転生したら...俺カッパだよ

七味とうがらし

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錬金術師の再生薬

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 魔導蟲の移植も済んで街での教習も一段落した頃、乙女のおっさんは俺達の城に戻って来た、

乙女のおっさんは研究者である、今回の研究のテーマは欠損部位の再構築だそうな、

俺はキングのもげかけた腕は繋げても欠損した所はどうしようもないんだよね、

 この世界弱肉強食力が支配する世界だから、って事で腕もげたとか足千切れたとか眼球無くなったとかが良くある事なんだよ、それで欠損部位の再構築ってのを研究してるんだ、

 実は乙女のおっさんのホムンクルスボディはその究極体なんだよ、魂さえ残っていれば再構築出来る訳だからね、だけど、やはり慣れ親しんだ手とか足とか生身の方がいいでしょ、だから乙女のおっさんは欠損部位の再構築の研究をやってるんだ、

 新しく発見した薬草、それにスライムの核と被検体の細胞を加工していく、これを傷口に塗るとえらい勢いで細胞が再生してくるんだ、取り敢えず実験を始める、

検体はキングがダンジョンから調達してきた、冒険者と戦って腕を切断されたゴブリンだ、

 麻酔なんて無いんだよね、傷口を綺麗にする、これね、やり方が凄かった、切断された場所から更に3cm位根元側を一気に切断するんだよ、治りかけの傷口だとその部分を塞ぐように肉が盛り上がるだけになってしまうからなんだ、それはこの検体で試したからね、

 っで今又、切断面に新薬の軟膏を塗って検証中なんだけど、ゴブリンの念話が叫びと共に入って来る、

「ナニカ クワセテクレ ミズ ノマセテクレ」

 俺達は思った、腕を生やそうってんだから材料が無いと生えてこないよね、っで休憩しつつ腕一本生やすのにどれだけ食材が必要なのかデータを取ることにした、結果カルシウム分は失った分以上の物が必要だと言う事が解った、足りないと蟹のシオマネキみたいに片方だけ小さな腕になっちゃうんだよね、

乙女のおっさんは安全率を含めて欠損部位の1.5倍の材料が必要だと結論を出した、その為に検体をダンジョンから20体以上連れて来てはゴブリン達を治して行った、

 ようやくデータベースが出来上がりつつある、これから人間で試すことにするんだけど まだこの軟膏は実験段階、欠損部位が生えてくる薬なんて有るなんて知れてしまったら大騒ぎになる、今は極秘裏に進めたいから検体を攫って来ることにした、

俺と乙女のおっさんは酒場にいる、そして聞き耳を立てているんだ、

「おい聞いたか?双剣の奴がダンジョンで片腕食われたらしいぞ、」

「聞いたぜ、あの双剣使いのルドルフが鵺の鳴き声のスタン効果で動けなくなった所やられたんだってな、」

「ああ、残念な事だよな、俺は前に助けてもらったことが有ったんだよな」

「エリーさんや聞きましたかいのぅ?」

「ええ、大変ですわねルドルフさんよくなるといいですね」

「後ほどお見舞いにでも行ってみますかいのぅ」

これでルドルフ氏を検体として攫う事にした、

 自暴自棄になってやけ酒を飲んで寝入ってる隙に麻痺薬を使い毛布に包んで荷車に積み込む、キングが荷車に乗せたら俺と乙女のおっさんも荷車に乗り込み全力で俺の城に連れ去っていった、

「麻痺薬が効いてる間が勝負だ!すぐに始めるぞ、」そう言うとルドルフ氏には目隠しと舌をかまない様に漏斗を噛ませてある、手術中に水分とカルシウム等の素材を投入する為だ。

 それは研究結果で骨と肉を磨り潰した材料であるちょっと見た目と味が悪いのが難点だがこれが足りないとヤバい事になるからね、逆側の腕の重さをはかりその1.5倍の分量を用意する、

 体は手術台に縛り付けて固定してある、肘から先の無くなった部分より根元側ををキングが消毒済みの斧で一気に切って落とす、そこへ乙女のおっさんが軟膏を塗りたくる、俺は水分と栄養補給で漏斗から流動食を流し込み続ける、

体が麻痺しているルドルフ氏、斧で更に切断された痛みでかなり苦しんでいる、目隠しされてこんな事されているんだから恐怖心も更に増すんだろうなと考えつつも、淡々と作業は続いている、

 深夜に攫ってきて俺の城に付いたのが夜明け前、それから作業してる、今は夕方頃だな、ほぼ手が元通り生えてきた、大きさも問題なさそうだ、この頃にはもう痛みは無くなっている様だ、今は落ち着いて眠っている、そしてまた毛布に包んで荷車に乗せ、ダンジョン前に放置する

数日後酒場にて、

「おい聞いたか?双剣のルドルフが復活したってよ」

「嘘だろ?双剣は腕を食われて復活は絶望って言われてたじゃないか」

「ああ、そうなんだがな、なんでも手が新しく生えてきたらしいんだ、なんでも、ある日何処かに連れ去られてからダンジョンの近くに放置されたらしいんだがその間の事が思い出せないんだってよ」

「噂になっている様だわね」

「実験は成功のようじゃのぅ、また次の検体を探しますかのぅ」

後日酒場にて

「あれから韋駄天のフィリップと高速剣のエルモも復活したって言うじゃないか」

「一体誰が何の為にやってくれたんだろうな?」と冒険者が訝しむ、

「一応データは取れた様じゃのぅ」

「ええ、いい感じに取れたわよ」

「じゃあそろそろ売り込みに行きますかいのぅ」

「そうですね、当然条件付きでの作業ですわね、」

「うむ、悪しき者に五体満足は必要ないからのぅ」

「犯罪歴が有るものは施術しない方向ですね、」

「当然じゃよ、ふぉふぉふぉ」

俺達はギルドの受付カウンターにいる、

「ミンメイさんギルドマスターは居るかいのぅ?」

「はいいますよ、呼んできますから一寸待ってくださいね」

ミンメイさんは2階のギルドマスターの部屋へ行った、暫くすると大きな熊獣人が階段を下りてくる、

「やあカワタさんお久しぶり、どうなさいました?」

「この頃噂になってる件についての事なんですじゃが」

熊獣人のギルドマスターのデイがはっとした顔でこちらを見る、どうやら察してくれたらしい、

「ここでは何ですから私の部屋でお話しましょうか、」

「その方が良いかもしれませんのぅ」

俺達は2階のギルドマスターの部屋に案内された、

乙女のおっさんが語り掛ける

「実は私錬金術師なのですが、この度新しい薬を開発したんです、」

「それはひょっとして今噂の欠損部位の再生薬ですか?」

「はい、そうです、検体の調子も良さそうですしこの薬を売り出して行こうかと思っているのですが、どうでしょう?」

「是非ともお願いしたいですね、して、金額は如何程で?」

「最低価格は有りますけどまだ価格設定していないんです、けれど、販売にあたって条件をつけさせて頂きたいのです、」

「それはどの様な条件でしょうか?」

「はい、先ず過去の犯罪歴が無い事、これが第一条件です、そして第二条件が心正しき者、これは面接にて行います、傲慢な人は却下させていただきます」

「ほう、その心は?」

「悪党は排除、それに尽きますわ、その場合どんなにお金を積まれても治さないし、逆にこの街に必要と思った人は格安で治します」

「そうですか、それなら街の治安維持にも有効な手ですよね」と熊獣人

「そうじゃのぅ、真っ当にそして人様に迷惑を掛けないと心がけるようになるからのぅ、良い人材が良い連鎖を生むこれが儂らの願いなんじゃがご理解頂けますかいのぅ」

「はい、肝に命じて必ず実行いたしますので、是非とも欠損部分の再生事業をこの街でお願いいたします、」

「カワタさん許可が下りましたから早速患者の募集をしたいと思うんですけどどうでしょうか?」

「作業場所は儂の城でええんかいのぅ?」

「はい、機材が揃ってる所が良いですから」

「デイさんどうやら決まった様ですのぅ、募集して貰ってから面接と金額を決めさせて頂きますかいのぅ」

「では宜しくお願いいたします」

俺達は欠損部位再生事業を始める事になった、






続く

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