転生したら...俺カッパだよ

七味とうがらし

文字の大きさ
29 / 43

俺は...

しおりを挟む
 今日は朝からヅイさんのレストランに行く、昨日忙しかったから今日も大変なんだろうなと思いやって来たんだ、でも本当の理由は賄いで出してくれたご飯がとっても美味しかったからなんだよね、それになんだかあの夫婦に親近感を覚えるんだ、だってテンシンのギルマスのデイさんとそっくりな雰囲気だからね、

「おはようございます、今日も私らを使ってください、報酬は3食食べさせて頂ければ何もいりません、」そう言って押しかけ従業員をやっているんだ。

 っで俺は相変わらず洗い場だぜ、ファミレスでバイトした時も洗い場だったから何だか気が楽なんだよね、っで乙女のおっさんはフロアで清掃から始めてるよ、俺も手が空いたから手伝う、乙女のおっさん更にテーブルに花まで飾り始めた、気合い入ってるようだな。

「マスター、ナナさん開店準備出来ました、確認して下さい、」と俺は言う

「おお!凄いな、花まで飾ってくれたのか、しかもこれは香りの殆ど判らない花じゃないか、料理に香の干渉しない心配り、いや~凄いですね」

「お褒め頂、有難う御座います、」とにっこり微笑む、おっさんじゃなければ惚れちゃうよ、この笑顔。

「さあ、準備が出来たようなので、開店しましょうか、」ナナさんが言う、店のドアの札をCLOSEDからOPENに裏返して開店だ。

時間は朝10時この時間帯はお客さんがあまり来ない、どちらかと言えばコーヒー、紅茶等を注文される方が多い、

 そしてお昼、まさにここは戦場さながら注文の雨が降り注ぐ、乙女のおっさんはそれを確実にこなす、そして俺は皿洗い、カッパファンネル食洗器バージョン大活躍、そんなこんなで一日が終わり美味しい賄いに舌鼓、ナナさんから告げられる、明日は定休日だから観光でも行って来たらどうかと、

 俺達は観光の案に乗った、名所、旧跡はあまり興味が無い、って事でスラム街の方が面白そうだから行ってみる事にした、第一印象が良かったからなんだよ、スラムキングが親切だったからね、悪い印象は無いんだよ、って事で俺達はあの枯れ井戸のある所へ来た。

  俺達は井戸の底から抜け道を使いスラム街の出口の小屋に着く、小屋の番をしている人が昨日の人とは違う人になっていた、どうやら見張りは交代でやってるらしい、軽く挨拶をして小屋を出る、

「おう、あんたらが昨日街に行った爺さんと孫だな?引継ぎはしてるから次に移動するときは俺の名を言って通してもらってくれよ、俺の名はアモンだ、」

男はそう言って笑って見送ってくれていた、

「ありがとう、アモンさん」 そう言って俺たちはスラム街へ入る、

 とてもスラム街とは思えない位活気の有る街にいる、俺達は賑やかな街並みを見て、

「なあ、乙女のおっさん、なんだかこっちの方が活気がある様に見えるんだが」

「私も同感ですよ」

「じゃあその原因とやらを探索してみますかのぅ」

 俺達は雑踏の中に紛れ込む、このスラム街って、下手すると城郭都市の中より品ぞろえが良いかもしれないんだよ、だけど良い面が有れば悪い面もある、スラム街のはずれの方に行けば行くほど危険が増して来るって事なんだ,乙女のおっさんも深緑色のローブのフードを被って歩き出す、

俺達はスラム街の奥地の探検に出かけた、大抵のことじゃやられないと言う妙な自信があったからだね、

「どうやら地下があるようじゃのう、」

「そうですね~、行ってみますか?」

「ちょっとおりてみますかのぅ」

俺は魔法で爪の先に火を灯し先行する、その後を乙女のおっさんがついてくる、奥の方に人の気配がする、あまり元気そうじゃない感じの雰囲気が伝わってくる、

「大丈夫ですかのぅ?」 俺はそこに寝ていた人に声をかける、

「・・・・」

「安心してください私達悪い人じゃありませんから」乙女のおっさんが言う、

 悪人が自分の事を悪人だとは言わない位怪しいと思うよね、こんな所に来るなんて、

「わしらは旅の老人とその孫なんじゃが、間違えて此処に来てしまった様なんじゃよ、」と言ってみた、

炎のあかりで照らすと其処に居たのは牛獣人の妊婦さんだった、

「儂はカワタ、そしてこっちは孫のエリーと言いますじゃ」

怯えた声で「私はミルと申します、ここに暮らす者です、」と言っていた

「ミルさんや、失礼じゃがあまり顔色が良く無い様じゃが大丈夫かいのう」

「見た所妊婦さんの様ですがちゃんと栄養は取れているんですか?」乙女のおっさんが聞く、

ミルさんはただ首を横に振るだけだった、

「エリーさんや儂らもここらで飯にしようかのう」

「そうですね、この場をお借りしてそうしましょう、この場所を使わせて頂くにあたってお食事ご一緒していただけますか?」笑顔でミルさんに問う、

「え...いいんですか?...」

「この場を使わせて頂くんじゃからそれは当然ですじゃ」

「さて何を作りましょうかのう」そう言って鍋に水を出し分子振動で加熱する、そしてアイテムボックスから次々と食材を出す、栄養が有りそうな物をどんどんぶち込む、基本穀物の雑炊っぽくなっているが鳥肉と野菜がメインを務めている、急激に重い物は良くないだろうと思いとりあえず鳥雑炊だ、

 干ししいたけも入っているし出汁の素も入れた、それを塩で味を調える、うん。優しい感じで出来てるよ、それを椀によそってミルさんに渡す、

「さあ儂らも頂くとしますかのぅ」

「はい、」「「いただきます」」

 そう言って食べ始める、落ち着いて来たのかどんどん鍋が減っていく、余程空腹だったんだろうなと、それに赤ちゃんが生まれるから余計に栄養が必要なんだろうなと思った、

「ミルさんはなぜここにすんでいるんですかいのぅ?」俺は食後に話しかけてみた、

「私達は王都の街に捨てられたんです、父が宰相に逆らって税を減らしてもらえる様談判しに行ったところ問答無用で極刑にされ一家は全員都から追放されたんです、そして母は心労で...」

「それで赤ちゃんの父親は?」と俺が聞いたとたんに悔しそうに泣き崩れた、やべえ俺地雷踏んだみたいだ、

「これはすまん事をきいてしまったのぅ、いや儂が悪かった、」

俺は改めてスラムの過酷さを知った、気楽にここにやって来た自分を殴りたいくらいだった、

俺はミルさんにありったけの保存食を渡した、

「これで栄養付けてしっかり生きていきなさいよ、」

俺はこんな事しかできない自分を恥じた、幾ら個が強くなっても何もできない事に、自分がどれ程のぼせあがっていたかって事に、 そしてまた俺にこんな正義感って物があったのかと...

【ピンポンパ~ン業務連絡です】

あ、これは又白い部屋の人からの連絡だ、



続く



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

コンバット

サクラ近衛将監
ファンタジー
 藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。  ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。  忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。  担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。  その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。  その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。  かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。  この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。  しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。  この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。  一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...