米国名門令嬢と当代66番目の勇者は異世界でキャンプカー生活をする!~錬金術スキルで異世界を平和へ導く~

だるま 

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勇者もどき追放作戦

勇者もどき追放作戦⑦

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 マリとセバスちゃんは、道行く人々に冒険者ギルドの場所を聞きながら通りを歩く。やっぱり自分達は周囲から浮いてしまっているようで、「どの国から来たのか?」とか、「冒険者か? ジョブは何だ?」等の質問を受けたが、正直に答えてみても理解が得られず、当たり障りの無い回答をしている。立ち話をすること、四人目にして漸く目的の場所にたどり着いた。

 コルルの家の五倍程はあろうかと思われる、レアネー市の中では大きい建物の入り口からは、カタギとは思えない様な屈強な体格の男女や、怪しげなフードを被った者達がゾロゾロと出て来る。そういった者達の視線を余裕綽々に受け、マリ達も冒険者ギルドの中に入った。
 受付カウンターらしき所に立つ、気弱そうな女性に近寄り、話しかける。

「こんにちわ。この国全体の地図を入手するにはどうしたらいい? それと、一、二ヶ月の間に、この国の中で急に情報量が増えた人物の事が知りたいんだけど。名前はアレックス・ワイズ。心当たりある?」

「地図は冒険者として登録していただけたら、無償で発行いたします。ですが、アレックスという人物は残念ながら聞き及んでおりません」

 うぅん、と唸る。都市の雰囲気は中世ヨーロッパの様なので、情報網が発達してないのかもしれない。だけどここで諦めたら、アレックスからの連絡をひたすら待つ事になりかねない。

「ええと……。アレックスは他の世界から来た男なの。そういう人の情報もない?」

 マリの言葉に、周囲に居た者達はざわめいた。

「異世界から来た者!!」

「一ヶ月くらい前、国王様のお抱えの術者が異世界から客人を呼んだと聞いた事がある」

「勇者の事じゃ……?」

「勇者はモンスター1匹倒す事もなく、毎日遊び惚けているらしい!」

 次々に耳に入る情報は思いもよらぬものばかり。マリはセバスちゃんと目を見合わせた。

「これって、アレックスの事?」

「どうでしょう? そもそも勇者は試験体066氏じゃなかったです?」

「分かんなくなって来たなー」

 受付の女性は、マリ達を困惑気味の表情で見る。

「勇者様とお知り合いなのですか?」

「……」

 マリは混乱する。冒険者ギルドに居る者達は、一ヶ月程前にこの世界に呼ばれた者を勇者だと考えているようだ。アレックスが消えた時期的に、その勇者は彼の様な気がしなくもない。だけど、キャンプカーのカーナビの表示は、白髪の少年が勇者であると示していたのだ。カーナビの表示を全面的に信用するのは馬鹿らしいものの、セバスちゃんがハンバーガーを出す奇術を披露した事を考えると、多少の信憑性がある気もしたり……。
 取り敢えず、マリは受付嬢に頷いた。アレックスであろうと、試験体066であろうと、知り合いであるのは間違いないし、全く別の人物なら、勘違いでしたで済ませたらいいだろう。

「たぶんその勇者に呼ばれた。会うにはどうしたらいい?」

「確かにお二方のお召し物、とても縫製がしっかりとしているし、デザインが奇抜ですね……。この世界でその様な物を作れる者は居ない気がします……。えぇと……。そうですね。ウチのギルドマスターと話してみませんか? 私は受付の仕事を受け持っているだけなので、知っている事は限られていますが、彼女の元には大陸中の情報が集まってきます。ちょうどいい事に、今領主様も来てるんです。貴女達も話に加わってみたらどうでしょうか?」

 どうやら、この世界の服に着替えなかったのは正解だったらしい。別の世界から来たという証明になったようなので、マリは満足して頷く。

「いいね。会わせてもらえるかな?」

 目上の者に会ったら、国王に呼ばれたかもしれないアレックスの、情報をより正確に教えてもらえそうだ。「待っていてほしい」と言い、建物の奥に走って行った受付嬢は、すぐに戻って来て、マリ達を案内してくれる。
 彼女はやや頑丈そうなドアをノックし、開いた。

「ギルドマスター、お連れしました」

「有難う」

 部屋に入ると、黒髪で、貫禄ある女性と、金茶色の髪の穏やかな雰囲気の男性が長椅子に向かい合って座っていた。二人ともも、二十代後半から、三十代半ばくらいの外見をしている。耳などは特殊ではないので、マリと同じく普通の人間のようだ。

「やぁ、アタシはこのギルドマスターのシルヴィア。向かいに座っているのは、フレイティア公爵。知っているだろうけど、ここ、フレイティア領の領主様さ」

「初めましてだね。君達の名前を教えてくれる?」

「私はマリ・ストロベリーフィールド。こっちは執事のセバスちゃん。宜しくね」

「へぇ、マリちゃんっていうのか。それに苺畑……。可愛い名前だね」

「よく言われます!」

 自信満々のマリの態度にも、公爵はニコニコ顔を崩さない。それなりに出来た性格のようだ。

「こっちのソファに座ってくれるかな?」

 シルヴィアに促され、マリとセバスちゃんは堅い長椅子に並んで腰掛ける。

「君達、異世界から来たって本当かい?」

「そう。昨日この世界に来たの。私とセバスちゃん。あと頭のおかしい男の三人でね」

「頭のおかしいって……。君達の他にもう一人いるの?」

 公爵は可笑しそうに笑う。

「でももう少しで関わり合いが無くなるから、私達二人だけと考えてもらっていいよ」

「あの人は、男のロマンを選択したんです。同じ男として、うらやm……、尊敬しますね」

「ふむ。君達はたった一日で、充実した冒険が出来たようだな」

「お陰様で!」
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