非日常系学生戦争

シュガーラビット

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序章~始まり~

模擬戦 1

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 模擬戦が始まった。
 ここで聖杯戦兼模擬戦についての追加のルール説明を。
学力が基準と言ったが学力だけの戦いでもない。
まず腕輪をつけ、学生証を腕輪にかざすと能力が使える。(新しい科学技術を能力と呼ぶ)そのときホログラムで体全体を鎧で覆われる。この時の色はチーム分けをした時のリーダーが決めることができる。今回は前半組が青、後半組が赤色になっている。
そして攻撃についてだが基本的にホログラムによる攻撃になる。よってホログラムの矢などを自分の思い通りに作ることができる。
しかし今回開発されたのは特殊なホログラムで現実に影響するのだ。例えばそのホログラムで壁などを攻撃すればその壁は傷つき、威力が高ければ壁そのものを壊すことだってある。鎧が存在するのはその攻撃が肉体に当たれば肉体も傷つくからだ。そのため鎧は傷つけられても時間を置けば徐々に復活する。
そして鎧の防御力、攻撃関係の攻撃力だがこのバランスは科目によって変わってくる。そしてここで追加しておくのが色についてだ。鎧の色は各チームのリーダーが決めることができるが攻撃や防御の時の色は教科によって変わってくる。英語はピンク、国語はレッド、数学はシアン、その他の色は出てきた時に説明しよう。
その説明は後々しよう。
バランスはあるがそれ以外にもステータスを上げる方法として校内偏差値が基準となる。この校内偏差値は年に4回ある校内模試による校内における偏差値のことだ。その成績が良ければステータスが上がるし、新しい分野を使えたりする。模試のサイクルは4月、7月、11月、2月のサイクルだ。今回反映される偏差値は1年の2月に受けた模試の偏差値だ。数学ならば最初は偏差値40なければ関数の分野において三角関数が使えなかったり、英語ならば偏差値が低かったら単語1個だが、偏差値が上がると長文を詠唱できたりする。正直バランスもあるがこっちの方が強さには大きく影響する。
最後に能力使用者の身体能力も影響する。攻撃されてもよけたり相手の攻撃を躱してその隙に相手の懐に潜ったりと身体能力も必要だ。まあ、それすらも通じないレベルの相手になると学力も必要になってくる。
最後に神器、ブラック、ホワイト、というチートクラスの能力も存在するがこれは出てきた時に説明すればいいだろう。

話は戻って、クラスの人間はまだよく知らないので味方かどうかはよくわからない。とりあえず今のところ知っている、ヤマト、守口、野田、湊さん、難波さんは全員敵だ。
今のところ知っている人が味方にいないのはとてもやりにくい。

~後半side~
「本当にさっきまではすまなかった」
野田が改めて守口に頭を下げていた。
「いいって、本当に気にしてないから。それに今はそれどころじゃないよね」
目つきを変えてヤマトの方を見る。言いたいことを察したのかヤマトも頷く。
「ここには学力的理由で落ちたやつばかりではない。それどころかそれ以外の理由が多いだろう。だから実力は未知数だ」
「湊さんだっけ? 君は強いの?」
急に話を振られたからか少しあたふたしてから首を横にブンブン振った。
「謙遜とかしなくていいからな。この状態で謙遜は逆に迷惑になるからな」
「委員長、さすがにほぼ初対面の相手に言い過ぎ」
「あ、ごめん……こんなんだから俺はね……」
「……気にしてないよ」
その場にいた全員が振り返った。理由はその声だった。高いとか低いとかそんなものではなくただただ可愛いと思ったからだった。
ヤマトはゆっくり指をさして、
「もしかして……喋りたくないのはその声が理由……?」
その質問には首を横に振った。
「じゃ、別の理由があるんだね」
「それで本当はどれくらいできるの? 今から言う質問に答えてね。物理以外はすべてほどほどにできる?」
首を横に振る。
「物理は校内偏差値50より上?」
初めて首を縦に振った。
周りからどよめきが発生する。
無理もない、この学園において偏差値50以上というのはその時点で普通よりは賢いのだ。Sクラス、Aクラスとかの人間はかなりレベルの高い授業を受けていてここの学園の模試だと50ぐらいだとしても全国クラスの模試だと60を超えるレベルなのだ。
「じゃあ、十分すぎる戦力だな。俺なんか30もないんだが……」
「それは低すぎ」
「とりあえず散らばった人もいるが、とりあえずこの辺に50近い偏差値の科目を持ってる人はいるか?」
「……もう誰もいないよ……」
気がついたらヤマトと守口以外いなかった。野田も湊もどこかに行ってしまったようだ。それ以外にも何人かいたのだがもういない。
「………………」
声がでないようだ。

~前半side~
 理科室だったと思われるところに人が2人いる。
1人は背の小さい男子でもう1人はその男子よりは少し背の高い女子が立っている。
「僕は目的を達成したいんだ。そのためにも君の実力を見ておきたいんだ」
男子の方が口を開く。
「かなり上から目線だけどそれだけ自信があるのかな? そんな小さいのに」
「小さいのは関係ないだろ!!」
「ふふっ」
男の方の顔が赤くなっていく。
「ふざけないでくれよ。僕はこれでも真剣なんだよ!」
反論する姿が愛らしく見えてくる。
「わ、わかったよ。そ、それじゃあ始めようかww」
「本当に笑わないで! 本気だって言ってるでしょ!!」
「私は……君はまず誰だっけ?」
「僕は長瀬だよ。自己紹介で覚えてくれなかったの?」
「あ、そうそう長瀬君。ごめんね、守口さんとかしか覚えてないや」
「そういう君は難波さんだよね」
「覚えててくれたんだ、ありがとうね」
「顔と名前が一致する努力は初日にするつもりなんだけどね」
「真面目だね。私なんかそのうち覚えればいいやって思ってたのにね」
「ねえ、始めない?! さっきから僕はそういってるつもりなんだけど!」
「長瀬君はコミュニケーションをとりたくないの?」
「いや、そうじゃなくて……後でいいと思ってるだけだよ」
「まあ、今はそういう時間だしね。いいよ、始めようか」
そういうと2人とも目つきが変わる。2人とも学生書を取り出し腕輪にかざす。腕輪の色が変わる。長瀬の腕輪がピンクに変わり、難波の腕輪はビリジアンに変わる。
「(日本史か……相性は良くも悪くもないな……)」
「(英語……偏差値次第じゃ太刀打ちできないレベルじゃない……)」
先に動いたのは長瀬の方だった。
「詠唱対象ポイントを足裏に」
そういうと長瀬の足がピンクに光る。
「(足の裏に詠唱……どうくる? だけど防御態勢を取っていれば負けることはないかな……)安土城の石垣を召喚!」
そういって難波が右手をあげるとビリジアンの石垣が難波の目の前に腰の高さまで積みあがった。それに隠れるようにうつ伏せの状態になる。
「bound」
長瀬は片足を壁につけた状態で言った。そうしたら前方斜め上に飛び上がった。天井とぶつかる地点はおそらく難波の真上になるだろう。
「(角度を間違えた……いや、これは違う!!)」
長瀬の意図を読み体制を立て直す、時間はないからとりあえず石垣に両足をつける。
長瀬の方は天井に到達して体の向きを変える。そして足裏が天井につく状態にする。
「bound」
右手でターゲットを捉えもう一度そういうと足裏が光り結構なスピードで墜落してくる。
「(召喚してる時間なんかない!!)」
そう考えると同時についた足を思いっきり蹴った。
なんとか一人分くらい下がると同時に墜落してきた。
「(無茶苦茶……でも、作戦としては完璧だと思うわ……)」
そう思っていたところで自分の腕輪が掴まれた。
「お疲れさま。僕の勝ちだね」
気がついたら難波の作った石垣に足をつけて左手を伸ばしてきていた。今度はその手がピンク色に光っている。
「そうね、私の負けね。この状態だと私はどうもできないね」
実際この状態だと難波が何かするより長瀬が爆発系の単語を唱えるだけで長瀬の勝ちが決まる。
「はは、私の負けだよ。この手を放してくれないかな」
「そう言うなら腕輪の電源を落としてくれないかな」
「了解」
そう言うと学生証を取り出し学生証を5秒間腕輪につけた。そうしたら腕輪の色が消え鎧も消えた。
「ありがとう、じゃあ僕も解除させてもらうよ」
そう言って学生証を取り出し腕輪を解除した。
「あと、一応女の子だから股の間に座られて腕を掴まれていると恥ずかしいんだけど……」
「あ、ごめん、ごめん!!」
顔を赤らめてそう叫ぶと2メートルぐらい後ずさりした。
「とりあえず、私たちがここで争ったことで他の人たちも争い出すんじゃないかな?」
「ここの人だから聖杯戦に嫌な思い出がある人もいるんじゃないかな?」
「それはあるよね。私だって……」
そこで急に妨害された。理由は急にスピーカーから大声が聞こえてきたからだ。
「一部でしか戦ってないようだから中庭にみんな集合してくれ!!」
そこでブツッと言って切れた。もともと調子が悪かったか単に切ったのかよくわからなかった。
「どうする? 私は今負けてしまったけど行った方がいいのかな?」
「今のは僕が何も言わなかったらなかったことにできるから難波さんに任せるよ」
「君はどうするの?」
「人数確認とかされるかもしれないから一応行くけど……」
「じゃあ、一緒に行く?」
「じゃあ」
そう言って歩き出す。そのほかの人物も少しずつ集まりだす……。
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