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ごじゅうに
しおりを挟む「ねえ、リアさん、普段は何してるの?」
「私は森で採取してそれを売ったりあとはカフェで働いてるわ」
「カフェ?!すごい!紅茶を入れるの?」
私が食い気味に聞けば、リアは笑いながらそうよと言った。
そんな彼女は私にお茶の葉がたくさん入った瓶を見せてくれた。
何十種類もある瓶に釘付けになる。
色も様々なのはもちろん、葉の形もそれぞれ違うので見ていて飽きない。
「良かったら入れようか?」
「いいの?!じゃあ、なんか美味しいのがいいな~!お菓子に合いそうな!」
「お菓子ね、はいはい~今出すわね」
なんとなく、姉がいたらこんな風なのかと思った。私は長女で家を継ぐと決まっていた。もちろん、弟や妹は可愛いし、お父様やお母様は優しく、私のことを思いやってくれる。
婚約者のエドワード様も優しく、温かいし甘やかしてくれる。
だが、もし、自分が次女であったならばどんな風になったのだろうとは考えた事はある。もしかしたら、父のように騎士なれたかもしれない。もっと自由に生きれたかもしれないと、何度かそう考えたが、今の生き方や立場が嫌いなわけではないし不幸だとも思っていないので、本当にただの憧れである。
だから、こうしてリアが自分のためにお茶を入れてくれる姿が新鮮で、何より年が近いというのが姉を想像させた。
「なに考えてるの?ほらお茶と砂糖菓子よ。口に合うか分からないけど。」
「わあ!凄く美味しそう!ありがとう、リアさん。」
本当に、優しく、本当にいい人なのに、どうしてかな。涙が出そうになる。
「ねえ、リアさん。」
「なあに、ルナ」
「これは、なに?」
「疲れが取れるお茶と砂糖菓子よ。なに?砂糖菓子は嫌いだった?でも、お茶が甘さ控えめだから、ちょうどいいはず。」
そう言って目を伏せるリア。
私はその表情を見て、口にお茶を含もうーーーーーと、して辞めた。
カチャリとカップの音が部屋に響く。
「…リアさん。私がそんなに憎いですか?」
「なんの話?私は普通のお茶を、」
「毒入りのお茶が普通のお茶なんですか?」
リアの言葉にかぶせるようにそう言った。
リアは私の言葉に目を開いて、驚いていたがすぐに目を細め「いつから、気付いてたの」と声を低くした。
私は、お茶の中の写る自分を一瞥し、リアの顔を見る。
「転んだ時に、ルシファーの魔力を感じたあたりから。なんとなく。」
「やっぱり、あの時か。」
うまくいくと思ったのに、と憎々しげにいうリアは、まるで、そうあの時の聖女の顔にそっくりだった。
私は咄嗟に防御魔法を展開しようとするが、その前にリアが腕を振りかざすのが先だった。
攻撃が来ると思い、目を強く瞑り衝撃に備えたーーーが、一向にこない。
恐る恐る目を開けば、そこには一生懸命私に強力魔法をぶつけようとしてはその魔法が消えていくのを繰り返してるリアがいた。
その表情は苦しそうで、戸惑いの色が浮かんでいた。
私も最初は戸惑っていたが、あることを思い出した。リヒトの加護だ。
私はリヒトの加護ーー何者からの攻撃を絶対に受けないというのが私にはある。
つまりは、リアの攻撃は私に永遠に当たらないのだ。どんなに強力な魔法だったとしても。
「なんでッ!!!お前なんか消えろッ!私が、私がエドワードと結婚するんだッ!!そういうストーリーでしょう!?!」
リアーー聖女マリアは、綺麗な黒髪を乱しながら私にあらゆる攻撃をする。
その姿は、聖女というより魔女のようだった。私はその姿が怖くもあり、哀れとも思ってしまった。
なぜ、エドワード様がいいのかしら。
国王候補だから?容姿が端麗だから?頭が良くて剣術にも秀でてるから?
私は気づいたらマリアにこう問うていた。
「あなたは何になりたいの?」
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