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エピローグ
カグヤ・ツクヨミ②
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学園の卒業パーティーという晴れやかな日。国中の人が集まる場所で笑われ、馬鹿にされたことがソフィアにはよほど辛かったのだろう。堪らずドレスの裾を掴み、逃げるように走り去っていくのを確認して私はそっと手を挙げる。
「ユラン・ブルー・スターズ王太子。恐れ多くもこの私、カグヤ・ツクヨミに発言をお許しください」
できるだけ低姿勢に、丁寧に言葉を紡ぐ私に王子は上機嫌に発言の許可を与える。完全に有頂天の彼に内心、軽蔑の眼差しを向けつつ私は謙虚な態度を貫きながら言葉を繋ぐ。
「先ほどのソフィア様を国外追放になさるのでしたら、ぜひ我が故郷ジェドによこしていただけないでしょうか。私は今日、学園を卒業したことにより明日には祖国であるジェドへと出発することとなっています。その時にソフィア様も同行させれば、旅慣れしていないソフィア様もすみやかにこの国を出ていくことができます。王太子様の目の届くところから彼女を速やかに追い出すには、十分すぎるほど良い案なのではないでしょうか?」
とにかくへりくだる私をフローラが訝しみ、わずかに顔をしかめる。だがユラン王子の方は満足げに、笑いながら答えた。
「はっはっはっ! なるほどそれは名案だ! ジェドのような小国であればあの醜いソフィアも十分に生きていくことができるだろう!」
いきなり自分の国を「小国」扱いされて、さすがの私もカチンとくる。浮かぶ青筋と湧き上がる苛立ち、それ必死に抑えつつ私はなんとか感謝の言葉を口にした。
そんな失礼極まりないユラン王子がご機嫌なのをいいことに、私は足早に会場を出て走り去ったソフィアを追いかける。
彼女をジェドで引き取る言質はとった、あとはすぐにでも行動を起こさなければ。
ドレスの下で、私はさっさと足を動かした。
「ユラン・ブルー・スターズ王太子。恐れ多くもこの私、カグヤ・ツクヨミに発言をお許しください」
できるだけ低姿勢に、丁寧に言葉を紡ぐ私に王子は上機嫌に発言の許可を与える。完全に有頂天の彼に内心、軽蔑の眼差しを向けつつ私は謙虚な態度を貫きながら言葉を繋ぐ。
「先ほどのソフィア様を国外追放になさるのでしたら、ぜひ我が故郷ジェドによこしていただけないでしょうか。私は今日、学園を卒業したことにより明日には祖国であるジェドへと出発することとなっています。その時にソフィア様も同行させれば、旅慣れしていないソフィア様もすみやかにこの国を出ていくことができます。王太子様の目の届くところから彼女を速やかに追い出すには、十分すぎるほど良い案なのではないでしょうか?」
とにかくへりくだる私をフローラが訝しみ、わずかに顔をしかめる。だがユラン王子の方は満足げに、笑いながら答えた。
「はっはっはっ! なるほどそれは名案だ! ジェドのような小国であればあの醜いソフィアも十分に生きていくことができるだろう!」
いきなり自分の国を「小国」扱いされて、さすがの私もカチンとくる。浮かぶ青筋と湧き上がる苛立ち、それ必死に抑えつつ私はなんとか感謝の言葉を口にした。
そんな失礼極まりないユラン王子がご機嫌なのをいいことに、私は足早に会場を出て走り去ったソフィアを追いかける。
彼女をジェドで引き取る言質はとった、あとはすぐにでも行動を起こさなければ。
ドレスの下で、私はさっさと足を動かした。
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