鉛の矢を持ったキューピッド~なぜか婚約破棄に巻き込まれる留学生たち~

尾形モモ

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ブタ王子と婚約破棄~誰も不幸にならなかった~

ソラ・アオイロ⑤

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 まぁいいか。今回の件で一番得をしたのは私だし。

 内心でそう呟きながら、私はお茶を啜る。



 重ねて言うがこの国では貴族が側室を持つことは珍しくなく、また、離婚歴のある女性や子連れの女性に対する偏見も存在しない。私の側室はあくまでもお飾りで、数年ほどすれば別の貴族の家に嫁ぐも良し、ジェドに帰るも良し、と全面的に応援してくれる姿勢を見せてくれる。まぁ側室とはいえ王族の一員になれて、ジェドにいる上官たちはご満悦なので私はたぶんこの国に残ることになるだろうけど。

「あぁ、卒業が待ち遠しいですわ。早く愛しのフレデリック様との時間を満喫したいものです。いえ、もちろん今もフレデリック様は私を大切にしてくださいますのよ。先日は……」

 カトリーヌ様の惚気話は、適当に聞き流すことにする。まぁ、誰も不幸にならなかったのだからそれでいいだろう。強引に自分を納得させ、私はお茶菓子に手を伸ばした。



 その後、私は学生時代の成績を買われ側室と同時に女官に任命。宣言通り、フレデリック王子とカトリーヌ様の二人を全力で応援し祖国ジェドからも「異国で自らの道を切り開いた女傑」という大層な評価をいただいた。カトリーヌ様はその後、愛するフレデリック王子と男児と女児を授かったがこの子どもたちの成長には国中の人間が見張った。

 恵まれた容姿。穏やかな性格。圧倒的な戦闘力。知恵。

 人間が望む全てを兼ね揃えたその王子・王女たちはいずれも国の発展に貢献し、その成長を見守った王子とカトリーヌも幸せのうちに生涯を終えることになった。



 そして、これは後から知ったことなのだけれど。

 アルテイシア公爵家出身の人間は全員が美男美女だが、その妻や夫は平凡かそれ以下の容姿を持った人間が多いこと、一途で側室はほとんど作らないが夫婦の間で生まれる子供は両親の良い所だけを引き継いだ神童であることを指摘している。

 これについて研究家は「アルテイシア公爵家の人間は自分の足りないところを補う相手を見つける嗅覚とそれを逃さない愛情深さを持っているのではないか」と論述している……らしい。
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