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ようこそ異世界へ
ようこそ異世界へ②
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目を瞑ったきり、うんともすんとも言わなくなった少年を放置し、マリ達はキャンプカーの中を一通りチェックする。車内は三百万ドル程かけているだけあって高級ホテルのスィートルーム並みに豪華で、機能が充実している。それだけに、異世界の地でまとも動くのか不安だったものの、杞憂だったようだ。キッチンもシャワー&バスルームも、なんの問題も無かった。
とはいえ、キャンプカーで料理をした事の無いマリは、試しに使ってみたいという思いがまさり、軽食を作ってみることにする。
棚や巨大な冷蔵庫を開いてみると、昨日ストロベリーフィールド家の使用人が総出で買い出しに行っただけあって、食材がみっちりと詰まっている。当面は何も買わなくても生きていけそうな感じではある。
熱したお湯に昆布を入れ、出汁を取る間にアワビを塩を使って洗い、殻から外す。出汁の中にニューヨークで炊いてきた白米や薄くスライスしたアワビ、こんぶ茶を入れ、一煮立ちさせたら完成だ。
平行して作っていた卵スープを器に入れ、テーブルに運ぶ。
いつもは自分や両親の分しか作らないが、今回は特別なのでセバスちゃんの分も用意した。
「セバスちゃん! ご飯にしよう」
「おお……お……。まさかマリお嬢様の手料理を味わえる日が来るとは! 異世界にきて初めてテンション上がってます」
「代わりにアンタが後片付けしてね」
「勿論! 勿論!」
「アンタって、実は家事魔法? 使えるの?」
カーナビに表示され、気になっていた事を聞いてみる。セバスちゃんの祖母がこの世界への移転場所を知っていた事から、彼がマリに隠してアレコレ出来たとしても不思議ではない。さっき、白髪の少年の謎の力を目にしただけに、目の前の執事が不審な術を使い出しても驚かないかもしれない。
「家事魔法がどういうものか知りませんけど、私は魔法なんて使えませんよ。そういうマリお嬢様はどうなんですか? 錬金術使えます? 昔のジャパニーズアニメの義手の主人公みたいに」
「私もそんなの使えない。ていうか、錬金術ってどんなものなの?」
「何か薬を作ったりするんじゃないですか??」
「何それ、全然わかんない」
「ですよねぇ……」
取り敢えず腹ごしらえを先にしようと、お粥を口に含むと、昆布茶の出汁の香りと、優しい味わいに自然笑顔になる。
アワビは噛むとコリコリしていて、食感が楽しい。
一昨日からずっとドタバタしていただけに、美味しいアワビ粥を食べて漸く一息つけた様な感覚だ。
テーブルを挟んで、向かい側に座るセバスちゃんも、しきりに「美味しい、美味しい」と呟き、涙までこぼしている。
調理した事に、やり甲斐を感る。
笑顔のマリがスープの器を手に持つと、ドア側から視線を感じた。そちらを向くと、白髪の少年がマリ達の様子を眺めていたようだ。
「まさか、アンタも食べたいの?」
声をかけると、フイッと顔を背けられる。
「……」
「マリ様、アイツに食べさせるんですか?」
さっきの彼の行いを思えば、正直放置したい。だけど、力づくで追い出せない以上、何日もキャンプカーに居座られる事になるだろうけど、このまま彼に何も食べさせなかったら、餓死するんだろうか? 寝覚めが悪くなりそうだ。
「空腹な奴のそばで食事したら、どんなに美味しい料理でも不味く感じるだろうね」
マリはため息を吐き、立ち上がる。キッチンスペースでアワビ粥と卵スープを器に盛って、レンゲをつっこみ、少年から三十センチ程離れた所に置いてやった。
紫色の瞳がマリの顔を写した。面食らっているようだ。
「残さず食べる事!」
マリの命令に、少年はコクリと頷く。
(素直だと、調子狂うな)
「マリお嬢様、優しくなりましたね。三年程前なら私ともどもアイツを放置したでしょう」
「単なる気まぐれだから。それに、出て行ってもらう事はかわりない」
セバスちゃんの煽りに顔を赤くする。慣れない事をして鳥肌が立ちそうなのに、追い討ちをかけないでほしい。
「アンタが後片付けしてる間、私が運転する」
「それはいいんですけど、これからどこに行くんです? 目的地は?」
「取り敢えず大きめな街に行こう。アレックスから連絡が来なくても、情報が集まる所にいたら、アイツを探し出しやすいかもしれないから」
「なるほど、良いと思いますよ」
(それにしてもアレックス、何でさっさとメッセージを送って来ないんだろ? 用がありそうだったのに)
マリに何の働きを期待しているのかは不明だが、それをさっさと終わらせ、アレックスをニューヨークに連れ戻したい。そして婚約を解消し、まともな人と自由に恋愛するのだ!
「でも、大きな街にいけたとしても、そもそも、住人と言葉通じますかね?」
「うー。分かんないけど、アレックスごときが何とか生活してそうだし、通じるんじゃない?」
「ああ、確かにあの人のメッセージは、現地人と意思疎通しないと書けなそうな内容ですよね」
大人しくしているのは、マリの性に合わない。腹も満たされた事だし、行動あるのみだ。
とはいえ、キャンプカーで料理をした事の無いマリは、試しに使ってみたいという思いがまさり、軽食を作ってみることにする。
棚や巨大な冷蔵庫を開いてみると、昨日ストロベリーフィールド家の使用人が総出で買い出しに行っただけあって、食材がみっちりと詰まっている。当面は何も買わなくても生きていけそうな感じではある。
熱したお湯に昆布を入れ、出汁を取る間にアワビを塩を使って洗い、殻から外す。出汁の中にニューヨークで炊いてきた白米や薄くスライスしたアワビ、こんぶ茶を入れ、一煮立ちさせたら完成だ。
平行して作っていた卵スープを器に入れ、テーブルに運ぶ。
いつもは自分や両親の分しか作らないが、今回は特別なのでセバスちゃんの分も用意した。
「セバスちゃん! ご飯にしよう」
「おお……お……。まさかマリお嬢様の手料理を味わえる日が来るとは! 異世界にきて初めてテンション上がってます」
「代わりにアンタが後片付けしてね」
「勿論! 勿論!」
「アンタって、実は家事魔法? 使えるの?」
カーナビに表示され、気になっていた事を聞いてみる。セバスちゃんの祖母がこの世界への移転場所を知っていた事から、彼がマリに隠してアレコレ出来たとしても不思議ではない。さっき、白髪の少年の謎の力を目にしただけに、目の前の執事が不審な術を使い出しても驚かないかもしれない。
「家事魔法がどういうものか知りませんけど、私は魔法なんて使えませんよ。そういうマリお嬢様はどうなんですか? 錬金術使えます? 昔のジャパニーズアニメの義手の主人公みたいに」
「私もそんなの使えない。ていうか、錬金術ってどんなものなの?」
「何か薬を作ったりするんじゃないですか??」
「何それ、全然わかんない」
「ですよねぇ……」
取り敢えず腹ごしらえを先にしようと、お粥を口に含むと、昆布茶の出汁の香りと、優しい味わいに自然笑顔になる。
アワビは噛むとコリコリしていて、食感が楽しい。
一昨日からずっとドタバタしていただけに、美味しいアワビ粥を食べて漸く一息つけた様な感覚だ。
テーブルを挟んで、向かい側に座るセバスちゃんも、しきりに「美味しい、美味しい」と呟き、涙までこぼしている。
調理した事に、やり甲斐を感る。
笑顔のマリがスープの器を手に持つと、ドア側から視線を感じた。そちらを向くと、白髪の少年がマリ達の様子を眺めていたようだ。
「まさか、アンタも食べたいの?」
声をかけると、フイッと顔を背けられる。
「……」
「マリ様、アイツに食べさせるんですか?」
さっきの彼の行いを思えば、正直放置したい。だけど、力づくで追い出せない以上、何日もキャンプカーに居座られる事になるだろうけど、このまま彼に何も食べさせなかったら、餓死するんだろうか? 寝覚めが悪くなりそうだ。
「空腹な奴のそばで食事したら、どんなに美味しい料理でも不味く感じるだろうね」
マリはため息を吐き、立ち上がる。キッチンスペースでアワビ粥と卵スープを器に盛って、レンゲをつっこみ、少年から三十センチ程離れた所に置いてやった。
紫色の瞳がマリの顔を写した。面食らっているようだ。
「残さず食べる事!」
マリの命令に、少年はコクリと頷く。
(素直だと、調子狂うな)
「マリお嬢様、優しくなりましたね。三年程前なら私ともどもアイツを放置したでしょう」
「単なる気まぐれだから。それに、出て行ってもらう事はかわりない」
セバスちゃんの煽りに顔を赤くする。慣れない事をして鳥肌が立ちそうなのに、追い討ちをかけないでほしい。
「アンタが後片付けしてる間、私が運転する」
「それはいいんですけど、これからどこに行くんです? 目的地は?」
「取り敢えず大きめな街に行こう。アレックスから連絡が来なくても、情報が集まる所にいたら、アイツを探し出しやすいかもしれないから」
「なるほど、良いと思いますよ」
(それにしてもアレックス、何でさっさとメッセージを送って来ないんだろ? 用がありそうだったのに)
マリに何の働きを期待しているのかは不明だが、それをさっさと終わらせ、アレックスをニューヨークに連れ戻したい。そして婚約を解消し、まともな人と自由に恋愛するのだ!
「でも、大きな街にいけたとしても、そもそも、住人と言葉通じますかね?」
「うー。分かんないけど、アレックスごときが何とか生活してそうだし、通じるんじゃない?」
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