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ろく
しおりを挟む「なんて事なの?ここは?どこ?」
私は目の前にいる動物を見ながら呟く。
先程まで私はホールにいたはず。
夢のはずがない。
だって、私の服を見れば分かるーーー煌びやかなドレスだもの。
お父様にいただいたドレスにアクセサリー。
そして、エドワード様から幼少期にいただいたペンダント。
私は、一体聖女マリアに何をされたの?
膨大な魔力をこの体が受けたのは感じた。
「どうしましょう…この服だと動きづらいし…ああ、こういう時アランがいてくれたら。」
「お呼びですか?お嬢様」
「アランがいてくれたら服とか出してもらえたのに。残念だわ、本当に。」
「洋服ですか?それでは乗馬する時の騎士の服でいいですかね?」
……私はとりあえずゆっくり振り返る。
すると、そこには「はい、ありましたよ~ルミナスお嬢様~」と言って私に動きやすい服装を渡してきた。
おかしいわ。私だけだと思っていたのに。
「…ねえ、しれっといるけれど何故お前がいるの?」
「あれ?気付いてなかったんですか?てっきり気付いてるものだと。」
アランはなんて事もなくそう言い、顎に手を当てそうですねぇと言い事の経緯を話し始めた。
まず、聖女マリアは膨大な魔力を使い私を異界へと追放した。
エドワード様と精霊が助けようとしたが間に合わず、たまたま近くに控えていたアランが駆け寄り私の腕を掴んだ瞬間一緒に飛ばされた。
という事らしい。
「なるほど、じゃあアランは巻き込まれたのね。」
「そういうことになりますね。
ーーーまあ、都合いいですけど。」
「異界だなんて困ったわ…ん?アラン何か言った?」
「いいえ、なにも。お嬢様着替えまだです?手伝いましょうか?」
「いらないです!!!もう終わるから待ってて!!!!ハウスよ!アラン!」
私は茂みで必死に着替えながらアランそう声を掛ける。
困った執事だ。確かにいつもは侍女が手伝ってくれるが、一人で着替えられないというわけではない。
私はようやく着終わり、ドレスとアクセサリーをアランに渡す。
アランはそれを空間魔法を使い、ポイッと収納した。
「まあ、一人より2人の方がいいでしょう。まずはこの世界のことを知る必要があります。」
そう真剣な表情でいうアラン。
そうね、聖女マリアが恨み込めて送った世界だもの。もしかしたら、魔物がたくさんいたり、変な魔法を使う集団いたりするかもしれない。
油断は出来ない。かと言ってじっとしていられない。
「そこでまずは、」
「ま、まずは?」
「あそこにある家にいる人にいろいろ聞きましょう~」
急にコロっと表情変えたアランに、私は肩の力が抜けた。アランはそんな私を見てバカにしたように笑った。
「アッハッハー!まさか何も考えなしに草原を駆け抜けるなんてことしませんよぉ~!まずは知ることが先ですし、え、まさか…お嬢様はこの草原を駆け抜けるおつもりで…?」
「そんなわけないでしょ!いいから行きますよ!!」
いや、その通りです。なんて言えない私はとりあえず顔を下に向けアランの背中をぐいぐいと押した。
本当に人をからかうのが相変わらず好きな執事だ。
しかし、同時に私は安心もした。
知らない世界でただ1人生きていくのは無理だ。私は耐えられず、または何も出来ず野垂れ死んでいただろう。
まあ、贅沢を言えばエドワード様か精霊だったらとは思うけど。
「あ、そうだ。この世界での呼び方どうしましょうか?」
「え?ルミナスではダメなの?」
「はあ、やれやれ、これだから箱入りお嬢様は。お勉強なさってるはずでしょう?」
「…なるほどね、そういう事。そもそも家名があるのは貴族のみ。ルミナスなんて珍しい名前目立つものね。…そうね、私はこの世界ではルナと名乗るわ。」
私はボケた頭をフル回転させ、アランの言葉を理解する。
アランはさすがお嬢様と笑い、そして「私はアランと名乗ります。別に珍しくもなんともありませんしね。」と言った。
しかし、私たちの関係がお嬢様と執事では難しいため、血の繋がりがない兄妹という設定にする事にした。
まあ、貴族の家では当たり前だし、平民になったとしてもそういうことがあると知識では知っている。
それに伴い、私はアランをアランと呼び、アランは私をルナと呼ぶこととなった。
アランは無礼を働き申し訳ありませんと頭を下げた。
「アラン、仕方ない事よ。まずはこの世界で生き抜き、元の世界へ帰れる方法を探すことが優先。」
「そうですね、まずは生き抜く事。ですがたくさんの無礼を働くことを先にお詫びします。
そして、ルナ。これからよろしくお願いしますね。」
「ええ、よろしくお願いしますアラン。」
こうして、私たちは兄弟の仮面を被り、一軒の家へと足を進めた。
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