4 / 12
三船祐樹③
しおりを挟む
三船祐樹は、ふとバックミラーに目を向ける。するとそこに蠢く影があった。
最初は何があったのかわからなかった。夜の闇に消えかけた空気の中で、全身真っ黒の恰好をしたライダーが走っている。ご丁寧にバイクそのものも真っ黒にペイントされ、ぱっと見ただけではその姿がわからないほどだ。
「何だ、気持ち悪い」
思わず毒づいた三船祐樹は、減速しわずかに右の方へ車を寄せる。
さっさと追い抜いてしまえ、と考えながらバイクの様子を伺う三船祐樹だったが――そのバイクは追い抜くことなく、三船祐樹の車にぴったりと並走する形を取ってきた。
次の瞬間、「バリン!」と乾いた音が響く。
ぎょっとした三船祐樹が左に目をやれば、こちらに向かって鉄パイプらしきものを振り上げているのが見えた。それを何度も何度も、ガラスに打ち付ける姿を見て三船祐樹は「ひっ」と小さな悲鳴を上げる。
咄嗟に車を右へ動かし、距離をとろうとするがブラックライダーの攻撃の方が早かった。何度目かの殴打の末にガラスが割れると、そこから何かが投げ込まれる。それがどうやら、ペットボトルのようだと気づいた三船祐樹だったが――その「ペットボトルのように見えるもの」は次の瞬間、破裂した。
「っ痛ああああああああああああっっっっっっっっ!」
三船祐樹は絶叫し、そのままアクセルを無茶苦茶に振り込むとそのうち電柱に激突する。車内に飛び散ったのは三船祐樹の真っ赤な血と、たくさんの釘に甘い匂い。
炭酸水に釘を入れ、それを意図的に破裂させれば簡易的な手榴弾もしくはクラスター爆弾になる……そんなことを知る由もなく、ただ呻くことしかできない三船祐樹に全身真っ黒なライダーがバイクを降りて、ゆっくりと歩いてきた。
最初は何があったのかわからなかった。夜の闇に消えかけた空気の中で、全身真っ黒の恰好をしたライダーが走っている。ご丁寧にバイクそのものも真っ黒にペイントされ、ぱっと見ただけではその姿がわからないほどだ。
「何だ、気持ち悪い」
思わず毒づいた三船祐樹は、減速しわずかに右の方へ車を寄せる。
さっさと追い抜いてしまえ、と考えながらバイクの様子を伺う三船祐樹だったが――そのバイクは追い抜くことなく、三船祐樹の車にぴったりと並走する形を取ってきた。
次の瞬間、「バリン!」と乾いた音が響く。
ぎょっとした三船祐樹が左に目をやれば、こちらに向かって鉄パイプらしきものを振り上げているのが見えた。それを何度も何度も、ガラスに打ち付ける姿を見て三船祐樹は「ひっ」と小さな悲鳴を上げる。
咄嗟に車を右へ動かし、距離をとろうとするがブラックライダーの攻撃の方が早かった。何度目かの殴打の末にガラスが割れると、そこから何かが投げ込まれる。それがどうやら、ペットボトルのようだと気づいた三船祐樹だったが――その「ペットボトルのように見えるもの」は次の瞬間、破裂した。
「っ痛ああああああああああああっっっっっっっっ!」
三船祐樹は絶叫し、そのままアクセルを無茶苦茶に振り込むとそのうち電柱に激突する。車内に飛び散ったのは三船祐樹の真っ赤な血と、たくさんの釘に甘い匂い。
炭酸水に釘を入れ、それを意図的に破裂させれば簡易的な手榴弾もしくはクラスター爆弾になる……そんなことを知る由もなく、ただ呻くことしかできない三船祐樹に全身真っ黒なライダーがバイクを降りて、ゆっくりと歩いてきた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)
本野汐梨 Honno Siori
ホラー
あなたの身近にも訪れるかもしれない恐怖を集めました。
全て一話完結ですのでどこから読んでもらっても構いません。
短くて詳しい概要がよくわからないと思われるかもしれません。しかし、その分、なぜ本文の様な恐怖の事象が起こったのか、あなた自身で考えてみてください。
たくさんの短いお話の中から、是非お気に入りの恐怖を見つけてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる