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第四章 青海の檻
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(くそっ…。どこに潜んでやがる?!)
視界も効かず自分達以外の気配も全く感じられず、焦りだす男たち。
そして不意にリーダーの男の背後でボッという何かが燃え出す音が聞こえ、後ろを振り向くと電子レンジの中にあったアルミホイルの塊がチロチロと火を上げだしている。それでも電子レンジはまだ動いているようだ。
「ちっ!何だってんだ一体…」
そう舌打ちしながら再び前に向きなおすリーダーの男。
だがここでリーダーの脳裏に鋭い光が走る。
厨房という密室。そこに部屋一杯に撒かれた小麦粉の粉。視界が全く効かない程の粉の濃度なので、単純に自分達の目を欺くための目隠しかと思っていた。
勿論それもあるが、小麦粉にはもう一つ特性がある。
小麦粉の粒子は非常に軽くて飛散しやすく、そして可燃性なのである。もし今この厨房でタバコの火でも点けようものなら、あっという間に空気中に漂う小麦粉の粒子に引火し、瞬く間に炎上してしまうだろう。
そして電子レンジはアルミなどの金属を入れて作動させると、電子レンジから発するマイクロ波が金属に反射すると同時に、金属の表面の電子がマイクロ波の振動により激しく動き回り、火花を起こしやすくなる。最悪電子レンジが故障してしまう原因にもなる。そしてアルミホイルは金属である上に燃えやすい性質でもある。
つまり電子レンジの作動は男達の注意を引くための囮ではなく、単純に発火装置の役目だと。
そうなるとネズミどもは宛ども無く逃げ惑っていたのではなく、初めからコレが目的だったのではないか。
つまり、俺達がネズミどもを追い込んだんじゃなく、俺達がネズミどもの狩場に引きずり込まれたのではないか。
…粉塵爆発。
その言葉が脳裏に浮かんだリーダーは体内の血の気が引潮の様に一気に引いていく。
がばと振り向いた先の電子レンジの中は、さっきより激しく火花を散らしアルミが勢い良く燃え、あと数秒でレンジそのものから出火する。
首筋に張り付いていた違和感と不安は一つに結びつき、その先にある絶望へと繋がった。
「……くそったれ」
リーダーが呆然とそしてぼそりと呟いた。
それと同時に電子レンジから勢い良く火が上がり、厨房内に舞う全ての小麦粉の粒子に一斉に燃え移る。火はうねりを伴う業火となり猛烈な速さで、室内の男達全員を飲み込んでいく。 そして室内の空気が熱により一気に膨張して臨界まで膨れ上がり、そして厨房は轟音と共に爆発した。
(続く)
視界も効かず自分達以外の気配も全く感じられず、焦りだす男たち。
そして不意にリーダーの男の背後でボッという何かが燃え出す音が聞こえ、後ろを振り向くと電子レンジの中にあったアルミホイルの塊がチロチロと火を上げだしている。それでも電子レンジはまだ動いているようだ。
「ちっ!何だってんだ一体…」
そう舌打ちしながら再び前に向きなおすリーダーの男。
だがここでリーダーの脳裏に鋭い光が走る。
厨房という密室。そこに部屋一杯に撒かれた小麦粉の粉。視界が全く効かない程の粉の濃度なので、単純に自分達の目を欺くための目隠しかと思っていた。
勿論それもあるが、小麦粉にはもう一つ特性がある。
小麦粉の粒子は非常に軽くて飛散しやすく、そして可燃性なのである。もし今この厨房でタバコの火でも点けようものなら、あっという間に空気中に漂う小麦粉の粒子に引火し、瞬く間に炎上してしまうだろう。
そして電子レンジはアルミなどの金属を入れて作動させると、電子レンジから発するマイクロ波が金属に反射すると同時に、金属の表面の電子がマイクロ波の振動により激しく動き回り、火花を起こしやすくなる。最悪電子レンジが故障してしまう原因にもなる。そしてアルミホイルは金属である上に燃えやすい性質でもある。
つまり電子レンジの作動は男達の注意を引くための囮ではなく、単純に発火装置の役目だと。
そうなるとネズミどもは宛ども無く逃げ惑っていたのではなく、初めからコレが目的だったのではないか。
つまり、俺達がネズミどもを追い込んだんじゃなく、俺達がネズミどもの狩場に引きずり込まれたのではないか。
…粉塵爆発。
その言葉が脳裏に浮かんだリーダーは体内の血の気が引潮の様に一気に引いていく。
がばと振り向いた先の電子レンジの中は、さっきより激しく火花を散らしアルミが勢い良く燃え、あと数秒でレンジそのものから出火する。
首筋に張り付いていた違和感と不安は一つに結びつき、その先にある絶望へと繋がった。
「……くそったれ」
リーダーが呆然とそしてぼそりと呟いた。
それと同時に電子レンジから勢い良く火が上がり、厨房内に舞う全ての小麦粉の粒子に一斉に燃え移る。火はうねりを伴う業火となり猛烈な速さで、室内の男達全員を飲み込んでいく。 そして室内の空気が熱により一気に膨張して臨界まで膨れ上がり、そして厨房は轟音と共に爆発した。
(続く)
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