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プロローグ
「エリザベート、すまない。フィリクス君との婚約は……、解消しなくてはならない」
お父様は、何を言っているのでしょうか。応接室で両親と向き合い、このような戯言を聞かされるなんて、時間の無駄ですわ。
「その代わり、フランクリン・リヒシュタッド王子と婚約が決まった。……国母になれるんだ。その……フランクリン王子には少々問題があるようだが……」
フランクリン王子に、少々問題が?少々どころではありませんが。
「あ……、うちの研究に予算を回してもらえるから、みんなにとってもいいことなんだよ」
それは、お父様にとって利益があるだけですよね?
「公国王妃のカトリーン様たってのお願いなの。このままだと、このリヒシュ公国が……。ね!フィリクス君とも政略結婚だったわけだし」
お母さま、従姉妹のカトリーン様に泣きつかれたのでしょう?フランクリン王子が婚約破棄を夜会でしてしまって、婚約者だった侯爵令嬢が他国へ嫁ぐことになってしまったから!
だったら、その時にお連れになっていたアイシャ・フォーヴァス伯爵令嬢と婚約されたらよろしいのでは?
「アイシャ様は、……ほら、勉学が少し苦手でしょ。国母としては難しいのよ」
知っています。万年最下位で、本当なら退学しなくてはならないところを、お金を積んで卒業できるようになさったのよね。有名なお話しよ。確かに国母になられたら……この公国は成り立たないと思いますけど――。
わたくしとフィリクス様は愛し合っています。
なので、フランクリン王子とは結婚いたしません。
「リヒシュ公国はまだまだ発展途上なの。カトリーン様のためにも……、ね」
納得いきません。そもそも、フィリクス様のリヒタイン侯爵家も了承していませんよね?
「フィリクス様の御父上のユーリウス・リヒタイン宰相様は納得してくださり、サインもいただいた。勿論、わがオーエンツォ家もサインをしなくてはいけない。エリザベート、本当にすまない」
どうして?ユーリウスおじ様がサインを?
「オリヴァー公国王の王命、なんだよ……」
……。
わたくしの目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
わたくしの意見など聞くまでもなく、フィリクス様との婚約は解消されてしまいました。
そう、結婚式は半年後というこの時に。
フィリクス様との婚約は、ユーリウスおじ様がお父様に持ち掛けた縁談でまとまったものです。
フィリクス様が6歳、わたくしが5歳でした。
「初めまして、フィリクス・リヒタインです」
シルバーブロンドのサラサラな髪に、晴れた空色の瞳。恭しく挨拶してくれました。
「初めまして、エリザベート・オーエンツォです」
わたくしはプラチナブロンドの髪に翡翠色の瞳。最近覚えたてのカーテシーを丁寧にして見せた。
「エリザベート嬢。素晴らしいご挨拶、ありがとうございます」
フィリクス様はわたくしに跪き、右手を救い上げ、そっと口づけをしてくれました。
あまりにもスマートに。
柔らかい笑顔を向けていただきました。
一瞬、時間が止まったかのような感覚で、周りのことなど何も見えません。
わたくしは、この瞬間、――恋に落ちてしまいました。
――婚約解消が勝手になされたことを知ったわたくしは、絶望のあまり言葉を発せません。
現実を受け止めることが出来ず、ただ涙を流していることしかできません。
わたくしの未来はどうなるのでしょうか。
フランクリン様と共にこのリヒシュ公国を支えていけるのでしょうか。
フィリクス様と穏やかな日々を過ごす夢は
叶わないのでしょうか――。
※本日より新しいお話の投稿を始めます。
復讐もの、です。
毎日投稿をしたいのですが、難しい日もありそうです。
続けて読んでもらえると嬉しいです。
お父様は、何を言っているのでしょうか。応接室で両親と向き合い、このような戯言を聞かされるなんて、時間の無駄ですわ。
「その代わり、フランクリン・リヒシュタッド王子と婚約が決まった。……国母になれるんだ。その……フランクリン王子には少々問題があるようだが……」
フランクリン王子に、少々問題が?少々どころではありませんが。
「あ……、うちの研究に予算を回してもらえるから、みんなにとってもいいことなんだよ」
それは、お父様にとって利益があるだけですよね?
「公国王妃のカトリーン様たってのお願いなの。このままだと、このリヒシュ公国が……。ね!フィリクス君とも政略結婚だったわけだし」
お母さま、従姉妹のカトリーン様に泣きつかれたのでしょう?フランクリン王子が婚約破棄を夜会でしてしまって、婚約者だった侯爵令嬢が他国へ嫁ぐことになってしまったから!
だったら、その時にお連れになっていたアイシャ・フォーヴァス伯爵令嬢と婚約されたらよろしいのでは?
「アイシャ様は、……ほら、勉学が少し苦手でしょ。国母としては難しいのよ」
知っています。万年最下位で、本当なら退学しなくてはならないところを、お金を積んで卒業できるようになさったのよね。有名なお話しよ。確かに国母になられたら……この公国は成り立たないと思いますけど――。
わたくしとフィリクス様は愛し合っています。
なので、フランクリン王子とは結婚いたしません。
「リヒシュ公国はまだまだ発展途上なの。カトリーン様のためにも……、ね」
納得いきません。そもそも、フィリクス様のリヒタイン侯爵家も了承していませんよね?
「フィリクス様の御父上のユーリウス・リヒタイン宰相様は納得してくださり、サインもいただいた。勿論、わがオーエンツォ家もサインをしなくてはいけない。エリザベート、本当にすまない」
どうして?ユーリウスおじ様がサインを?
「オリヴァー公国王の王命、なんだよ……」
……。
わたくしの目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
わたくしの意見など聞くまでもなく、フィリクス様との婚約は解消されてしまいました。
そう、結婚式は半年後というこの時に。
フィリクス様との婚約は、ユーリウスおじ様がお父様に持ち掛けた縁談でまとまったものです。
フィリクス様が6歳、わたくしが5歳でした。
「初めまして、フィリクス・リヒタインです」
シルバーブロンドのサラサラな髪に、晴れた空色の瞳。恭しく挨拶してくれました。
「初めまして、エリザベート・オーエンツォです」
わたくしはプラチナブロンドの髪に翡翠色の瞳。最近覚えたてのカーテシーを丁寧にして見せた。
「エリザベート嬢。素晴らしいご挨拶、ありがとうございます」
フィリクス様はわたくしに跪き、右手を救い上げ、そっと口づけをしてくれました。
あまりにもスマートに。
柔らかい笑顔を向けていただきました。
一瞬、時間が止まったかのような感覚で、周りのことなど何も見えません。
わたくしは、この瞬間、――恋に落ちてしまいました。
――婚約解消が勝手になされたことを知ったわたくしは、絶望のあまり言葉を発せません。
現実を受け止めることが出来ず、ただ涙を流していることしかできません。
わたくしの未来はどうなるのでしょうか。
フランクリン様と共にこのリヒシュ公国を支えていけるのでしょうか。
フィリクス様と穏やかな日々を過ごす夢は
叶わないのでしょうか――。
※本日より新しいお話の投稿を始めます。
復讐もの、です。
毎日投稿をしたいのですが、難しい日もありそうです。
続けて読んでもらえると嬉しいです。
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