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さんじゅうろく
しおりを挟む暖かい日差し、賑わう人たち、美味しい果物に冷たい飲み物。そして何より潮の風がして、海という大きな生命が目の前に広がっていた。
ああ、素敵。
「じゃないでしょう!!!!!」
「わっルゥ?」
「おねーちゃん?」
「ご乱心か、ルナよ!」
私が急に叫んだことで、各々戸惑いの声を上げる、3人。
でも一つ言いたい。
「ここはどこよ!!!!」
どう見ても、南の街じゃないでしょう?!
「まあまあ、おねーちゃん!まおちゃんも間違えちゃったんだよ!怒らないで!」
「そうだぞ!ごく稀にこういう誤作動もあるし、魔の森はただでさえ、いろんな気が流れてるからもはや運なんだ!」
シュンと肩を下げて萎れているルシファーをジトっとにらめば、ヘレスとアークがフォローに入る。
そうね、確かに魔の森は色んな気が流れて魔法陣を発動しにくいとアラン聞いたことがある。それは事実なんでしょう。
「だったら、魔の森に出てからやればよかったのでは?自分の力過信したばかりに…あり得ません。ここは、ここは、リゾート地ではないか!!!」
わっと叫べばそばにいた鳥が驚きバタバタと羽ばたいていく。
そうここは、エステレラ王国の港近くに存在する唯一の他国の出入りが許される場所。
この場所では身分も職も人種も関係なく、皆が楽しそうに過ごす場と父様に教えられた。
流石に王族は来ないようだけれど。
「まあ、来てしまったのは仕方ないです。」
「そうそう!ヘレスあの飲み物飲みたい!!あとねあとねーあれ食べたい!」
「まあ少し観光してる間に転移魔法を使うだけの魔力も溜まりますし、ヘレス、行こうか」
「はーい!おねーちゃん!!」
にこにこ嬉しそうなヘレスと少し怒りながらも、この場に来れたのが嬉しいルナは仲良く屋台の方へ向かう。
残ったのはアークと魔王ルシファー。
「それで、いつまでそんな風にしてるおつもりですか」
「うーん、本当に君の目はごまかせないなぁ。潰してもいい?」
「目が見えなくとも真実は見抜けますよ。私を殺しますか?」
「君はルナの前と僕の前とじゃ随分態度が違うなぁ…流石、国の狗といったところか?」
狗ーーーーそういった瞬間、アークの殺気がルシファーに向けられる。
それでもルシファーはにこやかに笑っていた。魔王故にアークの殺気ぐらいではなんとも思わない。
「…それは、宣戦布告ということか?」
「ふふふ、君じゃ僕には勝てないけどね。でもやめとこう。かわいいルゥが悲しむからね。」
「ルナ…魔王ルシファーともあろうものが人間の娘に夢中なのか、それこそ人間の下僕になったーーー」
アークは次の言葉を言えなかった。
何故ならルシファーに魔術で身動きできないようにされたからだ。
ルシファーは銀色の瞳を鋭くさせながら、アークの喉を強く魔術で抑える。
「黙れ。僕が人間如きに首を垂れることも手なづけられるこもない。僕のかわいいルゥだけに決まっている。それ以上何か言ってみろーーーー殺すぞ、人間。」
「…ッすが、まお、う…!」
ルシファーの殺気を受けながらアークは怯むことも泣くこともせず、ただその恐ろしい瞳を見返し挑発するように笑った。
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