結婚…してみるかな

魚口ホワホワ

文字の大きさ
1 / 11

幸せな家庭

しおりを挟む
 俺は、山田智輝(やまだともき)今度の誕生日で29歳になる。
 社会人になってから彼女も持たず、1人で気楽に独身を楽しんでいたが、ある日、急に『結婚』の2文字が頭の片隅に浮かぶようになった。

 それは、高校の時の同級生が20代前半で結婚して、もう三歳くらいの娘がいることを知ってからだ。

 その同級生は、特に親しい訳でもなく、クラスも別で、何回か話したことのある顔見知り程度の友達で、高校の時も特に浮いた話も聞いた事がなく、顔も普通で恋愛とは無縁だと勝手に思っていた。

 俺は、イケメンまではいかないが、まあまあ清潔感のあるすっきりした顔立ちで、そこそこ可愛い同級生の彼女もいて、高校生活は充実していた。その後、彼女とは進学とともに自然消滅してしまった。

 先週の日曜日、安い中華食堂のチェーン店で、俺は御一人様で天津飯を甘酢だれと焼き餃子を頼んで、入口付近のカウンターで料理を待ってる時だった。

 入口に目をやると可愛い感じの20代の女性が、3歳くらいの小さい女の子と手を繋いで、入ってきた。店員が寄っていって対応していた。

「いらっしゃいませ、何名さまですか?」
「3名です」
「奥のテーブル席へどうぞ…」

 そして少し遅れて、若い男性が1人が入ってきた。良く見ると高校の時の同級生だった。向こうから、声をかけてきた。

「おー!智輝」
「おおー、久しぶり…ひとり?」
「いや、嫁さんと子供が…」

 同級生は、奥のテーブルの親子に指を指した。俺もそちらに目をやった。

「結婚したんだ…」
「ああ、そうだよ…もう5年になる…智輝は?」
「俺はまだだよ…」
「高校の時、可愛いい彼女いたよな…」
「ああ…あの後別れたよ…」
「えー、そうなんだ…じゃあな…」
「ああ…」

 同級生は、奥のテーブルに行くと奥さんと子供に何か話すと奥さんが俺に向かって会釈した。俺も頭を下げて、ちょうど料理が来たので、そのまま食べるのに集中した。

 食べてる時は、一度も奥のテーブルを見ることもなく食べ終わり、レジを済ませて外に出ると最後に同級生の家族の様子を見た。

 そこには、ガラス越しでも、楽しそうに食事をする幸せいっぱいの家族がいた。

 俺は、すごく羨ましい気持ちになり、自分の結婚について考えてみようかと思った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...