ここは魔王学園 幻術学科〜虚言を操る少女、学園を無双〜

夢音まろん

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第4話 幻術科の闇試験

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魔獣アタックの舞台に足を踏み入れると、空気が一変した。

「これが試練の舞台か」
ミラは息を吸い、手に魔力を集中させる。

「まずは観察!」
アレンの声が後ろから届く。
「落ち着いて、動きをよく見ろ」

黒い影が廊下の奥からうごめく。魔獣だ。

これまで触れたことのない魔力の波動が伝わる。

「まずは幻術の壁で」
ミラが指先をかざすと、空間にうっすらと透明な結界が現れ、魔獣の進行を妨げた。
魔獣は一瞬立ち止まり、低く唸る。

「いいぞ!」
アレンが笑う。
「初日からここまで制御できるとは」

しかし、試練はまだ始まったばかりだった。
奥からもう一体、異なる形の魔獣が現れた。
黒い鱗に覆われ先ほどの魔獣よりも一回り大きく、威圧感がある

「こんな魔獣も!?」
ミラの胸が高鳴る。
「私は、もう振り回されない・・・」
ミラは集中する。

魔獣は次々に攻撃を仕掛けてくる。
火の玉、鋭い爪、地面を揺るがす衝撃波。
ミラは一つずつ幻術で動きを封じる。
「なるほど、攻撃にはパターンがある」

アレンが声を潜めて囁いた。
「見ろ、焦るな。魔獣は力だけじゃなく、心理も読んでくる」

ミラは魔獣の動きを観察しながら弱点を探る。
その瞬間、微かに黒光りした関節に隙間を見つけた。
「ここ!」
指先の魔力を集中し、幻術の矢を放つと、魔獣は唸り声を上げながら後退した。

「やった!」
アレンの笑顔が一瞬見えた。
「よし、初日からここまでやるとは」

でも、喜びに浸る暇はなかった。
遠くでさらに大きな鐘が鳴る。
「次の試練・・・・」
ミラは息を整えて、心の奥で決意を固める。
「ここで私の力を証明する!」

背後から、誰かが小さくつぶやいた。
「あの転入生、本物かもしれない」

迷宮のように入り組んだ廊下の奥、ミラの新たな戦いが始まった。
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