帰っては来ない3人

シャン

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技の完成

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カオルを除いた3人は家の中でゴロゴロと過ごしていた。

「カオル大丈夫かなぁ」

ジュンジが心配そうにいう。外からはずっとカオルの掛け声が聞こえていた。

「あまり無茶はしないでしょ。私たちはもう寝ようよ」

マリはそういうと布団に向かった。

「だな」

レンも賛同し、布団に向かった。


「えい! えい! えい!」

カオルは地面に突き刺し続けた。

(なかなかうまくできん…。突き刺すのは少しやめて、素振りでもやるか…)

カオルは気分転換に剣の素振りを始めた。

「えい! えい! えい…えい…ぇぃ…ぇぃ……


カオルは2時間休憩をせずに素振りをし続けたせいか、手にはタコから血がにじみ出ていた。

「あと10回!」

もう一度気合いを入れると数を数えながら素振りを再開した。

「10…9…8…7…6…」

カオルはリズムを乱すことなく力強く振り続けた。

「5…4…3…2…1…0」

カオルはゼロのところで剣を目の前で止められず、地面に刺してしまった。

「お!!!!」

明らかに剣では触れてない地面が斬れている。

(いけるぞ! この調子だ!!!)

カオルは希望が見えて来たが、安心したせいかかなり眠くなっていた。

「今日は切り上げるかな」

カオルは剣をしまい、家へと入った。


次の日早朝、カオルの素振りの声で3人は起きた。

「朝から練習かぁ」

ジュンジは眠い目をこすりながら立った。

「まさか寝てないとかじゃないでしょうねぇ」

マリが心配そうに言った。

「それはないみたいだべよ。布団がめくれてるべ」

レンは指をさして答えた。

「なら良かった…」

マリは安心した。
3人は外に出て、家の裏まで周った。

「すごい穴ぼこだべ」

レンが驚いた。

「あいつどんだけやったんだが…」

ジュンジは苦笑いをした。

「えい!!」

カオルの掛け声とともに振り下ろされた剣は大地を斬り、切り込みから光を放った。

「おおー!」

2人は拍手をした。

「それは地割りではないカオルのオリジナルだべさ」

レンが自分とは違う振り方を見て答えた。

「はい。<大地斬り>です」

「見ての通りね」

カオルのネーミングセンスのなさにマリが少し笑った。

「あとは<エアスラッシュ>だべ。このスキルはただ単に剣を斬り込むだけだ。あとは、感覚をつかんで体に覚えさせるべ」

「わかりました」

この日はハチミツをデカンタ2つ分集める作業があるため、カオルの練習は一度ストップした。








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