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新たな暮らしと、皇太子の帰還
新たな暮らしと、皇太子の帰還④
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ハイネが床に座り放心していると、ドアが三度ノックされる。
帰国したばかりでもお構いなしに次から次へと舞い込んでくる案件からは、私室に入っても逃げ切る事が出来ないらしい。一度大きくため息を吐き、立ち上がる。
「入れ」
扉を開けて入室してきたのは、ジルを送らせたはずのバシリーだった。戻って来るのが思ったよりも早い。
「ちゃんと送り届けたのか?」
「ええ。屋敷の中に入るまで見届けました」
ジルの様子がどうだったか聞きたくなるが、弱みを見せるのも癪で、窓の外に興味があるフリをする。
「ハイネ様が不在だった時の政情・市場・他国情勢の資料をオイゲンにまとめさせておりましたので、デスクに置いておきます」
「後で読む」
ガサガサとバシリーが紙の束をデスクに置く音が室内に響く。
置き終わったら、さっさと出て行けばいいのに、奴は居座る。苛立ちを露わにして振り返ると、ニンマリした顔が目に入る。目が合うとバシリーは慌てたように真面目くさった表情を取り繕った。この男のこういう所に腹が立つ。
「何だよ?」
「ハイネ様も一人の男なんだなと再認識いたしまして……。感慨にふけっております」
「はぁ!? クビにするぞ!」
デスクの上の文鎮や辞書をバシリーに投げつけて追い出す。変な悲鳴を上げながら出て行くバシリーの姿が扉の向こうに消えてから、ハイネはチェアにグッタリと腰かけ、置いて行った資料を手に取る。市場価格をまとめたものだ。
「たくっ……。なーにが一人の男だ。じゃあ今までは何だと思ってたんだって話だよ」
バシリーへの苛立ちを資料にぶつける様に乱暴に頁を捲る。すると、幾つかの農産物の価格に違和感があり、指を止める。資料はだいたい一か月遅れの数字なのだが、今現在の価格がどうなっているのか気になりだす。
(明日、どうにか宮殿を抜け出して市場に行ってみるか)
変装して一人で行こうかと思ったが、頭の中にプラチナブロンドの髪や春の野原みたいな色合いの瞳、桃色の唇などがチラつき、どうしても会いたくなる。普通あんなに拒絶されたら、二度と会いたくないと思いそうなのに、そう思えない事に頭を抱えた。
◇◇◇
ハイネが帰還した次の日の朝、ジルは中庭でマルゴットと共にペチュニアを鉢に寄せ植えしている。窓から鉢ごと吊るし、道行く人々の目を楽しませようと考えての事だ。
「ジル様、昨日の夜から元気がないですね……」
ボンヤリとパッションピンクの花弁を眺め、動きを止めたジルに、マルゴットが心配そうに声をかけた。
「え!? そうかしら?」
「朝食もあまり食べてませんでしたし。……昨日って確か、ハイネ様が帰還してましたね? もしかして何かされたんじゃ……?」
「ち、違うわ! 何も関係ないのよ!」
ギラリとマルゴットの眼差しが鋭くなったのを見て、ジルは慌てて否定した。マルゴットはまだハイネの事を信用していないようなので、彼を敵と見做さない様に気を遣わなければならない。
「そうですか? ハイネ様用の呪いグッズはいつでも使える様にしてますので、気軽に頼んでくれていいですけど……」
「本当に大丈夫! むしろ、私が引っ叩いたり、蹴っちゃったりしたのよ!」
「わぉ……」
マルゴットはジルを見ながら大きな瞳を輝かせた。良く分からない反応だ。
「そういえば、野ばらの会で小耳に挟んだんですけど、この前ご一緒したバザルから五十km程西の町で、変な事件が相次いでいるみたいです」
「あら……。物騒なのね。どんな事件だったのかしら?」
「旅人が忽然と姿を消すとか」
「それは単に町での用事が済んだから立ち去ったという事ではなくて?」
「宿泊所に荷物が置きっぱなしみたいなので、それは無い気がします……」
祖国に住んでいた時からなのだが、野ばらの会には大小様々な事件が舞い込んでくるらしい。だいたいは領地内等で領主が解決の為に動いてくれなかったり、動いても解決が困難な事だったりする事のようだ。
普通だったら、マルゴットは部外者のジルにこんな事を漏らしたりはしないのだが、六月に訪問したバザル村に近い町だから情報をくれているのかもしれない。
「ジル様! お客様がいらっしゃってます」
中庭に呼びに来たのは、離宮からジルの元に転職してくれた二十代前半の使用人だ。
「今行くわ! マルゴット、また話を聞かせてちょうだい」
「はい! いくらでも」
レモングラスを浮かべた桶の水で手を洗い、エントランスに近付くと、こげ茶色の髪にメガネの少年が立っていた。
(誰かに似ている様な……)
「あの方……、皇太子殿下の様な気がします」
耳元に使用人がボソリと呟いてくれた事で、ジルの背中に嫌な汗が流れだす。
昨日あんな暴行事件を起こしたのに、訪ねに来る意味が分からない。もしかして報復の為なのではなかろうか?
一歩も動けなくなったジルの方を向く少年。ハイネで間違いなかった。庶民の様な白シャツにベスト姿だ。質素な恰好なのに、少しも下品に見えないのが凄い。
「お、おはようございます……」
「おはよう。何でそんな遠くに……。声が聞こえ辛いから近付いてくれないかな?」
確かにこの距離で会話するのは失礼なので、ジルは恐る恐るハイネに近付く。腕一本分離れて立ち止まると反らされる視線。
「良い家を買ったな」
「気に入っておりますわ。えーと、お茶でもしますか?」
「市場に付き合ってほしいんだ。お茶はまたの機会に」
昨日の事等無かったかの様なハイネの誘いに、ジルはどう接していいのか全く分からなくなってしまう。彼は気まずくはないのだろうか? 出掛けて行って会話を続ける自信があるのだろうか?
ジルは普通に接する自信が全くない。
「調査に行きたいんだけど、一人より二人の方が気が付く事が多いだろ? 何も用事がないなら付き合えよ」
何も答えないジルに焦れたのか、ハイネは早口でまくし立てた。
役に立てと言われてしまうと、ハイネに恩があるだけに、協力せざるを得ない気持ちになる。
◇
急いで中庭を片付け、ケープを羽織って外に出ると、ハイネは馬に跨って待っていた。馬は昨日も見た上等の黒毛の子だ。ハイネは庶民に変装しているけど、この馬を見たら誰もハイネを庶民だとは思わないだろう。
というか、二人で乗るつもりなのだろうか? 昨日されそうになった事を思い出すと、密着したくない。
「徒歩で行きませんか?」
「徒歩……?」
「ええ!」
「時間かかるだろ」
「なるべく時間をかけて一緒に歩きたいのですわ!」
ヤケクソ気味に叫ぶ。通じないだろうと思ったが、ハイネは素直に馬を降りたので唖然とする。馬に「ここで待ってろ」と声をかけ、ジルの手をとった。
「手を繋ぐんですの?」
「……また殴られないようにな!!」
「……ぅ!」
昨日の事を思い出し、大人しく手を拘束される事にした。
骨ばって大きな手は、ジルの手とは全く異なっている。
ポツリポツリと会話しながら歩くうちに、二か月半前にどんな感じで接していたのか思い出す。どうしてこの感覚を忘れて怖いと思ったのだろうか? 隣の彼に抵抗が無くなるとするりと謝罪の言葉が出ていた。
「あの……昨日の事。ごめんなさい。突然すぎて、混乱したんです」
「俺もごめん。アンタの姿を見たらキスしたくなって、身体が動いてた……」
前の夫である大公は、結婚式という公式の場でジルとキスしなかった。義務としてもしなかった男がいるのに、ハイネは自分としたいという。その欲求がどこから来るのかといったら、一つしか思いつかない。
「本当に私と……キスしたいんですの?」
「当たり前だろ……。ずっと我慢してる」
ハイネの言葉を聞き、心臓がドキリとする。繋がれた手の平は振り解くのを許さないように、強く握られ、暑くてしょうがない。その熱で顔が赤面するくらいに。
「アンタが、他の男と暮らしてるって聞いて、動揺してた」
誰に聞いたのか分からないが、ハイネが気にしているのは恐らくイグナーツだ。だけどそんな怪しげな関係ではない。
「たぶん、私の父の元従者の事だと思います。新居の引っ越しを手伝ってもらってるんです」
「恋人とかではないのか?」
「違いますわ!」
「なんだ……」
ハイネはホッとした様な笑顔を見せた。彼の年相応の笑顔をずっと見たかったかもしれない。
つられて微笑んでしまう。
帰国したばかりでもお構いなしに次から次へと舞い込んでくる案件からは、私室に入っても逃げ切る事が出来ないらしい。一度大きくため息を吐き、立ち上がる。
「入れ」
扉を開けて入室してきたのは、ジルを送らせたはずのバシリーだった。戻って来るのが思ったよりも早い。
「ちゃんと送り届けたのか?」
「ええ。屋敷の中に入るまで見届けました」
ジルの様子がどうだったか聞きたくなるが、弱みを見せるのも癪で、窓の外に興味があるフリをする。
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ガサガサとバシリーが紙の束をデスクに置く音が室内に響く。
置き終わったら、さっさと出て行けばいいのに、奴は居座る。苛立ちを露わにして振り返ると、ニンマリした顔が目に入る。目が合うとバシリーは慌てたように真面目くさった表情を取り繕った。この男のこういう所に腹が立つ。
「何だよ?」
「ハイネ様も一人の男なんだなと再認識いたしまして……。感慨にふけっております」
「はぁ!? クビにするぞ!」
デスクの上の文鎮や辞書をバシリーに投げつけて追い出す。変な悲鳴を上げながら出て行くバシリーの姿が扉の向こうに消えてから、ハイネはチェアにグッタリと腰かけ、置いて行った資料を手に取る。市場価格をまとめたものだ。
「たくっ……。なーにが一人の男だ。じゃあ今までは何だと思ってたんだって話だよ」
バシリーへの苛立ちを資料にぶつける様に乱暴に頁を捲る。すると、幾つかの農産物の価格に違和感があり、指を止める。資料はだいたい一か月遅れの数字なのだが、今現在の価格がどうなっているのか気になりだす。
(明日、どうにか宮殿を抜け出して市場に行ってみるか)
変装して一人で行こうかと思ったが、頭の中にプラチナブロンドの髪や春の野原みたいな色合いの瞳、桃色の唇などがチラつき、どうしても会いたくなる。普通あんなに拒絶されたら、二度と会いたくないと思いそうなのに、そう思えない事に頭を抱えた。
◇◇◇
ハイネが帰還した次の日の朝、ジルは中庭でマルゴットと共にペチュニアを鉢に寄せ植えしている。窓から鉢ごと吊るし、道行く人々の目を楽しませようと考えての事だ。
「ジル様、昨日の夜から元気がないですね……」
ボンヤリとパッションピンクの花弁を眺め、動きを止めたジルに、マルゴットが心配そうに声をかけた。
「え!? そうかしら?」
「朝食もあまり食べてませんでしたし。……昨日って確か、ハイネ様が帰還してましたね? もしかして何かされたんじゃ……?」
「ち、違うわ! 何も関係ないのよ!」
ギラリとマルゴットの眼差しが鋭くなったのを見て、ジルは慌てて否定した。マルゴットはまだハイネの事を信用していないようなので、彼を敵と見做さない様に気を遣わなければならない。
「そうですか? ハイネ様用の呪いグッズはいつでも使える様にしてますので、気軽に頼んでくれていいですけど……」
「本当に大丈夫! むしろ、私が引っ叩いたり、蹴っちゃったりしたのよ!」
「わぉ……」
マルゴットはジルを見ながら大きな瞳を輝かせた。良く分からない反応だ。
「そういえば、野ばらの会で小耳に挟んだんですけど、この前ご一緒したバザルから五十km程西の町で、変な事件が相次いでいるみたいです」
「あら……。物騒なのね。どんな事件だったのかしら?」
「旅人が忽然と姿を消すとか」
「それは単に町での用事が済んだから立ち去ったという事ではなくて?」
「宿泊所に荷物が置きっぱなしみたいなので、それは無い気がします……」
祖国に住んでいた時からなのだが、野ばらの会には大小様々な事件が舞い込んでくるらしい。だいたいは領地内等で領主が解決の為に動いてくれなかったり、動いても解決が困難な事だったりする事のようだ。
普通だったら、マルゴットは部外者のジルにこんな事を漏らしたりはしないのだが、六月に訪問したバザル村に近い町だから情報をくれているのかもしれない。
「ジル様! お客様がいらっしゃってます」
中庭に呼びに来たのは、離宮からジルの元に転職してくれた二十代前半の使用人だ。
「今行くわ! マルゴット、また話を聞かせてちょうだい」
「はい! いくらでも」
レモングラスを浮かべた桶の水で手を洗い、エントランスに近付くと、こげ茶色の髪にメガネの少年が立っていた。
(誰かに似ている様な……)
「あの方……、皇太子殿下の様な気がします」
耳元に使用人がボソリと呟いてくれた事で、ジルの背中に嫌な汗が流れだす。
昨日あんな暴行事件を起こしたのに、訪ねに来る意味が分からない。もしかして報復の為なのではなかろうか?
一歩も動けなくなったジルの方を向く少年。ハイネで間違いなかった。庶民の様な白シャツにベスト姿だ。質素な恰好なのに、少しも下品に見えないのが凄い。
「お、おはようございます……」
「おはよう。何でそんな遠くに……。声が聞こえ辛いから近付いてくれないかな?」
確かにこの距離で会話するのは失礼なので、ジルは恐る恐るハイネに近付く。腕一本分離れて立ち止まると反らされる視線。
「良い家を買ったな」
「気に入っておりますわ。えーと、お茶でもしますか?」
「市場に付き合ってほしいんだ。お茶はまたの機会に」
昨日の事等無かったかの様なハイネの誘いに、ジルはどう接していいのか全く分からなくなってしまう。彼は気まずくはないのだろうか? 出掛けて行って会話を続ける自信があるのだろうか?
ジルは普通に接する自信が全くない。
「調査に行きたいんだけど、一人より二人の方が気が付く事が多いだろ? 何も用事がないなら付き合えよ」
何も答えないジルに焦れたのか、ハイネは早口でまくし立てた。
役に立てと言われてしまうと、ハイネに恩があるだけに、協力せざるを得ない気持ちになる。
◇
急いで中庭を片付け、ケープを羽織って外に出ると、ハイネは馬に跨って待っていた。馬は昨日も見た上等の黒毛の子だ。ハイネは庶民に変装しているけど、この馬を見たら誰もハイネを庶民だとは思わないだろう。
というか、二人で乗るつもりなのだろうか? 昨日されそうになった事を思い出すと、密着したくない。
「徒歩で行きませんか?」
「徒歩……?」
「ええ!」
「時間かかるだろ」
「なるべく時間をかけて一緒に歩きたいのですわ!」
ヤケクソ気味に叫ぶ。通じないだろうと思ったが、ハイネは素直に馬を降りたので唖然とする。馬に「ここで待ってろ」と声をかけ、ジルの手をとった。
「手を繋ぐんですの?」
「……また殴られないようにな!!」
「……ぅ!」
昨日の事を思い出し、大人しく手を拘束される事にした。
骨ばって大きな手は、ジルの手とは全く異なっている。
ポツリポツリと会話しながら歩くうちに、二か月半前にどんな感じで接していたのか思い出す。どうしてこの感覚を忘れて怖いと思ったのだろうか? 隣の彼に抵抗が無くなるとするりと謝罪の言葉が出ていた。
「あの……昨日の事。ごめんなさい。突然すぎて、混乱したんです」
「俺もごめん。アンタの姿を見たらキスしたくなって、身体が動いてた……」
前の夫である大公は、結婚式という公式の場でジルとキスしなかった。義務としてもしなかった男がいるのに、ハイネは自分としたいという。その欲求がどこから来るのかといったら、一つしか思いつかない。
「本当に私と……キスしたいんですの?」
「当たり前だろ……。ずっと我慢してる」
ハイネの言葉を聞き、心臓がドキリとする。繋がれた手の平は振り解くのを許さないように、強く握られ、暑くてしょうがない。その熱で顔が赤面するくらいに。
「アンタが、他の男と暮らしてるって聞いて、動揺してた」
誰に聞いたのか分からないが、ハイネが気にしているのは恐らくイグナーツだ。だけどそんな怪しげな関係ではない。
「たぶん、私の父の元従者の事だと思います。新居の引っ越しを手伝ってもらってるんです」
「恋人とかではないのか?」
「違いますわ!」
「なんだ……」
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