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第3話 自分を理解する
しおりを挟むタバコが欲しい。リラックスしたい。俺は一旦落ち着こうとしたが、落ち着けるわけがない。しょんぼりしてるとか、怒ってるとか……そんな感情じゃあない。喜怒哀楽のそれとかじゃあないんだ。
馬になったんだ。
この事実を受け入れるのに時間がかかった。どうやら、俺は辺境にある牧場の家で馬に転生したらしい。ふざけるな。
名前は『アレキサンドース』。
それが俺。馬の平均寿命は短いと言うのを聞いたことがある。馬好きの同僚、『多田』くんが昔、俺に話をしてくれた。確か20歳~30歳まで、長くても40歳ぐらいしか生きられない。
俺は最近8歳の誕生日を迎えたんだとか。その時に大量のニンジンをもらった。つまり後15年後に生きているかどうか分からない……。
地獄?
折角、転生したのに……。馬で、しかも寿命が速攻で尽きてしまう俺の人生はなんだ?スローライフどこに行った?
「ヒヒッ、ヒヒーーーーン!(俺の人生を返せよ!!くそおおお)」
「こら、アレキサンドース。どうしたの? そんなに暴れないでよ。今、ニンジンあげるから、ほら。お食べ」
この少年の名前はチャンバス。俺の世話役をしてくれている。この子は知らないだろう。俺はニンジンが大嫌いなんだ。前世では、シチューやカレーに入ってたら、取り除くほどにニンジンが嫌いだった。今は、そのニンジンを丸呑みにしないと生きていけない。まして、生ニンジンだ。
俺の体は日毎に成長している気がする。毛並みは黒で、脚力もある、尻尾がぶらんぶらんしてるし、目からありとあらゆる情景が、多角的に俺の頭に入ってくる。チャンバスがいつも俺の藁の家の掃除とか、俺の事をちゃんと世話してくれているのはありがたい。今は、チャンバスに手綱をされて、柵の中を歩いている。俺は大人しくなった。
これから、どう生きていこう……。
「あれ。アレキサンドース元気ないね? どうしたの。そんなに、下を見つめるように頭を下げて、ニンジンが足りなかった?」
「ヒンッ……(違えよ)」
「しょうがないなぁ、いっぱいお食べ。立派なお馬さんになるんだよ」
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