人生おじさんと赤い花

魚口ホワホワ

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お父さんと森林巡回

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 雨が、しとしとと降り続ける日が続きました。ゆきちのお父さんは、山には行かず、毎日、役所の中で、仕事をしていました。

 そんなある日、仕事から帰って来て、夕ごはんを食べている時にお父さんは、ゆきちに言いました。

「明日は、一旦雨がやみそうだから、役所の人達と朝から山に行ってくる…先に出るから戸締まり頼んだぞ…」
「わかった、お父さん気をつけてね」

 翌日、ゆきちが起きた時には、お父さんは出掛けた後で、台所のテーブルの上には、朝ごはんの目玉焼きとハムとパンがメモと一緒に置いてありました。

『おはよう、ゆきち、先に出るので、テーブルの上の物を温めて食べなさい。出る時、戸締まり頼んだぞ』

 お父さんが、用意してくれた朝ごはんを温めて、食べ終わるとお皿を洗い、学校に行く準備をしました。家を出ようと玄関で靴を履いていると靴箱の上にお父さんのカメラを見つけました。

「あれ、お父さんカメラを忘れてら…慌てて出ってたのかな?」

 ゆきちは、指差し確認しながら、ひとつひとつ戸締まりしてから、家を出ました。学校にはいつもの時間に着きました。

 教室に入ると友達に挨拶して、自分の机に座りました。

「おはよう…」
「ゆきち、おはよう…」

 2時間目の英語の授業の時でした。何か遠くの方でサイレンがなっているのが、聞こえてきました。そして、急に教室の扉が開き、教頭先生が、クラスに顔を出し、ぼくを呼びました。

「ゆきちくん、ちょっと来なさい」
「えっ!?、はい…」

 教頭先生は、ぼくを校長室に連れて行き、中に入ると校長先生と担任の先生が難しい顔をしていました。校長先生が、ごくりとつばを飲み込み、口を開きました。

「ゆきちくん、落ち着いて聞きなさい…さっき山で大規模な土砂崩れがおきました…」
「えっ?、」
「君のお父さんが、巻き込まれたようだ…」
「お父さんが…大丈夫なんですか?…」
「今、警察や消防団が探している…ここで連絡を待ちなさい」
「お父さん…」

 ゆきちは突然の事でビックリしたと同時に悲しくなり、涙が溢れ出しました。

「先生、お父さん…大丈夫ですよね…」
「うっ…、みんな一生懸命探しているから、連絡を待ちましょう…」

 その日は、夕方まで校長室で連絡を待ちました。土砂崩れの現場から、何回か連絡が入りましたが、その中にはお父さんを発見した情報はありませんでした。
 
 それから2日経ち、お父さんと森林巡回していたという人の遺体が、発見されたとの連絡がありました。

 その後、お父さんが見つかったという連絡は、とうとうありませんでした。そして捜索は終了されてました。

 遺体発見出来なかった人達も、合同のお葬式が執り行い、ゆきちも参列し、お父さんとお別れしました。

 また、ゆきちの前から、大切な人がいなくなりました。
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