転びそうになりながらも船室方面の通路へと駆けていく。
美優をもう一度捕まえようとする信者たちが腕を伸ばそうとするが、隼の放つ銃の援護射撃に怯み、慌てて一斉に後ろに下がる。
美優がなんとか連中の手の届かない所まで逃げ切るのと同時に、隼は彼女の向かう先の通路で合流すべく、操舵室屋根上からそのまま大跳躍する。
操舵室から武装した連中が飛び出し、屋根上での騒ぎの主に照準を合わせようとした時には既に隼の姿はそこに無かった。
(続く)
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