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第四章 青海の檻
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* * *
間一髪で教団信者達の公開凌辱から逃れ、必死で船内を逃げる美優。
ほんの数分間の衝撃的な出来事に、思考は未だに混乱している。
ただ一つ言えるのは、先程自分の窮地を救ってくれた覆面の人物の「走れ!」という言葉を体が忠実に実行に移してくれている事だ。
美優は船の船尾方向へ、後ろから「止まれ!撃つぞ!」という怒号にも目もくれず、ひたすら全力で狭い通路を駆ける。
(止まれって言われて素直に止まるバカなんか居ないわよ!このバカ!)
毒づきながら、美優。
やがて後方からパンッ、パンッという乾いた音が響きだす。美優を追ってきた連中が本当に銃撃してきた。
(ちょ!マジ?!)
脅しでなく本当に銃を撃ってきた事に背筋が凍る美優。だがここで逃げるのを止めてしまったら今度こそどんな目に遭うか分からない。遮二無二に走り続ける。
が、前方の曲がり角からも美優を追う別動隊が姿を現し、通路上で美優を挟む形になってしまった。当然後方の連中も銃を構えて近づいてくる。
(うううう! どうしよどうしよどうしよう!!!)
前も後ろも完全に塞がれてる。万事休す、そう思った時、美優の視界上方から黒い影が音も無くスッと舞い降りてきた。と同時に
ダンダンダンダンっ!
激しい銃声がその黒い影から放たれ、通路前方後方から美優を追ってきた輩を見事に撃ち抜く。
余りに一瞬の事で虚を突かれた美優だったが、その黒い影をよく見るとそれはキャップを逆に被り口元をバンダナで覆った、デッキ上で美優を救ってくれた覆面その人だった。
「……ケガはないか?」
「えっ?え、ええっ。無い、です…」
不意に覆面に話しかけられ、戸惑う美優。確かに自分を救ってくれてはいるが、それが何故なのか、そもそも誰なのか得体が知れないおかげで、警戒の色を浮かべたままでいる。…だが。
「……その声?赤羽くん??」
「………」
どこかで聞き覚えのある声に思わず声をかける美優。だが覆面―隼はその問いに答えない。
「…話は後だ。まずは逃げるぞ」
隼が鋭く声を放つと同時に美優の手を半ば強引に取り、再び船尾方向へと走り出す。
「ちょ!イタイイタイ痛いってば!手ぇ無理に引っ張らないで!」
「うるさい黙れ。そして走れ」
喚く美優にピシャリと、隼。問答無用で美優の手を掴んで走り続ける。
隼は美優を連れ再び船尾方向へと走ろうとするが、やはり前方から追手らしき者たちの音が聞こえてくる。当然もがな後ろからも敵は迫っている。
(……どうする?オレの読みが正しければもう少し…)
現状の突破口をどうするかとは別に、もう一つある事を考えていた。
先程船内を探索するときに運悪く鳴ってしまった隼の携帯電話、あの時通話に出る事が出来なかったが、着信が来てからもう既に随分と時間が経とうとしている。ロブがちゃんと機転利かしていればそろそろ…、そう思案する最中、追手たちの足音と喧騒がどんどん大きくなってくる。
(続く)
間一髪で教団信者達の公開凌辱から逃れ、必死で船内を逃げる美優。
ほんの数分間の衝撃的な出来事に、思考は未だに混乱している。
ただ一つ言えるのは、先程自分の窮地を救ってくれた覆面の人物の「走れ!」という言葉を体が忠実に実行に移してくれている事だ。
美優は船の船尾方向へ、後ろから「止まれ!撃つぞ!」という怒号にも目もくれず、ひたすら全力で狭い通路を駆ける。
(止まれって言われて素直に止まるバカなんか居ないわよ!このバカ!)
毒づきながら、美優。
やがて後方からパンッ、パンッという乾いた音が響きだす。美優を追ってきた連中が本当に銃撃してきた。
(ちょ!マジ?!)
脅しでなく本当に銃を撃ってきた事に背筋が凍る美優。だがここで逃げるのを止めてしまったら今度こそどんな目に遭うか分からない。遮二無二に走り続ける。
が、前方の曲がり角からも美優を追う別動隊が姿を現し、通路上で美優を挟む形になってしまった。当然後方の連中も銃を構えて近づいてくる。
(うううう! どうしよどうしよどうしよう!!!)
前も後ろも完全に塞がれてる。万事休す、そう思った時、美優の視界上方から黒い影が音も無くスッと舞い降りてきた。と同時に
ダンダンダンダンっ!
激しい銃声がその黒い影から放たれ、通路前方後方から美優を追ってきた輩を見事に撃ち抜く。
余りに一瞬の事で虚を突かれた美優だったが、その黒い影をよく見るとそれはキャップを逆に被り口元をバンダナで覆った、デッキ上で美優を救ってくれた覆面その人だった。
「……ケガはないか?」
「えっ?え、ええっ。無い、です…」
不意に覆面に話しかけられ、戸惑う美優。確かに自分を救ってくれてはいるが、それが何故なのか、そもそも誰なのか得体が知れないおかげで、警戒の色を浮かべたままでいる。…だが。
「……その声?赤羽くん??」
「………」
どこかで聞き覚えのある声に思わず声をかける美優。だが覆面―隼はその問いに答えない。
「…話は後だ。まずは逃げるぞ」
隼が鋭く声を放つと同時に美優の手を半ば強引に取り、再び船尾方向へと走り出す。
「ちょ!イタイイタイ痛いってば!手ぇ無理に引っ張らないで!」
「うるさい黙れ。そして走れ」
喚く美優にピシャリと、隼。問答無用で美優の手を掴んで走り続ける。
隼は美優を連れ再び船尾方向へと走ろうとするが、やはり前方から追手らしき者たちの音が聞こえてくる。当然もがな後ろからも敵は迫っている。
(……どうする?オレの読みが正しければもう少し…)
現状の突破口をどうするかとは別に、もう一つある事を考えていた。
先程船内を探索するときに運悪く鳴ってしまった隼の携帯電話、あの時通話に出る事が出来なかったが、着信が来てからもう既に随分と時間が経とうとしている。ロブがちゃんと機転利かしていればそろそろ…、そう思案する最中、追手たちの足音と喧騒がどんどん大きくなってくる。
(続く)
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