2 / 13
ゆきちとお母さん
しおりを挟む
人生おじさんの本当の名前は、『ゆきち』と言いました。
これは、ゆきちが、小学校に入る前くらいの小さな頃のお話しになります。
ゆきちは、お母さんと手を繋ぎながら、公園を散歩をするのが大好きでした。お母さんもゆきちと公園のお花を見ながら散歩するのが、何よりも楽しみでした。
そして、お母さんは、公園の一番奥に咲いている、花びらを5枚つけた真っ赤な花が何よりも大好きでした。どの花よりも茎が真っ直ぐで、凛とした姿を気に入っていました。
暑い日が続くある日、急にお母さんの体調が悪くなり、家から少し離れた場所の診療所に入院する事になりました。
ゆきちは、1人では、お見舞いには行けませんでした。そして、入院から何日か経ち、お母さんの体調が落ち着いたので、ゆきちはお父さんと一緒にお見舞いに行けることになりました。
お母さんがいる診療所は、いつも行く公園を越えたところに有りました。
診療所に着くとゆきちは、病室に走り込み、お母さんの顔を見たら嬉しくなりました。お母さんもゆきちが入ってきた事に気がつき、笑顔になりました。
「お母さん…」
「ちゃん良い子にしてた…」
「うん…」
お母さんに抱きついたら、いつものように甘い匂いがしました。そして、お母さんとおしゃべりをしました。
ゆきちは、お母さんのお顔をもう一度、よく見ました。なぜかほっぺたが、ぺちゃんこで、いつもより白く見え、ちょっと元気が無いように思えました。
「お母さんちょっと待っててね…」
「ゆきち…どこに行くの…」
ゆきちは、急に病室を出て、診療所から出て、隣にあるお母さんと散歩する公園へ行きました。そして、公園の奥の方まで行きました。
「これだ…」
何かをつかんで、それを持って、診療所に向かって、また走りました。
「はあ、はあ、もう少しだ…」
診療所の入り口が見えました。お母さんの病室まで、階段もかけ上がりました。
「はあ…はあ…お母さんこれ…」
「何…ゆきち…」
公園から持ってきた物をお母さんの前に差し出しました。お母さんは困った顔になり、涙をポロリと流したので、ゆきちはびっくりしてしまいました。
お母さんはゆきちの頭を撫でながら言いました。
「ゆきち、ありがとうね…でもね…ゆきち、お花を見てごらん…」
「あっ…」
「そうね…」
「ごめんなさい…」
ゆきちは、ちぎってきたお花を見ました。お花は、ゆきちが力一杯握っていたので、茎がクネクネして、花びらもおじきをして元気がありません。
「ゆきち…お花はね、生まれた場所で花を咲かせ、そこで一生を終えるのよ…だから、綺麗なお花を咲かせるの…」
「うん…」
ゆきちも自分のしたことを気がつき、泣きはじめてしまいました。
「ゆきち、どんなことがあっても、一生懸命に生きなさい…」
「えーん、えーん…うん…」
お母さんは優しくゆきちを抱きしめました。ゆきちは、ポロリと思ったことが、口からこぼれました。
「お母さん、早く帰って来て…」
「そうね…おりこうにして、待っててね…」
それから何日か経った雨の日の夜、お母さんは、安らかなお顔で、天国に行きました。
そのあと、ゆきちの元へ、何も話さないお母さんが、帰ってきました。
「お母さん…」
「…」
それが、ゆきちにとって、初めて最愛な人を失くした時でした。
これは、ゆきちが、小学校に入る前くらいの小さな頃のお話しになります。
ゆきちは、お母さんと手を繋ぎながら、公園を散歩をするのが大好きでした。お母さんもゆきちと公園のお花を見ながら散歩するのが、何よりも楽しみでした。
そして、お母さんは、公園の一番奥に咲いている、花びらを5枚つけた真っ赤な花が何よりも大好きでした。どの花よりも茎が真っ直ぐで、凛とした姿を気に入っていました。
暑い日が続くある日、急にお母さんの体調が悪くなり、家から少し離れた場所の診療所に入院する事になりました。
ゆきちは、1人では、お見舞いには行けませんでした。そして、入院から何日か経ち、お母さんの体調が落ち着いたので、ゆきちはお父さんと一緒にお見舞いに行けることになりました。
お母さんがいる診療所は、いつも行く公園を越えたところに有りました。
診療所に着くとゆきちは、病室に走り込み、お母さんの顔を見たら嬉しくなりました。お母さんもゆきちが入ってきた事に気がつき、笑顔になりました。
「お母さん…」
「ちゃん良い子にしてた…」
「うん…」
お母さんに抱きついたら、いつものように甘い匂いがしました。そして、お母さんとおしゃべりをしました。
ゆきちは、お母さんのお顔をもう一度、よく見ました。なぜかほっぺたが、ぺちゃんこで、いつもより白く見え、ちょっと元気が無いように思えました。
「お母さんちょっと待っててね…」
「ゆきち…どこに行くの…」
ゆきちは、急に病室を出て、診療所から出て、隣にあるお母さんと散歩する公園へ行きました。そして、公園の奥の方まで行きました。
「これだ…」
何かをつかんで、それを持って、診療所に向かって、また走りました。
「はあ、はあ、もう少しだ…」
診療所の入り口が見えました。お母さんの病室まで、階段もかけ上がりました。
「はあ…はあ…お母さんこれ…」
「何…ゆきち…」
公園から持ってきた物をお母さんの前に差し出しました。お母さんは困った顔になり、涙をポロリと流したので、ゆきちはびっくりしてしまいました。
お母さんはゆきちの頭を撫でながら言いました。
「ゆきち、ありがとうね…でもね…ゆきち、お花を見てごらん…」
「あっ…」
「そうね…」
「ごめんなさい…」
ゆきちは、ちぎってきたお花を見ました。お花は、ゆきちが力一杯握っていたので、茎がクネクネして、花びらもおじきをして元気がありません。
「ゆきち…お花はね、生まれた場所で花を咲かせ、そこで一生を終えるのよ…だから、綺麗なお花を咲かせるの…」
「うん…」
ゆきちも自分のしたことを気がつき、泣きはじめてしまいました。
「ゆきち、どんなことがあっても、一生懸命に生きなさい…」
「えーん、えーん…うん…」
お母さんは優しくゆきちを抱きしめました。ゆきちは、ポロリと思ったことが、口からこぼれました。
「お母さん、早く帰って来て…」
「そうね…おりこうにして、待っててね…」
それから何日か経った雨の日の夜、お母さんは、安らかなお顔で、天国に行きました。
そのあと、ゆきちの元へ、何も話さないお母さんが、帰ってきました。
「お母さん…」
「…」
それが、ゆきちにとって、初めて最愛な人を失くした時でした。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる