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エピローグ
カグヤ・ツクヨミ④
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ソフィアは、見た目こそさんざんけなされるが他は全て完璧と言って差し支えない令嬢だ。
特筆すべきはその頭脳。ほとんどの計算を暗算で行えるし、論理的思考や少ない情報からの分析能力にも長けている。その知性の高さはきっと、歴史をも変えるものだろう――私はそう確信していた。
「はっきり言って、この国にあなたのような女性はもったいないです。この国では女性の立場が悪く、頭の良い女性を低評価する考え方がある。でも私の国、ジェドではそんなこと到底考えられません。ですからソフィア様のような方は、ぜひジェドに来てその実力を発揮していただきたいと考えているのです」
――留学生としてこの国に来た私は、この国の女性のあり方に疑問を抱いていた。
男性は女性に色々してくれるが、それは「それだけ男性が優秀である」「それだけのことができるほど金持ちである」といった具合に男性を引き立たせるための行いでしかない。この国の女性は男性にとって自らの地位や権力を引き立たせるための「道具」であり、必要なものは男性を満足させるだけの美しさと跡取りを産むことだけであるという……それどころか、頭の良い女性や強い女性はむしろ生意気で不要であるとすら考えられている。その価値観が、ジェドから来た人間である私にとって理解できないものであった。
「ジェドでは女性も男性と同じように自らを磨き、その力を存分に振るうことが求められています。事実、他国のことを学ぶようにと派遣された留学生は私を含む全員が女性ですし、彼女たちも留学先でそれぞれ優れた能力を持った女性に出会ってきたと報告しています。ですから私も、あなたのような女性がこの国で埋もれてしまうのが惜しい……ですから、私と一緒にジェドへと来てくれませんか?」
それは、私の素直な本心だった。
私が留学生になったのは他国のことを学ぶことで自国の発展に貢献し、ジェドをより良い国にすることだ。
その中で人脈を作ったり、新たな人材の発掘を行うことも重大な任務である。その中で出会ったこのような令嬢を、あんな馬鹿な王子のせいで失うのはあまりにもったいないことだ。ソフィアがジェドに来てくれたら、それは本人だけでなく私やジェドのためにも利点となる……そんなことを考える私の前で、ソフィアは口を開いた。
特筆すべきはその頭脳。ほとんどの計算を暗算で行えるし、論理的思考や少ない情報からの分析能力にも長けている。その知性の高さはきっと、歴史をも変えるものだろう――私はそう確信していた。
「はっきり言って、この国にあなたのような女性はもったいないです。この国では女性の立場が悪く、頭の良い女性を低評価する考え方がある。でも私の国、ジェドではそんなこと到底考えられません。ですからソフィア様のような方は、ぜひジェドに来てその実力を発揮していただきたいと考えているのです」
――留学生としてこの国に来た私は、この国の女性のあり方に疑問を抱いていた。
男性は女性に色々してくれるが、それは「それだけ男性が優秀である」「それだけのことができるほど金持ちである」といった具合に男性を引き立たせるための行いでしかない。この国の女性は男性にとって自らの地位や権力を引き立たせるための「道具」であり、必要なものは男性を満足させるだけの美しさと跡取りを産むことだけであるという……それどころか、頭の良い女性や強い女性はむしろ生意気で不要であるとすら考えられている。その価値観が、ジェドから来た人間である私にとって理解できないものであった。
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