21 / 58
第三章 晴天のち暗転
01
しおりを挟む――月曜日。
朝日が昇ると共に、街は少しずつ重い瞼を擦り開ける。世の中が最も元気で、最も憂鬱な一日の始まり。
夜の緞帳から明星がゆっくりとその姿を消しながら、空の主役を再び太陽に明け渡すと、世界は新たな産声を上げて今日という日が動き出す。
虫達が土の中からもぞもぞと蠢き出し、鳥は姦しく囀り始め、夜露に濡れた草花は目一杯に朝日を受け止め、その溢れる生命力を全ての生き物に分け与える。
やがて家々の換気扇から朝食や弁当作りの音と香りが流れてくると、いよいよ街が目覚めだす。
玄関から通勤のサラリーマンや登校する学生が次々と吐き出され、外は俄かに活気が出てくる。
そして世の中の歯車が一つ一つカチリと音を立て噛み合いながら、社会が大きいうねりを伴って動き出す。
――学生服に身を包んだ男女が一組、互いに微妙な距離を前後に空けながら、他の通学する生徒たちに混じって歩いてゆく。
長いポニーテールを左右に揺らしながら颯爽と歩くのは美優、そしてその五メートルほど後ろから、黒縁の眼鏡をかけた、どこか野暮ったさの残る少年、赤羽隼が周りの街並みが物珍しいのか気を取られつつ、美優に遅れないように時折小走りになりながら後をついてくる。
土曜日の夜に隼が栗林家に引っ越しの挨拶に来た時の話題の中で、二人が同い年で隼が美優と同じ高校に通うという事を知り、それだったら学校までの道案内を美優がすると云う事で、隼の登校初日は時間を合わせて家を出る約束をしていた。
……普段なら美優も男女関係なく友人と一緒に歩く時は、横に並びながら互いの近況やテレビの話題など他愛のないお喋りに興じているところなのだが、この日ばかりはちょっと事情が変わっていた。
前を歩く美優は、隼が後ろからついて来てるか気にはかけるが、どうにも隼の顔をまともに見る事が出来ない。チラッと横目で一瞬眺めるだけで、目を合わせる事が出来ない。
まともに目を合わせて話そうものなら、昨夜の事が脳裏に浮かんでしまい、羞恥で顔が真っ赤になり言葉が出てこなくなる。それこそ顔から湯気が出るくらいに。
……二人の間に何があったのか。
遡る事十数時間――。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる